98."葬殺九妖衆"現る!
アイデアがなかなか湧きません。
あ、作者の別作品もどうか宜しくお願いします。
(一条院 宗雪視点)
その日の放課後……
「じゃあ、今日も俺様は綾香と一緒に玖尼を送り届けるとするか……」
「そうしよか~」
「■■■■■■■■■■■!」
「おう相棒、気を付けて行けよォ?」
俺様が玖尼を警護するにあたって、当然ながら登校と帰宅の送迎も綾香と共に担当している。
……ただまあ、流石に玖尼の自宅こと七賢院家にまでお邪魔する気はねぇが……
と、そうこうしている間に他の皆は行っちまった。
「……さて、皆も行っちまったな……」
「宗雪はん、この1ヶ月で誰も襲って来んけどこれ意味あるんかいな?」
「言わねぇでくれ。……俺様も心配のし過ぎだった気がしてるんだから……」
「さ、さいでっか~……」
結局、俺様が心配し過ぎただけだったのだろう。
いつも通りの日常、いつも通りの帰宅風景、何も起こらねぇ平和な時間がただ過ぎ行くだけの……
……そんな時間がいつまで続くかは分からねぇが。
それでも、今はその日常が流れていた。
「……ほんとぉ~♥️、宗雪さんは婚約者達や仲間達に愛されてて羨ましいわぁ~♥️」
「羨ましいって……玖尼こそ綾香とは心の壁があるとはいえ、そこそこ仲が良いだろ?」
「そうねぇ~♥️。……綾香さんはどう思ってるのかしらぁ~♥️?」
「勿論、友達やと思っとるよ?……春銭太夫の時やら麻里はんの時やらでは巻き込める程の仲やとは思えへんかっただけで……」
「……そっかぁ~♥️」
この調子で、綾香と玖尼の仲ももう少し親しくなってくれりゃありがてぇんだがな……
ま、気長に待つしかねぇか。
そんな他愛もない事を考えながら、歩みを進めていたのだが……
「……なあ、2人とも。……俺様の目がおかしくなったんじゃなきゃ、曲がり角から怪しい黒いローブの2人組が来たんだが……」
「奇遇やわ~。……ウチにも見えとる」
「私もよぉ~♥️」
突如として、目の前の曲がり角から怪しい黒いローブの2人組が現れたのだ。
2人とも顔が見えねぇ程に深く被られた黒いローブのフードのせいで表情は分からねぇが、これがマズいって事だけは分かる。
明らかに、マトモな勢力じゃねぇ!
「おいお前等、俺様達に何か用でも……」
「先手必勝、【停止眼】なノメ!」
ーギョロリ!……ピタッ……
「「「っ!?」」」
な、何だ!?
……怪しい2人組の片割れの両手の平にIIを思わせる瞳の目があったかと思えば、それに睨まれた瞬間に動けなくなった?
こんなの知らねぇ……"陰陽ラヴァーズ"にこんな能力の敵は影も形も……
「ノメノメノメ~♪……やっぱり"表"の奴等は糞みたいに弱いノメ~!」
「ハンドアイズ、慢心は良くないワン!」
「寧ろ、カースドッグは実力を考えたらもっと慢心しても良いと思うノメ~!」
「それはどうかと思うワンが……それはそうとマザーからは今回の依頼、遊び倒して良いと言われてたワンね……」
何だ?
何の話をしている?
ハンドアイズ?
カースドッグ?
マザー?
そんな名前は"陰陽ラヴァーズ"で出た覚えがねぇ!
……いったい、何者なんだよ……
「おい……テメェ等……何者だ……」
「あっ!……呼吸させるために一部を動かせる判定で停止させたせいで喋れちゃってるノメ!」
「ふむふむ……普段はすぐに全身停止からの窒息或いは心臓麻痺で処理してるせいでのミスだワンね?」
「そうなノメ!……だからまあ、そもそも標的を殺すだけならもう殺せるんだノメが、それじゃあ全っ然面白くないノメ!」
何だと?
……つまり、その気になれば動きだけじゃなくて呼吸させるための動作や心臓の鼓動すら止めれたって事か?
無法ってレベルじゃねぇだろ!
「しかしまあ、その【停止眼】も名高き五武妖相手だと通用するか微妙な案配だったワンから、他の皆に譲って正解だったワン」
「そ~そ~、実力差で普通に無効化されるからやってられないノメ!……ったく、あの烏天狗も面倒な相手を標的にしてくれたノメ!」
か、烏天狗?
……まさか、本当に?
「お……おい……」
「「ん?」」
「テメェ等の……依頼主は……空旋坊か?」
「あ~、そうだった気がするノメ!」
「たかが"表"で少し名が知れた程度の悪党如きが、私達に依頼だとは片腹痛いワン!」
……チッ!
