89.天五獣君は……
天五獣君の相手、今更ながら作中最強の美乱御前他2人に任せたの悪手だったかな……
(美乱御前視点)
「「「「「……"天五獣君"は止まらぬ……」」」」」
「……そう言ってないと止まっちゃいそうなんでありんしょう?」
「「「「「……その手には乗らぬ……」」」」」
「……と言うと?」
わっちはとにかく、天五獣君を挑発したでありんす。
それが1番、確実にヘイトを集める手段だったからでありんす。
でも……
「「「「「……【雷禍神拳】……」」」」」
ービリリッ!
天五獣君はわっちの挑発には乗らず、冬夜童子に向かって雷の如き速度で攻撃を加えに行ったでありんす。
でもまぁ……
「2度も同じ手は食らわないでありんすよ!」
ードゴォォォォォン!
わっちが更に速く動き、冬夜童子を庇う様に立って攻撃を受けたでありんす。
「「「「「……自己犠牲……という訳ではなさそうなのが厄介だ……」」」」」
……ま、この程度の攻撃はわっちに効かないんでありんすけどね?
「……なるほどなるほど~、【雷禍神拳】は力と速度でゴリ押す"虎"系の技で、【雷邪神拳】は搦め手タイプの"蛇"系の技と……ま、その"力"も土梅に比べたら大した事ないでありんすけど!」
「「「「「……言わせておけば……」」」」」
ただでさえ燃費が悪いのに、あろう事か天五獣君はわっち等相手に技を見せ過ぎたんでありんす。
「「「「「……ならば【雷邪神拳】を……」」」」」
ーシュッ!……グネッ……
「今度は某の出番で候!」
ースカッ!
「「「「「……なっ!?」」」」」
天五獣君が軌道の変わる手刀を繰り出すと、わっちは後ろの冬夜童子と立ち位置を交代して凌いだでありんす。
「「「「「……ならば【万雷招来】だ!」」」」」
ードンガラガッシャァァァァァン!
「ん……斬る……」
ースパパパパパッ!
「「「「「……雷が斬られた……」」」」」
術系の技は、華弧が全て斬り捨てて行くでありんす。
「さ、もうお前がわっち等を倒す手段はないでありんすよ?」
「……そなたは技を見せ過ぎたで候」
「ん……そういう事……」
力押しはわっちが、搦め手は冬夜童子が、術の類いは華弧が……
完全に役割分担して潰してしまえば、例え元土地神でもやり様はあるでありんす。
流石にここまだやれば、天五獣君も諦めて……
「「「「「……諦め……ぬ……」」」」」
「……ん?」
「「「「「……この程度で、この"天五獣君"は諦めたりせぬ!」」」」」
ーバチバチバチッ!
「なっ!?」
まだ諦めてないんでありんすか!?
……いや、気持ちは痛い程に分かるでありんすけど!
「「「「「……だが、勝つ必要もない……」」」」」
「ん?」
あれ、これもしかして……
「「「「「……目的さえ遂行出来れば!」」」」」
ーバチバチバチッ!……ビュン!
「……に、逃げたでありんす!?」
天五獣君は全身に雷を纏って、何処かへと逃走したんでありんす。
「愚かな……戦いを放棄しても良い事はないで候」
「ん……絶対に……後悔する……」
ふふ、折角穏便に済ませようと思ってたんでありんすけどね~。
ちょっと痛い目、見て貰うでありんすか……
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(天五獣君視点)
「「「「「……ハァ……ハァ……」」」」」
あれ以上戦っていても、"天五獣君"が勝てる可能性は低かっただろう……
美乱御前は腑抜けたとは到底思えぬ元八妖将最強、華弧はそんな美乱御前と互角の化物、冬夜童子も他2人に比べれば何段も落ちるとはいえ充分な実力者……
ならば、ここは逃走し別の道から麻里の居る八笑院家へと……
「逃がさないでありんすよ?」
「「「「「っ!?」」」」」
ーバシィィィィィン!
何だ?
美乱御前に……鞘付き刀で……ぶん殴られた?
……何故だ……
この"天五獣君"の速度に……もう追い付くなど……
「ハァ……確かに八妖将時代は舐められない様に妖艶さを前面に押し出してたでありんすけど……わっちの本質は、五武妖の中で最も血の気が多かった武闘派でありんすよ?」
「「「「「……それが……どうし……」」」」」
「この程度の距離、すぐに縮められるでありんすよ」
「「「「「……そ……そんな……」」」」」
ま……まだだ……
確かに……ダメージは……あるが……
まだ……戦える……
「おっと、この程度では終わらないでありんすよ?」
「「「「「……は?」」」」」
「……【狐火乱舞】でありんす!」
ーボッ!ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!
