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夜行性の家族

(ヘーゼル視点)

それから私は1週間ほどハムスティード伯爵家で療養し、王都の屋敷に帰る事になった。

その間もミカエル様は私と一緒に領地に残ってくれ、屋敷内を移動する時はいつも私を抱えて歩いていた。


お兄様の家族も屋敷に戻り、甥っ子のキースはミカエル様に懐いて、機会があればミカエル様の膝によじ登った。初めはおっかなびっくりしていたミカエル様もキースの可愛さに陥落したのか、王都に帰る時は長い間抱きしめて離そうとしなかった。最後はお兄様に引き剥がされていたけど。


帰りの馬車では何故か私はミカエル様の膝の上に座ることになった。


頭の包帯も取れたので、ここぞとばかりに頭を撫でるミカエル様に

「私はキースの代わりじゃないんですが」

と言うと、

「違うよ、キースがヘーゼルの代わりだったんだ。皆んなの前でヘーゼルを膝には乗せれないからね。きっとヘーゼルが小さい時はああだったんだろうな。その頃に会いたかった」


私達が屋敷に着くと執事のアル様が迎えてくれた。


ミカエル様はアル様に

「この屋敷の主人は俺だからな、エバンに余計な事言うなよ」と言っている。何の事だろうか?


「勿論ですよ、ミカエル様。お2人の部屋の用意は済んでいます。ヘーゼル様、これからは私の事はアルとお呼びください」と礼をされた。なんか変な気分だ。


ミカエル様はまた私を抱えて、アルに案内されて部屋に向かう。今までミカエル様が使っていた部屋とは違う部屋になっていた。

「ここはバートン伯爵夫妻が使っていた部屋です。部屋の壁紙は全てかえ、ミカエル様とヘーゼルの荷物は全て運び込ました。お疲れでしょうからごゆっくりお休みください」と言ってアルは去っていった。


ベットは今までのミカエル様の物より大きく、大きなクローゼット、2人用のテーブルセット、ソファ、そして素敵な鏡台もある。

私はミカエル様に降ろしてもらい、バスルームをチェックした。4-5人入れそうな大きな浴槽があり、私がいつも使っているバスソルトもあった。さすがアル様。。。違うアルね。


「疲れたろ、少し仮眠をとるか?昼間から起こして悪かったな。早く帰ってきたかったんだ」と申し訳なさそうに言う。


「仮眠の前にこの素敵なお風呂に入りたいです」とバスルームを見ながら言うと。


「おお、すごいなこれは。じゃあ。。メイドを」というミカエル様を止めて、


「バスソルトを好きな香りにしたいので、私がします」と言ってバスルームに入った。

今日はどの香りにしようかな。

お湯を張り終わり、バスソルトを入れてと。

あ、そうだ。ミカエル様も私の後に入るかしら?とバスルームから出ると、何やら慌てたミカエル様が何かをベットに隠したが慌てていたのか全部隠れていない。


「ミカエル様。。お風呂は私の後に入ります?ところでそれなんですか?」


毛布の下に私の髪の色と同じものが見える。

「な。。。何でもない。お湯が冷めないうちに風呂に入った方がいいぞ」とミカエル様は焦って言う。


「えーー見せてください」と私が毛布を捲ると。


ぬいぐるみ?随分古いわね。


「これはミカエル様のなんですか?」


ミカエル様の顔は真っ赤だ。


よく見るとハムスターだ、そして色の感じが私にそっくり。どこかでみた事がある。


「昔から眠れなくてな。エルドラドがくれたんだ」


「エルドラド殿下から。。あーーこれ私です」


「え?ヘーゼルのぬいぐるみ?」


「向こうにいる間にお母様に聞いたんですが、私は小さい頃エルドラド殿下に会ったことがあるそうで。母方の祖母はエルドラド殿下の祖母の妹で、何かの機会に自分と妹の孫世代全員のぬいぐるみを作ったらしいです。それを公爵家で行われたパーティーで渡されました。私とお兄様がハムスターで、隣に立っていた金髪の男の子はライオンをもらっていて。そうしたら、その子がハムスターの方が良いって、私のぬいぐるみとライオンのを言葉巧みに交換してしまったんです。あとで私もハムスターが良かったと悲しがってたら、お兄様がライオンとお兄様ハムスターと交換してくれたんです。すっかり忘れてましたけど。あの金髪の子がエルドラド殿下だったんですね」


