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伯爵令嬢に返り咲く

(ミカエル視点)

俺達はそっと部屋のドアを閉めて、ため息をついた。


「エバン、お前の母上はどちらの出身だ?あの気迫はエルドラドに匹敵するぞ」


「母上は虎の家系出身だ、この家で誰も母上に勝てる者はいない」


「虎って。。タイルーン公爵家出身なのか?」と俺が言うと。


「そうだよ、ヘーゼルちゃんとエバンは実は俺の遠い親戚になるんだよ」とエルドラドが言う。


「これはヘーゼルちゃんも知らないはず。実は伯爵の死を不審に思った夫人から直々にこの件を調査する様に頼まれていたんだ。さっき、2年もかかったんですねと小言を言われたけど」とちょっとエルドラドが遠い目をしている。


「殿下、母上が申し訳ない。。」


通りで追跡魔法を見破られたわけだ。ライオンと虎の子孫には効かないからな。


「公爵令嬢が何故伯爵と結婚することになったんだ?」と俺がエバンに聞くと。


「学生時代に母上が父上に一目惚れして、圧力をかけまくって、同じ日に婚約を了承させたそうだ。父上が亡くなった時は、母上は表面上は落ち着いていたが、1週間食事を取らなかった。そしてその後。。復讐の鬼になったんだ」エバンはその時を思い出したのかブルっと震えている。


「今は孫フィーバーしている。俺の息子が父上の生き写しみたいでな。家では息子をめぐって嫁姑戦争だよ」とエバンがため息をついた。


「ちなみにお前の奥さんは。。。」


「チーターの家系だ」


ハムスター家系の男性は大型猫家系の女性に狙われやすいのか?


「だから妹が1番可愛い。。」とエバンが呟いている意味がややわかった気がする。


「殿下、ミカエル様、エバン様、お部屋の準備が出来ました」と言う声が聞こえ、振り向くと王都の屋敷の執事アルがいた。


「アルもお前の部下だったのか?」


「ああ、アルからお前がヘーゼルに一緒に食事をとるように仕向けた事も聞いてたぞ」とエバンが言う。


全て筒抜けかよ。


「まあ、君達は義兄弟になるんだから、仲良くしなよ。まあ息もぴったりだし」


「「誰がこいつと!」」


「ほらね。まあふざけていないで、真面目な話をしよう。少ししたら俺の部屋に来てくれ」とエルドラドが言うと、


「俺はちょっと元の自分の部屋を見てくる。あいつら俺の部屋は何に使ってたんだろうな?」とエバンがミランダの部屋の方へ戻って行った。


10分後、俺はエルドラドの部屋に行くとやや顔の硬いエバンがもう来ていた。


「あいつどうしたんですか?」


「彼の部屋が、伯爵と夫人の趣味の部屋になっていたらしいよ」


「焼き払う。。。」とエバンがぶつぶつ言っている。


どんな趣味だったんだ?


「さて、エバン。アストリア伯爵は前ハムスティード伯爵殺害と横領の罪を認めたし、伯爵令嬢はヘーゼルちゃんに危害を加えた。これでアストリア伯爵は伯爵の爵位を剥奪され、君がハムスティード伯爵になる。それでいいな」とエルドラドが言うと。


エバンは膝をついてエルドラドに臣下の礼をとった。


「殿下のおかげで父の仇が取れました。エバン・ハムスティードはこの命を殿下に捧げます」


「はいはい、じゃあこれからも宜しく」エルドラドはすごく適当な返事をする。


「と言う事は、ヘーゼルちゃんも伯爵家の令嬢に返り咲いたので、侯爵家のミカエルとの結婚は何の問題もないね」とエルドラドが俺を見てニカっと笑う。


俺もエバンの隣に並んで、

「殿下のお力添えのおかげです、ありがとうございました」と礼をする。


「これからも俺の為に一生懸命働いてね。あの屋敷買うの結構苦労したんだから。まああのバートン伯爵はアストリア伯爵と繋がっていて、ヘーゼルちゃんを人質に取っていた様なもんだから、今回の事で領地も失うかもね」


