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頑張ってくれた犬ロボットを撫でていると、色が銀色から茶色っぽく変色してきた。
最終的には、俺の記憶にあるパトラッシ○の色になった。
「ビックリした、地上に出て錆びたのかと思ったよ」
「ガウ!」
「ごめん、そんなに怒るなよ。そう簡単に、錆びたりしないよな?」
「ワウ!ワン」
犬が、俺の目を見ている。
その目は、お前そんな簡単に、錆びる訳ねぇだろ?と、言っているかの様だ。
うーん、此方の言葉を理解してるっぽいんだよな。
「右上げて?」
「ワフ?」
クイッと、右足を上げる
「左上げて?」
「ワフ?」
此方もクイッと上げて、座り立ちの様な状態になる。
「右下げないで、後ろ足上げて?」
「ガウ!」
怒った、そんな事したら転ぶだろ?お前は馬鹿か?そう言いたそうな目をしてる。
「ゴメンな?やっぱり、言葉が判るんだな?」
「ワン!」
胸を反らして誇らしげに座って、此方を見上げている。
○トラッシュの、頭を撫でながら思う。
此方の言葉を、完全に理解してくれるのは非常に有難いし助かるが、今回の件はどうなるんだ?
俺が勝手に、遺跡を発掘したとかになるのか?
その場合、何かしら法的罰則とかあるのか?
分からんな、取り敢えずミリィさんと河野さんに報告して、今後どうなるのかだな。
考え事をしながら歩いていると、犬ロボットが心配そうに側に寄って見上げてくる。
「有難う、ちょっと考え事をしてたんだ。もし重罪になるなら、一緒に逃げてくれるか?」
「ワン!」
大丈夫!と、優しい女性の声が聞こえた気がした。
「後、遺跡から発掘?になるのかな、お前さんの処遇が、どうなるのか分からん。出来れば俺が引き取りたいが、此ればかりはどうなるか」
「ワフ?ワン、ワン!」
処遇?多分、大丈夫!
また優しい女性の声が、聞こえた気がする。
「疲れてるのかな?早く戻って、報告して休もう」
それから施設まで10分程、無言で歩く。
施設の透明な壁が、見えて来た。
あれ?
このロボット犬って、施設に入れるのか?
ふと気になり、手前で立ち止まる。
当然の様にロボット犬も立ち止まり、此方を見上げてくる。
「ワフゥ?」
どうしたの?と、また先程の声が聞こえる。
・・・俺、ニュータ○プに覚醒しちゃった?
それで、他の人と精神でやり取り出来る的な?
でも、一体誰が?
隣を見ると、此方をジッと見上げる犬ロボット。
「ひょっとして、俺に話し掛けてるのは、お前さんか?」
「ワン?ワフゥ?ワフワン?!」
え?聞こえ無かったの?一生懸命、思念波で話し掛けてたのに?!
「ごめん、ちょっと待ってね」
「ワ・・・、うん」
うん?
あれ、言葉喋った?
「やっぱり、犬の言葉で話すより、人と話すなら人語じゃ無いと駄目ね。思念波は疲れるし」
メッチャ流暢に、喋ってらっしゃる。
「あの、どちら様ですか?」
「どちら様って、ずっと一緒に歩いて来たでしょう?それに、戦闘もしたし」
俺、今日は色々と有り過ぎて、疲れてるのかな?きっとそうだ、異世界に転生して、この世界が楽しくて、新しい世界は今までの糞みたいな世界とは違って・・・。
「ちょっと、大丈夫?ブツブツ言って、お腹空いたの?」
「すまない、大丈夫だ、俺は正気だ」
「うん?なら、良いけど」
「因みに、確認なんだけど、雄?雌?」
犬ロボットさんが、ぷるぷる震えて此方を睨む。
ちょっと、顔が赤くなってる様に見える。
「さっき声、聞いたでしょう?アレが男の声に聞こえるなら、貴方は病院に行くべきよ?それから、ちょっと其処に座れ」
「ごめんなさい。とても優しくて、美しい女性の声でした」
俺は、土下座しながら謝罪の言葉を述べた。