「「「「「……そうか……先程までは……手加減……されていたのか……」」」」」
空を覆う大量の火の玉……
雨が降っている以上……山火事の心配はないだろう……
故に……美乱御前が……躊躇する……理由もない……
「ふふ、わっちの狐火は雨じゃ消えないでありんす」
「「「「「……食らって……やるものか!」」」」」
ーバチバチバチッ!……ビュン!
「だから逃がさないって言ったでありんしょ?」
逃げなければ……
あの数の……火炎弾は……この"天五獣君"でも……無事では済まぬだろう……
美乱御前が……手加減を辞めた以上……急がねば……
「「「「「……"天五獣君"は……止まらぬ!」」」」」
「なら、意地でも止めるだけでありんす!」
ードドドドドドドドドドドドドドドドドド!
「「「「「ぐはぁっ!?」」」」」
"天五獣君"に……降り注ぐ……狐火の雨……
着弾した……後の炎は……消えているが……やはりダメージは……深刻だ……
「さ、そろそろ諦めるでありんす」
「「「「「……諦められぬ……"天五獣君"は……絶対に止まらぬ……止まれぬのだぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」」
「【狐火乱舞】でありんす」
ーボッ!ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!
「「「「「……【万雷……招来】!」」」」」
ードンガラガッシャァァァァァン!
……分かっておる……
この程度の攻撃で……美乱御前を……仕留められぬ……事ぐらい……
「うひ~、痺れるでありんすね~。……じゃ、ちょっと痛い目に遭って貰うでありんす」
ードドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
「「「「「ぐはぁっ!」」」」」
再度……"天五獣君"に降り注ぐ……狐火の雨……
もはや……ここまでなのか?
「……もう、いい加減に諦めるでありんす!」
「「「「「……無駄だ……"天五獣君"は……今更止まれぬ……もう麻里に……合わせる顔が……」」」」」
"天五獣君"だって……分かっておった……
この作戦を実行すれば……麻里に一生癒えぬ心の傷を……負わせる事になると……
「……まだ、前に進もうとするんでありんすか?」
「「「「「……これ以外に……もう道は……」」」」」
……あの馬鹿とその一族……そしてそれに群がる小悪党共をどうにかするには……もうこの道しか……
「……お前が横で支えてあげるんじゃ駄目だったんでありんすか?」
「「「「「……何だと?」」」」」
「そもそも、麻里や宗雪達を信じてあげるって道がまだ残ってるでありんすよね?……それでも不安だって言うなら、お前が横で……麻里の式神として、支えてあげるって道も残っている筈でありんす!……なのに、お前にとって楽な道を選んで親友に一生癒えない心の傷を負わせるなんて……親友失格でありんす!」
「「「「「……反論の余地もないな……」」」」」
麻里や宗雪……あの男共を信じれやれなかったがために……事を起こしそうとしたが……
それによって麻里が……一生癒えぬ心の傷を負うと……分かっていながら……
この"天五獣君"が……楽な道を選んでいたとは……
「……わっちもかつて、楽な道を……自分1人が全てを背負って退場するという道を選んだから分かるでありんすけど、その道は守りたかった相手をも不幸にしてしまうんでありんす!」
「「「「「……"天五獣君"だって……その程度の事は……分かっておった……つもりだった……」」」」」
「いいや、分かってなかったでありんす!……わっちは他者による封印だったから華弧達も何とか立ち直ってくれてたでありんすけど、これが自身の手で命を奪うとなると一気に……」
「「「「「……ああ……その通りだ……こうして言われなければ……分からぬ程……愚かだった……」」」」」
"天五獣君"は……そこまで……愛されていたのか……
なのに"天五獣君"は……共に苦楽を……背負って生きるという道を……放棄して……
「……しばらく寝てると良いでありんす。……起きた後には、当の親友から泣きながら怒られるでありんしょうけどね。……という訳で、トドメの【狐火乱舞】でありんす……」
ーボッ!ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!
「「「「「……ああ……"天五獣君"は……甘んじて……受け入れるとしよう……」」」」」
ードドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
3度目の正直と……言わんばかりに……"天五獣君"に向けて……降り注いだ……狐火の雨……
だが……もう"天五獣君"に……それを耐え抜ける……余力など……残されてはいなかった……
ご読了ありがとうございます。
5人が1人になり、しかも逃げに徹したとなれば、当然美乱御前1人でも対応可能になります。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