やっぱり、あの屋敷の前の主人は殿下にはめられたんだな。


「だから、バートン伯爵の領地はミカエルに結婚祝いであげるよ。ハムスティード領の隣だし。ヘーゼルちゃんの好きなひまわりが沢山植えられるよ」


ひまわり畑か、ヘーゼルが喜びそうだとニヤニヤしたが。

「謹んで受け取らせて頂きます。」と真剣な顔を作って礼をした。


「ミカエル、お前は侯爵家を継ぐんじゃないのか?嫡男だろう」とエバンが俺に聞いた。


「俺は侯爵家を継いで大臣とかになる気はないし、俺の甥か未来の息子がつげば良いいんだ。俺はヘーゼルが幸せに暮らせるだけの財産と権力があれば十分だ。豪邸よりひまわり畑の方が絶対喜ぶ」と言うと。


エバンは嬉しそうな顔をして

「妹を頼んだぞ。泣かせたら、諜報部隊を全員差し向けるからな」と言った。


「娘を泣かせたら、私もミカエル様にご挨拶に行きます」と静かなだが威圧感のある声が聞こえた。


「前ハムスティード伯爵夫人、いかがなされましたか?」とエルドラドが笑顔で聞く。


「殿下お話は終わりましたか?ヘーゼルがミカエル様に話があると言うので、呼びにきました。ミカエル様でしたら()()()()()行動をすると信じておりますので、エバン、家に帰って家族をここに連れてきますよ。可愛いキースにはあの家は向きません」とエバンに向かって話しかける。


エバンはすくっと立って。

「はい、母上。すぐに連れてきます。殿下失礼致します」と言って去っていった。


「ミカエル様もヘーゼルの元へすぐ行ってくださいね。私は休みますから。殿下失礼いたします」と一礼をして部屋から出ていって。


「あれがミカエルの義母になるのか、頑張れよ」とエルドラドに気の毒そうな顔をされた。


「ヘーゼルを手に入れる為なら、虎も手懐けるよ」と言って俺は部屋を出た。


ヘーゼルのいる部屋のドアをノックすると、

「どうぞ」という、可愛い声がした。


そして俺を見たヘーゼルは満面の笑顔になった。本当に可愛い。


「前伯爵夫人にヘーゼルが俺を呼んでいると言われたんだが」と聞くと、ヘーゼルの顔が赤くなる。


「よく考えたら、先程のお話の返事が有耶無耶になってしまって。。あの、お医者様がいらっしゃる前の。。。」


あ、そうだ。プロポーズの返事を貰ってない。返事を待つまでもなく、結婚すると思っていた。


「それでですね、あの。。。」モジモジしているヘーゼルが可愛すぎ。


「ヘーゼル、仕切り直しだ。ここに座れるか?」とベットの端をポンと叩くと座ってくれた。


俺は片膝をつき、ヘーゼルの手を取った。


「ヘーゼル・ハムスティード伯爵令嬢、私の唯一の番、私は心からあなたを愛しています。結婚して頂けますか?」と言って目を見つめたまま、手の甲にキスをした。


「ミカエル・オーレット侯爵子息様、私の唯一の番、心よりお慕いしています。謹んで求婚をお受けします」と言って、俺の額にキスをしてくれた。


俺はヘーゼルの横に座って、傷に触らない様に軽く唇にキスをして、


「お姫様、ゆっくり休んで怪我を早く治してください」と言いながらヘーゼルを寝かせ、毛布をかけながら、

「怪我が治ったら、この続きをしような」と言ったら、ヘーゼルの顔がみるみると赤くなった。


「今日は俺が一晩ついているから、安心して寝ろ」と言って部屋を見渡すと、ベットの向かいにソファがある。そっちに行こうとすると。


ヘーゼルに手を取られた。


「ミカエル様も寝不足でお疲れですよね。私に何かあったときは、近くにいた方が良いと思うんですよ。。。だから、隣で横になられてはどうでしょうか?」とまたモジモジしながら言う。


これは何の修行なんだろうか。


「ダメですか?」と首を傾けてながら言われた。


陥落した。


だから、つい眠りながらヘーゼルを抱きしめていたのも俺のせいではない。


次の日の朝、エバンに背中を蹴られたのより、隣で仁王立ちして何も言わない前伯爵夫人の方が怖かった。



次で最後です。

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