最悪だ……
まさか、玖尼の推測が正解だったとは……
「"表"って言い方に……空旋坊に対する扱い……テメェ等……"裏"ってところの奴等か……」
「正解なノメ~♪」
「……そろそろ、名を教える時だワンか」
ーガバッ……
自分達が"裏"とやらの出身だと察された瞬間、2人はフードを上げた。
そうして判明した素顔は……
「ノメノメノメ~♪……"葬殺九妖衆"が誇る尾行と監視の専門家、"手の目"のハンドアイズなノメ~!」
「……"葬殺九妖衆"が誇る呪詛の専門家、"犬神"のカースドッグだワン」
ハンドアイズと名乗った手の平に目がある方は、緑髪のゆるふわボブと目の辺りに巻かれた包帯が特徴的な女性だった。
対するカースドッグと名乗った方は、黒い長髪と頭上の犬耳、そして顔や首に巻かれまくった包帯が特徴的な女性だった。
その上、彼女達が名乗った"葬殺九妖衆"という組織名を、俺様は怪良から聞いていた。
「テメェ等……"裏"の……殺し屋集団か……」
「正解なノメ~♪」
「今更分かったところで遅いワンがな。……ちなみに、最近あちこちで"現代怪異"を狩っていたのも私達だワン」
……マジか……
つまり、そのレベルの実力者が俺様達を動けなくさせて長話に興じている……
それはこちらを見下せるだけの実力と、邪魔が入らねぇ様にするだけの技術がある証拠だ……
現に、こんだけ長話になってやがるってのに誰も助けが来ねぇ!
「さ~て、そろそろどう遊ぶか決めたノメ~?」
「……うむ、どうせ遊ぶなら今回の観光で手に入れた呪物を改造した試作品で遊ぶとするワン」
観光?
まさか、あの"現代怪異"狩りを観光感覚でやったって言うつもりか?
……って、もしそれが本当なら、そんな"呪物"でいったい何をするつもりだ……
「テメェ等……何をするつも……」
「お前、さっきから煩いノメ!……カースドッグ、標的以外は無事に帰すつもりだったノメが、この男だけ巻き込んでやるノメ!」
「分かったワン。……コトリバコとリンフォンの要素をそれぞれ弱毒化させた上で複合させた新呪物を使ってやるワン……名付けて【コトリンフォン】だワン!」
……ハァ?
いや、コトリバコは最凶格の呪いだし、俺様達への脅しとして最適だろう。
だがリンフォンって……
下手すりゃガムテープで封印出来て、ゴミに出せばはい終わりのネタ呪物だろ?
実際、"現代怪異"で有名なのも地獄要素よりネタ呪物って要素込みだしな……
……俺様の前世人格が出しゃばって来た気がするのは気のせいか?
「悪い事は言わねぇから……リンフォンなんて……ネタ呪物使うのは……辞めとけ……」
「あ、何か誤解してるワンね?……ま、先に発動してから教えてやるワン」
ードロドロドロ……
瞬間、カースドッグの手にあったのは2つの物体。
1つは寄木細工で一辺30cmもねぇ木箱、もう1つは正20面体のオブジェらしき物。
……明らかに、コトリバコとリンフォンだった。
「おい……何するつもりだ……」
「何か悪い予感するわ……」
「……■■■……」
俺様達は思い思いに喋るが、向こうがそれに応じるなんて事はなく……
「お~、見るからにゲテモノ感満載だノメ~……」
「この木箱を標的に、そしてオブジェを男の方に設定して……これで良しだワン!」
ーベチャ!
「「「っ!」」」
カースドッグが何かを設定した瞬間、コトリバコらしき木箱は黒い泥らしき物を纏って玖尼に張り付き、リンフォンらしきオブジェは俺様の手元にゆっくりと降り立った。
「1週間……これがその七賢院家の女に残された制限時間だワン……」
「……何を言って……やがる……」
「その木箱は本物より弱毒化させたとはいえ、コトリバコには違いないワン。……1週間かけてじっくりゆっくり呪い続け、最後には醜悪な死を与える代物だワン……」
「……なっ……」
「……嘘やろ……」
弱毒化させてもコトリバコはコトリバコ……
呪った相手に最悪な死を与える代物……だと?
……だが、それならリンフォンは何だ?
それだけなら、リンフォンなんて必要が……
「そこで必要なのがリンフォンだワン。……これに設定された人間だけがこいつを展開出来て、無事にこいつを開けた時は……コトリバコと開けた人間だけを地獄に引き摺り込む特別製だワン!」
「な……何だと?」
「な……何やて?」
リンフォンが開けば、コトリバコと開けた人間だけが引き摺り込まれる?
まさか、テメェ等……
「七賢院家の女が死ぬか、その男が死ぬかの2つに1つのトロッコ問題……どうなるか、楽しみにしてるワン」
「お~、悪趣味なノメ~♪……あ、その停止効果もしばらくしたら終わるからそれまで待ってると良いノメ~!」
ースタスタスタ……
「おい……待て……待ちやがれぇぇぇぇぇ!」
……そうして悪趣味なトロッコ問題だけを残し、ハンドアイズとカースドッグは立ち去って行った。
後に残ったのは俺達3人と、悪趣味な呪物が2つ、それだけだった……
ご読了ありがとうございます。
"葬殺九妖衆"の面々にしてみれば、"表"で少し名が知れた程度の空旋坊が"裏"でトップ格に君臨する自分達に依頼を投げて来た事実を快く思っていません。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




