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3話目


 二人が歩いているのは、桜の木が立ち並ぶ、公園の一画。


「花見でもしに来たのか?」

「それもあるな」


 みたらし団子を片手に持つ香桜と、三色団子を両手に持つエルディーナ。


「やはり、桜と言えば団子だな。『くっきー』とか『きゃんでぃー』も良いが、余は団子の方が好きだ」

「俺はマシュマロが好きだけどな」

「なんだ、それは?! 余も食べてみたいぞ!」


 香桜とエルディーナは、甘い物が好き。ただし、香桜は和菓子、エルディーナは、洋菓子を好む傾向にある。

 香桜は新しい菓子があると、手当たり次第に食べる。例えそれが不味くても。


「『ましゅまろ』とは、どんな菓子なのだ?」

『ふわふわの柔らかい菓子ですよね』

「麩菓子とは違うのか?」

『それよりも、柔らかいですよね』


 黙々と団子を食べているエルディーナに代わって、袂から顔を出したクラウンが答える。


「まさか、クラウンは食べたことがあるのか?」

『私の体は綿ですよね。食べたら腐るですよね』

「そうか。エル! 余は『ましゅまろ』が食べたいぞ!」

「じゃあ、買いに行くか」


 団子をすべて食べ終わったエルディーナは、串を放り投げると街の方へ歩を進めた。



 街に着いた二人は、当然の如く人目を引く。


「此の珍獣扱いは慣れぬ!」

『まず見ない組み合わせですよね』

「香桜が目立ってるからな」

『現代ではエルディーナ様の方が、目立ってるですよね』

「クラウンは水が飲みたいのか、そうかそうか。待ってろ、今沈めてやる」

『申し訳ないですよね。水は勘弁してくださいですよね』


 逃げるようにして、袂の奥へ逃げるクラウン。

 溜め息を一つ、エルディーナは近くの店へと入っていった。

 慌てた香桜も続く。


「エル、此処は何の店なのだ?」

「俺のお気に入り。で、どれにするんだ?」


 エルディーナに促されて、香桜はショーケースを覗く。そこには色とりどりのマシュマロが並んでいた。


「こ、此れが『ましゅまろ』とやらか?」

「そうだ。俺的にはチョコがお勧めだな」

「『ちょこ』か、余は抹茶が好きなのだが」

「それもあるぞ」


 抹茶を選んだ香桜は、それでも悩んでいた。見かねたエルディーナは、ショーケースの中の商品を、全種類一つずつ注文した。


「おお、流石エル! 全部食べて良いのか?」

「こっちの袋のはな」


 言いながら、大きな紙袋を香桜に渡す。自分は小さな紙袋を袂に入れた。

 会計を済ませ、店外に出ると、香桜は直ぐに紙袋を開けた。しかし、エルディーナに袋ごと没収された。


「余の『ましゅまろ』だぞ!」

「餓鬼じゃないんだから、道端で食うな。帰るぞ」


 エルディーナは、香桜の紙袋を抱えたまま、歩き出した。


「待て!」


 マシュマロが逃げると思った香桜は、走ってエルディーナを追いかけた。



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