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アイつクリーマー『どんびえ』 「バニラエッセンス」

第56話目とての投稿作品は、お題「チェックメイトはバニラ味」に対して書いた『エッセイ作品』です。

 皆さん、アイつクリーマー『どんびえ』って、ご存じですか。


挿絵(By みてみん)


 昔々昭和の時代に日本軽金属が販売していた、家庭用のアイスクリームメーカーなんです。


 冷媒液の封入された金属製の器を冷凍庫で冷やしておいて、牛乳等アイスクリーム用の食材を器の中に入れて、ひたすらに攪拌用ハンドルを回し続けることで、徐々に固まってきてアイスクリームになるって、オモシロアイデアグッズでした。


 インスタントの『アイスクリームの素』なんてものも、食品スーパーに売っていましたから、夏になると偶にアイスクリーム作ってましたね。


 赤・黄・緑と色鮮やかでも、ただ甘いだけの氷みつのかき氷だけでは飽きてしまうので、我が家では、かき氷とアイスクリームを作って食べていました。


 当時の私は、バニラと表示のあるアイスクリームは白いアイスクリームの事だと、もののみごとに勘違いをしていたのです。


 だから、アイスクリームの香りづけで『バニラエッセンス』を入れるなんて、全く知りもしませんでした。


 暑い夏の日に、家に有った牛乳・砂糖・玉子の黄身・生クリーム・蜂蜜を混ぜて、アイつクリーマー『どんびえ』の器に入れて、せっせとかき回し、アイスクリームを作りました。


 ところが出来たアイスクリームを妹に食べさせると、「いつものアイスクリームと何だか違うね」って文句を言われてしまいました。


 私は???です。


 「ね~おにいちゃん、珍しくアイスクリームを作ってくれたのは嬉しいんだけど、このアイスクリームを作るときに、バニラエッセンスって入れた?」って聞かれたものの、???なのです。


 妹に「これだよ~」って台所の棚の中にあった茶色の小瓶を見せられましたが、まだ???のままです。


 「それ何?」って聞くと、「これがバニラエッセンス、アイスクリームを作るときに数滴入れないと、バニラ味のアイスクリームにならないんだよ~おにいちゃん知らなかったの?」とのこと。


 「そうなの?全然知らなかったよ~」って言いつつ、まだアイつクリーマー『どんびえ』の中に残っているアイスクリームに、バニラエッセンスを数滴入れて、再びせっせとかき回します。


 そして「今度はどう?美味しくなったかな?」って言いながら、アイスクリームを渡し食べてもらうと、「そうそうこのバニラの香りが、アイスクリームには肝心要なんだよ」 だつてさ。


 「チョコやコーヒーのアイスクリームってそれと判る香りがするでしょ、それと同じように何も加えない白いアイスクリームにはバニラの香りを付ける、バニラに味は無いらしいけど凄くいい香りでしょ、やっぱりバニラ味のアイスクリームが王道なんだから、味の決め手となるバニラエッセンスを入れるの、次からは絶対に忘れないでね」って言われたので、やっぱり食べる専門が好いな~って思いつつも「ハイハイ」って適当に答えておきました。



 先日、ビルトイン型のガスコンロを交換した時に、ガスコンロ下の棚からアイつクリーマー『どんびえ』が出て来て、とても懐かしいな~って思いましたが、肝心の器が経年劣化なのか変形していて、残念ですが全く使い物にならない状態でした。


 今回のお題「チェックメイトはバニラ味」で、アイつクリーマー『どんびえ』で作ったバニラ味のアイスクリームのことを思い出したので、懐かしき思い出として、言葉のやりとり等は会話を判り易くするために、少しばかりの誇張と変更はしてありますが、ほのぼのエッセイとして書いてみました。

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