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寝不足の魔術師

どうしても獣人の話が書きたかったので初挑戦です。

男主人公(ミカエル)女主人公(ヘーゼル)で数話ごとに視点が変わります。


(ミカエル視点)

その昔、この国は獣人の国だった。

初代国王の肖像画を見る限り、彼は二足歩行をし、服を着ているライオンという感じだ。それから何千年の時が経ち、今の国民の姿形は人間にしか見えない。耳も尻尾も動物的な物はない。ただ祖先がどの動物かによって、体格、髪の毛や目の色、生活習慣に違いが生まれる。例えば祖先がライオンのような大型動物なら体格が大きく、力が強かったり、リスのように小型動物なら小柄ですばしっこかったりする。


異種族間での結婚も勿論あるが、大抵の場合、父方の血が子供に伝わるので祖先の血を守る為に王家を含む由緒正しい家柄の貴族の家庭では男子の後継者をつくるのが最優先事項になっている。


「で。。何故父上は私にこの国の歴史の授業をしているのですか?」


俺は眠気覚ましに読んでいた古代の魔術書から顔を上げた。


それにしても眠い。もう少し寝たかったのに、甥の誕生日パーティーの準備だかで屋敷中が騒がしく起きてしまった。


目の前には笑顔だが、獲物を狙うような黄色の目で俺を突き刺すように見ている父上、マイルズ・オーレット侯爵がいる。


「我が息子はこの国の誰もが知っている事を覚えていないようなので、()()()()私が特別講義をしているんだ。お前はそろそろ25歳だろう。私はお前の歳には3人の子供がいた」


「妹のシルビアには息子がいるじゃないですか、フクロウの特徴も出ているんでしょう。彼がこの侯爵家を継げばいい」


「シルビアの夫は茶色フクロウの家系だ、産まれた子の髪の毛も茶色だしな。オーレット家は白フクロウだろう。その子は銀髪も黄色い目も持っていない。侯爵家の歴史の勉強もやり直すか、ミカエル?」


言葉は丁寧だが、かなり怒っているようだ。そろそろ逃げよう。


「話はそれだけですか?申し訳ございませんが、会議の時間なので失礼いたします」


俺は転移用の魔法陣を指で床に描き始める。


「おい、ミカエル。話は終わってないぞ。とにかく、ここにお見合い写真がある、どこも多産系の家系の令嬢だ。。おい、何処へ行く」


父上は魔法陣の上に乗った俺を止めようとする。


「すみません父上、今日は王太子殿下も参加される会議なので遅れるわけにいきませんので」


「お前は時間や誰が参加するかなんて気にした事はないだ。。。。」


父上の声が途中で消え、俺は豪華な部屋に転移した。


「きゃあああああーーー」やや服が乱れた令嬢がソファーから飛び上がり、部屋を出ていく。


ソファにはやれやれという顔をした金髪の男が座っている。


「ミカエル、お前はなんでいつも俺の部屋に転移してくるんだ。やっと口説き落とした所だったのに」


「お前は王太子なんだから、女は向こうから寄ってくるだろう?」


「そう言うのはつまんないんだよ。自分には興味ないって所から始めるのがいいんだ。でも手に入ると飽きちゃうんだけどね」


「今のセリフをお前に心酔している令嬢達にに聞かせてやりたいな。みんなお前の見た目に騙されている。エルドラド・リオネル王太子殿下はクズ男だって言ってやりたい」


「相変わらず、毒舌だな。だから俺しか友達がいないんだろう、ミカエル。今日はどうしたんだ?会議ならまだまだ時間があるぞ、そしてお前は出るつもりなんかないだろう」


「父上が早く結婚して後継者を作れって騒いでいるから逃げてきた。王太子の部屋なら流石に追っかけてこないだろう」


「俺みたいに早く後継者を作れば、あとは自由だぞ。妻達は子育てで忙しいから、俺の相手はできないから好きにしろってさ」


「ライオンの一夫多妻の弊害だな」


「そのかわり、王子は3人もいるから安泰だ。王位を狙って戦わない限りは。何でヘビ、クマ、狼だからな俺の王妃達は。気が強いのばっかりで恐ろしい」


「強気なのが良いって言ってたじゃないか」


「それがカッコよく見えたんだよ。今は癒しが欲しい。さっきの子はリスなんだよ。臆病でなかなか心を開いてくれなかったが、仲良くなったらいつもケーキとか持ってきてくれるんだ」


