チェック機能の働かない残念な職場 「小さな誤りでも何年間も積み重なると・・・」
第58話目とての投稿作品は、お題「1分で読める創作小説2025」に対して書いた『エッセイ作品』です。
人数が少ない小さな組織では、中々チェック機能が働きません。
少ない人数だと一人で多種多様な業務を受け持ちますが、上司は定期的な異動で畑違いの部署から移って来る訳ですから、ほぼ専門知識が無い状況です。
だから、ず~っと長く居る部下に仕事を全て丸投げです。
業務内容が全く違うので仕方がありませんが、上司の決済はほぼ全てノーチェック、例え決裁書類の内容が間違っていても、そのまま通過してしまいます。
そんな困った状況の職場に配属されたことがありますが、中々大変な目に遭いました。
私が官庁に提出する報告書を纏めて作成することになったのですが、提出期限の前日になっても、各担当者から受け取ることとなっている報告書を作成するための基礎データとなる資料が未完成なのです。
何度催促しても一向に提出されません。
やっとのことでギリギリに受け取った基礎データとなる資料も、上司の決裁済なのに、私が再チェックをすると間違いだらけ、報告書の作成には何の役にも立たない状態の資料なのですから、困惑するばかりです。
イライラしながらも、必死になって全ての資料を一から確認して修正です。
過去に提出済の報告書も疑わしい限りでしたが、どう考えても全く時間が足りないので、流石に過去に遡って確認する訳にもいきません。
しかしこの時、過去に遡って全て再チェックしなかったことが、見事に仇となりました。
ほんの些細な誤りや計算ミス集計ミスでも、それが何年間も積み重なると、何時の間にか大きな数値の誤差となっていて、大変なことになるのです。
提出した報告書の全国集計結果が、後日に私の手元に届いた時、どう考えても異常値としか思えない特出した数値が発見されたのです。
とある係数欄で、確か全国平均の数値が1.1程度だったのに対し、報告書に書いた数値が1.4以上でしたから???となった訳ですよ。
その間違った数値を使ったことで余分に国に納める金額が、ナント1年で600万円程にもなるのですから、呆れるしかありませんでした。
正しい数値であれば納めなくて済む、物凄くムダな支払いだと、過去資料を精査して間違いを指摘しても、昔からこのやり方だと全員が身勝手な言い訳ばかりで、一向に埒があ明きません。
仕方なく私が上司を説得し、霞が関までお詫びと訂正に行って貰うことで、取り敢えず決着しましたが、結局は過去の修正報告書作成も私が全て行うのです。
そんなこんなで全ての業務を私が見直すこととなり、色々と業務改善した結果、暫くしてやっとスムーズに業務が進む流れるようになったと、勝手に自己満足しています。
ホント大変な目に遭ったな~とは思いますが、振り返ってみれば、中々遣り甲斐のあった懐かしき想い出ですね。




