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異世界転生  作者: MSZ-006
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やって参りました、総帥室。


「シュウさん、一つ文句があります」


「ほう?何かな?」


「ウチの娘たちが、酷い目に遭ったんです!この責任、どう取るおつもりですか?」


「ふむ?酷い目に遭ったか・・・。リョウ君、双六ゲームの世界を見て、何か気付いた事は、無かったかな?」


「気付いた事?」


「そう例えば、なぜ転生者しか知らない情報が出て来るのか?」


「それはシュウさんが、このゲームの製作に、携わっているからですよね?」


「確かに、私も製作に携わっている。しかし、それだけじゃない。このゲームは、プレイヤー達の潜在意識を読んでゲームに組み込む」


プレイヤーの潜在意識を読む?


どういう事だ?


「詳しく、お願いします」


「案ずるな。簡単に言えば、君が見た世界は君の思考の反映・・・即ち、前世の記憶が紡ぎ出した幻影に過ぎないということだよ、リョウ君」



「前世の記憶?と、いう事は珊瑚たちがブラック企業で働かさせられたのは、俺の記憶を元に作られた世界って事ですか?」


「そういう事になるね。尤も、本来であれば過去のトラウマを抉る様な状態に、ならない仕様の筈なんだがね?」


シュウさんの説明によれば、この世界はプレイヤーの思考を読み取って構築されるものらしい。


その世界は、当然の事ながらプレイヤーによって見る物語が違う。


同じ物語の世界に入れば、同じ世界を見る事は可能なのだが、過去のトラウマを蘇らせる様な仕様では、無いとの事。


じゃ、何故にブラック企業が出たのか?


しかも、珊瑚たちに!


「リョウ、大丈夫?」


「すまない。カオリ、俺のせいだな。珊瑚たちに謝って来る」


「珊瑚、瑞(みずき)、ポポ。ごめんな、辛い思いをさせてしまった」


俺は、片膝を着いて珊瑚たちを抱き締める。


ピィ!、ピピィ![大丈夫、パパが辛い思いをして来たのが、よく分かった!]


「クァ〜!」


「ピィ〜!」


瑞(みずき)とポポも、まるで気にするなと言わんばかりに、俺に身体を擦り付ける。


珊瑚たちの小さな体温が、俺の罪悪感を溶かしていく。


そんな風に感じた。


「リョウ君、辛い思いをさせてしまったのは、此方にも原因がある。・・・どうだろう? 総帥としての謝罪代わりに、其処の魔導機械生物を物語の時と同じ様に、人型に固定してあげようじゃないか」


「・・・えっ? 人型に、ですか?」


俺は驚き、腕の中にいる瑞とポポを交互に見つめた。


あのゲームの世界で見た姿が、現実になるのか。


「私からも頼むよ、リョウ君!」


食い気味に言葉を重ねてきたのは、セニョール監督だった。


「実はシュウさんに頼み込んで、君たちの物語を観させてもらったのだ。・・・失礼は承知だが、あの歌のライブ、そしてその子たちが人型になった姿。それこそが、私が求めていた『究極の画』なんだよ」


覗き見をされていたようで、正直あまり気分のいいものではないな。


前世で、それなりの修羅場を潜ってきた身だ。


相手が世界的な巨匠だろうと、踏み越えていい一線というものがある。


だが俺たちは、この映画の出演者でもある。


ここで感情に任せて無下に断るのも、大人の振る舞いとしては憚られるか。


俺は一度小さく息を吐き、静かに監督を射抜いた。


「・・・監督。今後、覗き見のような真似は控えてください。こちらにも守るべきプライベートがあります。これ以上、土足で踏み込まれるなら、話は別ですよ」


「・・・分かった。すまない。今後、気を付ける」


セニョール監督は俺の目をじっと見つめた後、深く頭を下げた。


合気道の達人であり、かつて日本で長く修行していた経験を持つ人だ。


そんな武道家としての矜持を持つ男が、真っ向から俺の視線を受け止めた上で非を認めたのだ。


その言葉に嘘はないだろう。


俺は視線を、シュウさんに戻し聞いた。


「魔導機械生物って、シュウさんの会社の・・・?」


「ああ、そうだ。ミッシェルの作品だよ。・・・もっとも、その根幹にある導線を引いたのは私だがね」


なるほど、あの小型魔導カプセルを、実用化させてしまうような奥様だ。


かつてミリィさんに連れられて行った量販店で、初めてあのカプセルを目にした時、そのあまりの便利さに購入を決意した日のことを思い出す。


とは言え、未だに未入手なんだがな?


だが、そんな天才発明家が手がけたのなら、魔導機械生物まで造り出していても、もはや何の疑問も湧かないな。


「瑞(みずき)とポポは今の話、どうだ?」


俺は、瑞(みずき)とポポに意思確認する。


もし拒否があるなら、それを尊重しよう。


「クカァ〜!」


「ピピィ!〜」


俺の腕の中で、二匹は弾けるように鳴いた。


どうやら、喜んでいるようだ。


「では、リョウ君。一度、魔導機械生物のカプセルを出してもらえるかな?」


シュウさんの言葉に、俺は少しだけ眉をひそめた。


確かこのシステムは、カプセルに戻すと初期状態にリセットされる仕様だったはずだ。


「シュウさん・・・カプセルに戻せば、今のこの子たちは消えてしまうんですよね?」


「その通りだ。だが、安心したまえ。蓄積されたメモリーを損なうような無粋な真似はしない。私が直接システムを書き換え、彼女たちを『あるべき姿』へと導いてあげよう」


「そうなんですね?なら、安心です」


今まで、俺たちのやり取りを傍らで見守っていたユカさんが、俺の腕の中にいるポポの頭を優しく撫でながら、ホッとしたようにそう答えた。




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