「第4王妃にはするなよ。あの3人に睨まれたら、リスなんかひとたまりもない」


「大丈夫、それはないよ」というエルドラドは涼しげな顔をしている。


「それより、王宮筆頭魔術師のミカエル・オーレット侯爵子息。お前、家を探してるのか?」


「うわーー、どこから情報仕入れたんだよ。ヘビ王妃の実家か?」


「彼女にはアリーシャという名前がある。俺には別の伝があるんだよ。それより、いい屋敷があるんだが、紹介してやろうか?王宮のすぐ近くだし、繁華街からは遠いから静かだぞ。今なら、使用人も全て前のオーナーから引き継げる」


この王太子はライオンの祖先を持つので体格が良いが、見た目は金髪、碧眼で虫もころさないような爽やか王子に見える。しかし実際はかなり腹黒い。おそらく、政敵になりそうな貴族を早々に潰して領地に追いやり、屋敷が空になったという所かな?


「元はね、バートン伯爵の屋敷だったんだけど、何故か急に領地に帰る事になってねえ。王都の屋敷はもう要らないそうだ、使用人を路頭に迷わすわけにいかないからね、新しいオーナーを探していたんだよ。もう今日からでも()()()()()にしてあるからね」


つまり俺にそこに住めと言う事か。


「助かる。色んな手間が省けた」


「ミカエルの為ならね。友人は大切にするタイプなんだよ俺は」


。。。役に立つ駒の間違いだろ。


俺は小さい頃から魔法の才があり、両親に連れられて行った王宮でのパーティーで木から落ちそうになったエルドラドを魔法で助けた事がある。その頃からの友人だが、俺はエルドラドがわざと木から落ちて、友人になる子供を見極めていたのではと思っている。


こいつの敵にはなりたくないなといつも思う。


「会議まで時間があるし、見に行ってみるか?それにしてもすごい目の隈だな。フクロウじゃなくて、タヌキかパンダに見える。お前にはフクロウの夜行性体質が強く出てるしな、この時間に起きているのは辛いだろう」


「だから仕事は夕方から始めるようにしているのに、家のものはほぼ昼行性か半夜行性で、今日は甥の誕生日パーティーの準備でバタバタしているのでつい起きてしまった。その上に父上に突撃されて本当に厄日だな」


「そこも大丈夫だ。バートン伯爵はコウモリ家系で夜行性が強かったから、使用人も全員ではないが夜行性が多い」


この王太子、俺に屋敷を手配するために、バートン伯爵を領地に追いやったとかじゃないよな。。まあそれでも良い。この歳になっても実家で暮らしてるから、色々な問題が出てくるんだ。


「よし、見に行こう!」


バートン伯爵の屋敷は確かに王宮の近くにある割に、周りは木々に囲まれとても静かだ。俺は一目で気に入った。


出迎えてくれた執事は半夜行性のシカ系だった。


「エルドラド殿下、ミカエル様、お待ちしておりました。屋敷のものはあと数時間しないと起きてこないので、今は数人ほどしか働いておりません。ご挨拶できずに申し訳ございません」


「いや、俺は昼間が静かな方がいいから丁度いい、屋敷の案内を頼む」


俺達は執事について屋敷中を回った。侯爵家の屋敷よりこじんまりしているが、1人なので問題ない。


まあ至って普通の屋敷だが、寝室が特に気に入った。壁を厚くし防音効果を高めていて、さらに遮光カーテンがあるので、昼でも真っ暗になる。


「どうやら、ミカエルは気に入ったみたいだね」


「ああ、すぐにでも引っ越したいぐらいだ」


「じゃあ、会議までここで休んでいけば。ベットの寝心地も試した方がいいよ」


俺の心はぐらっと揺れた。会議まであと3時間はある。


「寝具も全て新しいものに取り替えてあります。お時間になれば、部屋付きのメイドがミカエル様を起こしますのでいかがでしょうか?」と執事が静かに言う。


「じゃあ宜しく頼むよ」


そういうと、俺はベットに倒れ込んだ。こんな心地よいベットは初めてだ、俺の意識はそのまま沈んでいった。



調べてみたら完全な夜行性の動物は結構少なく、ライオンは半夜行性だそうです。

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