12 双子の片割れ
上空から城を眺めると、びっくりするくらいの静けさだった。もうノルアは倒したのか?それとも、いや。そんなはずは無い。ミクトや、ハイビスカスは無事なのか?目を凝らすが、砂煙でよく見えない。
「レイ。降りるよ!」
「うん!お願い!」
私達は城に着地した。
「!?!?」
私はこの惨状を見て、愕然とする。なんとその場に立っていたのは、ノルアのみだった。そしてノルアはミクトの頭を踏みつけ、ケタケタと笑っていた。
「あははは、!いがいと弱いね!えーっと、ミクタ!それにおねえさまも!!!」
ノルアはそう言い、ミクトをガンガン足で踏みつける。ミクトは私達に気づいたようだ。
「お主ら、足手まといはとっとと去れと言ったじゃろ。はよう逃げろ。」
ミクトは私達にそう告げる。
「ねぇ?ミクタ?さっきからだれにお話しているの?あ!さっきのてんしちゃんに黒かみちゃんだ!!ノルアと遊びたくなっちゃって戻ってきたの?」
ノルアはくるりと私たちの方を向き、微笑みかける。
「お、おい!おまえ!ミクトとハイビスカスになんて事してくれたんだ!ミ、ミクトを離せ!」
私は床に転がっている、ガラスの破片を手に取り、ノルアに向けた。
「あはは!そのガラスで敵さんのつもり?良いよ!ミクタちゃんを離してあげる!その代わり、ノルアが勇者さん役ね!」
ノルアはそう言い、手を広げる。
「セイレナは、ハイビスカスとミクトに攻磁源薬を!」
私はそう言い、セイレナに薬をわたした。
「わかった!レイ!死なないでね!」
セイレナはそう言い、ハイビスカスの元へ向かった。
「ぬおおおおお!」
私はちっちゃなガラスを手に、ノルアの元へ走る。
「あはは!おいで!これで眠らせてあげるから!」
ノルアが手を広げると、なんと禍々しいく輝く、オーロラが出てきた。そしてそのオーロラは私の周りを包み込んだ。だが、何も特に変化もダメージも無い。ただ、周りにオーロラが輝いているだけで。私はそのままノルアの方へガラスを投げた。
「え?なんで!?なんで効かないの!?」
驚くノルアに、私が投げつけた、鋭いガラスが斬りかかる。ノルアの頬にガラスがぶつかり、頬からは血が流れていた。
「はぁっ、はぁっ、あれ?私生きてる!?」
私は驚く。絶対にあのオーロラは私にダメージを与えるものだったと思う。だが、私には効かなかった。あれは、磁術?やはり私には磁源に関するものに耐性があるのだろうか。
「痛い!!!みんな、みんな!ノルアの事きらいなの!?なんで痛い事するの!!!!」
ノルアは頬を抑え、怒りを露わにする。そして、ノルアは私に電撃を放ってきた。やばい。私は電術には耐性が無い!死んじゃう!逃げようと背を向け走り出す。だが、間に合わないだろう。もうおしまいだ。そう思った時、なんと、虎に変化したミクトが私を背に乗せ、迫り来る電術を器用に避ける。
「ミクト!!ありがとう!!!良かった。無事で、」
私はミクトの背を撫でる。
「ふん。ちとあやつの磁源が厄介じゃったがもう大丈夫なのじゃ。お主は足手まといのくせによくノルアにダメージを与えたのう。」
珍しくミクトが私を褒めた!