私の荷物の中から、お兄様と同じ色合いのハムスターのぬいぐるみを出した。


そして2つのぬいぐるみを隣同士に置いて2人がけのテーブルに置いた。


私のぬいぐるみを撫でながら「俺は子供の時からヘーゼルを知っていたんだな」と言った。

「あんなに無理矢理交換したくせに、ミカエル様に渡していたんですね」


「これもあいつの作戦だったんじゃないだろうな。。俺の人生はエルドラドの手の中で踊らされている様で怖いな」


「まさか。。ねえ」


2人で黙ってしまう。


「あ、お風呂!私は入ってきますねって。。何で一緒についてくるんですか?」


「じ。。時間短縮の為、この大きさなら2人は余裕だろ」


「急いでないので必要ありません。まだ一緒にお風呂はダメです!次に入ってください」


「まだお風呂()ダメって事は、そのうち良くて、他のことはいいんだな?」


「。。。。。」


いやにご機嫌になってミカエル様に早く入ってとバスルームに放り込まれる。


次に本当に洗ったのか疑わしいレベルの速さでお風呂に入ったミカエル様は私の髪を風魔法を使って、乾かしながらブラッシングをしている。


「本当に私の髪が好きですよね」


「こんな綺麗なアッシュグレイだよ、触り心地も最高だし、この髪の毛が俺たちの子供には伝わらないのか」


「まあ父親の系統が強く出るみたいですが、稀に母親の系統が出ることもあるみたいですよ」


ミカエル様はニヤッとして、


「じゃあヘーゼルに似た子が出来るまで作り続ければいいのか?早く始めないと俺も歳だから」


「まだ25歳ですよね。。結婚もまだしてないのに」


「結婚式は3ヶ月後だし、そんなの誤差のうちだよ」とミカエル様は私の髪のブラッシングを終えて、満足そうに髪を触っている。


そして私をベットに運んだ。テーブルにちょこんと乗っていた2匹のハムスターぬいぐるみは壁の方を向かせる。

「なんかエバンに見られている気がするから。。。」


ミカエル様は私に髪にキスをしてから、おでこに、頬に。。と、どんどん唇に近づいてくる。私にはもう黄色い目しか見えない。

「私はフクロウに捕獲されて、食べられちゃうのかしら」


「このフクロウはだいぶお預けをくらったから、もうお腹が空いて我慢できないんだ」


ミカエル様に唇を塞がれ、もうそれ以上は話すことは出来なかった。


そして、ミカエル様の言葉の通り、結婚してからちょっと早いタイミングで、ミカエル様に似た息子が生まれ、

次の年には女の子が、そして今まさに第3子が生まれる所だ。


ミカエル様は私の手を握ってくれている。

流石に3人目なので慣れたかと思ったが痛いものは痛い。


「はい、次で出ますよ、息を吸って私が言うタイミングでいきんでくださいね。。。はい!」

女医さんの声がした時に力を込める。


「オギャーー」


「元気な男の子ですね、おめでとうございます」


私とミカエル様に薄い銀色の毛が生えた赤ちゃんが見えた。


「お疲れ様、ヘーゼル。元気な子を産んでくれてありがとう」とミカエル様が私にキスをするが、私はそれどころじゃない。陣痛がおさまらないのだ。


「ヘーゼル様大丈夫ですか?」


「陣痛が。。おさまらないの。。」


女医は慌てて私のお腹に器具を当てる。


「まだ心音が。。。ヘーゼル様、お子様は双子です。もう1人の子もすぐに生まれます」


「「え、双子???」」


そして数分後、女の子の赤ちゃんが生まれた。この子はふさふさのアッシュグレイの髪を持って生まれ、私の髪の毛の色にそっくりだった。


ミカエル様はハムスターだ!と大騒ぎしている。部屋に入ってきた上の子2人はお母様とお父様が赤ちゃんになったと大喜びだ。


双子が生まれて一か月たった。


双子の授乳を終えて、2人はミカエル様に寝かしつけをお任せして、上の子2人の様子を見に行く。2人の部屋は私達の隣だ。2人は別々に部屋を持っているが、双子が生まれてから近くにいたいとここで寝ている。


もう明け方が近いので2人とも眠そうにしている。


「お母様、もう眠いのでベットの準備をしてください」


「他の人にベットの準備をしてもらったら、よく寝られなかったんです」


私は2人を抱きしめてから、ベットを寝やすいように整えて、ミカエル様が好きな匂いの入ったサシェを枕元に置く。私とお兄様のハムスターのぬいぐるみを1人ずつに渡すと、2人ともそれを抱えてあっという間に寝てしまった。


私も双子が寝ている間に仮眠を取らないとね。


夫婦の寝室に戻るとミカエル様が両腕に双子を抱えて寝ていた。これじゃ、どっちが寝かしつけされているのかわからないわね。双子をバシネットに移動させ、私はミカエル様の横に潜り込む。


私はすぐに目を瞑ったままのミカエル様に抱きしめられてしまった。


「おやすみ、ヘーゼル。。本当に幸せだ」とむにゃむにゃ呟いている。


「私もですよ。家族全員夜行性で、同じ時間を過ごせるのは奇跡ですからね」と言って、ミカエル様にキスをすると。ミカエル様は寝たまま満面の笑みになった。


ミカエル様は双子達のお世話以外で寝不足になる事もほとんどなくなった。


これで無愛想魔法使いのあだ名は返上ね。


でもこの笑顔は私だけでずっと独り占めしたいな。


私は暖かいミカエル様の腕の中でぐっすり眠る事ができた、双子が大泣きして私達を起こすまで。


もう少し長い話になるかと思ったのですが、これで終わりです。

私の話を読んで頂きありがとうございました。

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