終章
「お世話になりました」
「おー。またいつでも遊びに来いよ。どうせなら今度は孫でも連れて来い♪」
「……寝言は寝て言え」
「あはははは♪」
翌日。
斬影に見送られて、大和と小夜は山を下りた。
「面白い人だね。大和のお父さん」
「……ただの酔っ払いだ」
「でも大和……なんだか嬉しそう♪」
「…………」
大和はやや足早に歩を進める。
「あっ。大和! ちょっと待って!」
「小夜」
その後を付いてくる小夜に、大和は問い掛けた。
「お前……これからどうするんだ? まだ俺に付いてくるのか?」
「……えっ?」
大和は、そこで立ち止まって、振り返る。
小夜は一瞬、不思議そうな顔をしたが、すぐに笑顔で答えた。
「私はずっと大和に付いて行くよ。村を出る時にそう決めたんだから」
「……そうか」
それを聞いて、大和は目を閉じた。
小さく息を吐いて、目を開ける。
真っ直ぐ小夜を見詰め、
「……なら……これからも俺がお前の事を護ってやる」
「…………」
その瞬間、小夜が弾かれたように目を見開く。
大和は踵を返すと、再び歩き始める。
「あ……」
小夜は、暫し呆然としていたが、やがて嬉しそうに笑った。
「うん!」
大和の後を駆け足で追う。
大和の顔を覗き込むようにして、
「じゃあ私も大和の事を護るね♪」
「…………」
それには答えず、大和は無言で歩き続けた。
穏やかな風が吹き抜ける。
長かった旅が今、一つの終わりを告げようとしていた。