「えへへへ、ミクトってやっぱりツンデレだね」
私はニヤニヤしながらそう言う。だが、ミクトは私を背から振い落し、私を睨みつける。
「ツンデレではない!ほれ、お前はあの女神と一緒に王女を助けに行くのじゃ。」
ミクトはセイレナの方を指さす。セイレナはハイビスカスの救助に苦戦しているようだ。
「わかった!ミクト!気をつけてね!」
私は急いでハイビスカス達の元へ向った。
「ふん、言われるまでもない。」
ミクトはニヤリと笑い、ノルアに攻撃を仕掛けた。
私は倒れているハイビスカスの元へ駆け寄る。私はこの光景を見て、唖然とする。なんとセイレナが倒れているハイビスカスの口にキスしていた。
「!!?!?えっ、セイレナさん?一体何を、?」
私はついそう聞いてしまった。セイレナは私を見て取り乱す。
「わっ、!えっと、ち、違うの!!誤解なの!!ハイビスカスの意識が戻らくて、!薬を飲ませられなくて!だから細かくしてから飲ませようとしたんだけど、あの、すり鉢とか無くって!だから!仕方なくだよ?仕方なく!口移しで飲ませる事にしたの!!!」
セイレナはとても早口だ。余程誤解されたくないのだろう。
「ねぇ?セイレナさん?ハイビスカスもう起きてますけど、、?」
私はハイビスカスの方を見る。ハイビスカスの目は開いていた。
「なんで言うの!?レイ!!」
ハイビスカスの顔は真っ赤だ。
「え、?!わわっ!ごっ、ごめんなさい!」
セイレナは目を見開き、顔を赤くした。空気が甘々で私は恋だなぁと思ったが、そんなに呑気にしている暇はない。私は手をパチンと叩き、みんなに話しかける。
「さて、イチャイチャするのは戦いが終わってからにして、今はミクトが一人でノルアと戦ってるから、セイレナ?ミクトに助太刀出来る?」
「すけだち?えっと私も一緒に戦うって事だよね?もちろん!任せて!けど、レイとハイビスカスはどうするの?」
セイレナはそう問う。
「ハイビスカスには王様の居場所とか、他にもいろいろ聞きたいことがあるし、それに王様にお願いして、軍も動かせたら良いじゃん?」
「たっ、確かに!レイは凄いね!そんなこと思いつくなんて!よし、私もミクトに加勢するね!レイ、ハイビスカス!気をつけてね!」
セイレナはそう言い、大きな翼で飛び立つ。
「で?レイ。僕に聞きたいことってなんだい?」
ハイビスカスはそう聞く。
「それはね、この国ってさ、国宝とかに指定されている強い武器って無いの?」
思ったのだ。勇者の剣、エクスカリバー的な武器とか無いのかなーと。だってこの世界は異世界。魔法のような力があるのならきっとそんな武器も存在しててもおかしくない。だって陽術などの力はあまりにも便利すぎる。そんな力があるのに衛兵達は武器を持っている。多分この世界の武器は強いと私は思う。
「国宝?あるよ。城の宝物庫に!よし、案内するよ!着いてきて!それにお父様も宝物庫の近くの避難部屋に居るかもしれない!」
私達は廊下を走った。
「ここが避難部屋で、奥の部屋が宝物庫だよ。」
ハイビスカスは扉を指さす。そしてまずは、避難部屋のドアを押し上ける。ドアは重く、力いっぱい押すと、扉が開いた。
「だれだ!貴様!」
扉を開いた途端、私達は槍を持った兵士たちに囲まれてしまった。
「あの、えっと、王様に用事があるんです。」
私はあたふたする。ハイビスカスは兵士たちを睨みつけ、こう言った。
「おい、貴様の方が失礼ではないか?このハイビスカス、ロワールに槍を向けるとは」
兵士たちはハイビスカスを一瞥し、すぐに跪いた。
「たっ、大変申し訳ございません!てっきり侵入者かと思いました。」
「はいはい。謝罪はわかったから、さっさとお父様のもとへ案内しろ。」
ハイビスカスの目は冷たかった。私達は兵士に連れられ、部屋の奥へと案内された。そして、豪華な椅子の上に、アハントロワールが座っていた。ハイビスカスはアハントの元へ駆け寄り、なんと胸ぐら掴んで、こう言った。
「お父様!!どうして軍を動かしてないんだ!!!どうしてこの部屋に沢山の兵士たちが居る?どうしてお父様はこんな部屋に引きこもってる!?いったい、一体どれだけの国民に被害が出たと思ってるんだ!!!」
ハイビスカスは泣き叫ぶ。
「ハイビスカス。ダルクはどうした?」
アハントは否定も肯定もせず、ただそう聞いた。ハイビスカスは俯き、何も言わずに黙り込む。
「そうか。ダルクも死んでしまったか。ダルクはの、儂たちを逃がしてくれたんだよ。ハイビスカス。ダルク以外にも沢山の兵士たちを失ってしまった。騎士団長も近衛騎士達も。それに儂はこのこの国の王。国から離れる事は出来ん。せめてお前だけでも逃げろ。」
アハントはハイビスカスの肩を掴み、そう告げた。
「けど!どうして兵士たちはお父様と一緒に居るんだよ!やっぱりお父様は自分の国よりも自分の命を大切にするの!?」
ハイビスカスはアハントの手を振り払う。
「いえ、違うのです。陛下を置いて逃げろと命令されたのですが、私達が命令に背いて陛下の護衛をしているだけなのです。」
兵士の1人がそう言う。アハントは困ったように頷く。
ハイビスカスはそれを見て、驚く。
「そうなの!?お父様、、!ではこの者達を国民の避難経路の確保に宛てましょう!」
ハイビスカスはそう言う。
「だがの、国を覆っている磁源のせいで兵はまともに動けん。それに国民達も逃げ遅れた者は精霊病になって、亡くなってしまうだろう。」
アハントはそう言い、俯く。まて、精霊病ってなんだろうか?
「あの、精霊病ってなんですか?」
私はふと気になって王様にそう聞いてしまった。
「おお、お前らは知らなかったか。すまぬな。精霊病とは、ノルア病の前の呼び名だ。これだけじゃ分からないだろ?」
王様はそう苦笑いし、続けた。
「まず、儂の娘。ハイビスカスと双子の姉妹、ノルアの話からするかの。」




