86.金太の誤算
金太は金の力で色んな効果を持つアクセサリーを揃えていますが、身体能力は一般人と変わりません。
(一条院 宗雪視点)
綾香の人格が表に戻って来てからしばらく後……
「と、取り乱したわ……ごめんなぁ……」
「い、いや……問題ねぇ……」
……俺様達の間に漂う空気感は、とても気まずいものだった。
「……あ、念のため言っとくけど、春銭太夫に心を許したらあかんからな?……アレは改心なんかしとらんし、過去の悪行も反省しとらん……ただ何故か強くなって変な娯楽に目覚めただけの悪女や!」
「分かってる……というか、絶対に心を許せる気がしねぇし……」
いくら綾香の体でも、春銭太夫にキスされた時に感じた嫌悪感はヤバかった。
……きっと、一生分かり合える日が来る事はねぇだろうな。
「ま、春銭太夫の人格はいつか絶対に消してやるとして……それはそうと、ウチ等も早く行くで!」
「行くって、何処に……」
「皆と合流するんやよ!……まあ、式神の目目連を通じて見る限り、殆んどの所は何とか無事に鎮圧出来とるみたいやけどな?……強いて言えば、桜はんが【焼相】を使って重傷を負ってしもたみたいやけど……」
「……マジか……俺様、もしかしてそっちに行った方が良かった感じか?」
だとすれば、とんでもねぇミスをしちまった気が……
「いやいや、重傷って言っても致命傷には届いとらんよ。……ま、今回は相手が相手やったから届かんで済んだところはあるけど……」
「……そうか……じゃあ、殆んど問題はねぇのか?」
「う~ん……それなんやけど……」
綾香の言葉の通りなら、殆んどの場所では鎮圧が無事に済んだらしい。
……が、綾香の表情は何とも言えねぇもので……
「何か、あったのか?」
「実はなぁ……まだ、鎮圧出来とらん所があるんよ」
そこから、綾香は現状を語り出した。
……これまでの経緯と、まだ残る火種を……
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(宝造路 金太視点)
「糞が!……ったく、何処に居るんだ!」
僕ちんがここまで見つけられないなんて……
楽邪……いや、秋楽は栄螺鬼を好きに使って良いって言ってたが、殆んど倒されて残ってないじゃないか!
「そもそも、僕ちんは萌音とかいう奴の姿すら知らないってのに……ん?」
「ひっ!?」
その時、僕ちんの目の前に1人の人影が現れた。
そいつはピンク髪のおかっぱが特徴的な女で……僕ちんを見て怯えていた。
「グヒヒ……僕ちんは見えてるが、こいつ幻術で姿を隠してるじゃないか!……となると、こいつが萌音って女か!」
「ヒィィィィィ~!?」
萌音とかいう女を見つけた僕ちんは、すぐさまそいつの目の前まで走った。
幸いにも、萌音の逃げ足はそこまで早くなかったので簡単に捕まえる事が出来た。
「グヒヒ……僕ちんが幻術無効のアクセサリーを持っていたのは想定外だったろ?……さて、"五獣の宝玉"を今すぐ出して貰おうか?」
「嫌っ……無理……」
「グヒヒ……その後は、僕ちんに精一杯奉仕するんだ!……勿論、性的なやつだぞ?」
「辞め……何で……こんな目に……」
グヒヒ、こういう弱気な女は僕ちん好みだ。
逆に、麻里みたいな確固たる自我を持った奴は嫌いだがな……
……って、そんな事はどうでも良い!
「何でも良いから、さっさと"五獣の宝玉"を僕ちんに渡せ!……渡さないなら、力ずくで……」
なかなか"五獣の宝玉"を渡さない萌音に腹が立ってきた僕ちんは、萌音の体を直接まさぐってでも探す事にした。
そして手始めに胸へと手を伸ばした、その時だった。
「ふふふ、隙ありなのだ~!」
ーゴンッ!
「ぐはっ!」
ードサッ……
背後から……誰かに頭を鈍器か何かで殴られた……
「作戦成功なのだ~!」
……見ると……もう1人の萌音が……水晶玉らしき……物を持って……立っていた……
「な……んで……」
「こっちの萌音は、さっき出会って仲間にした変身能力持ちの栄螺鬼なのだ!」
「ひっ!……どうも……裏切ってすみませんサザエ……」
「……何か、萌音に変身したら急に喋り方が流暢になっててビビったのだ……」
秋楽……
お前の……ミスが……僕ちんを……
「く……そが……」
「ん?」
「く……そ……が……く……そ……が……く……そ……が……」
糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が……糞が!
「……最後まで小物なのだ……」
「……って、それ"五獣の宝玉"ですサザエ!?……鈍器にしちゃって大丈夫なんですサザエ!?」
「あ~……大丈夫だと信じたいのだ!」
「絶対大丈夫じゃないサザエ~!」
「無……視……す……る……な……」
こいつ等……揃いも揃って……
そんなに……僕ちんは……取るに……足らない……存在とでも……言いたいのか?
僕ちんは……気にするに……値しない……小物だと?
「……あ、起き上がる前にもっとボコボコにしとくのだ!」
「そうですサザエ!」
「は?……待て……待つ……んだ!」
「待たないのだ!」
「待ちませんサザエ!」
ードゴッ!ガンッ!ゴンッ!バシッ!
辞め……ろ……
マジで……意識が……保て……な……
……そこで、僕ちんの意識は途絶える事になる。
そして……目覚めた後に警察に逮捕される事を、この時の僕ちんはまだ知らなかった……
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(三愛院 萌音視点)
「ふぅ~……どうにか、こいつが何かする前に無力化出来たのだ!」
「ですが……本当にここまでする必要があったのですサザエ?……貴女の力なら、もっと早く……」
まあ、普通はそう思うのだ。
でも……
「……こいつ、幻術無効を含めた色んな効果のアクセサリーを付けてるのだ。……だから、萌音だけで正面から戦ったらまず負けるのだ」
「そ、そうなんですサザエ……って、何でそんな効果が分かるんですサザエ!?」
「……宝造路 金太との話し合いが決まった時から、綾香と対策を考えてたのだ。……幸いにも、こいつは諸々のアクセサリーについて周囲に自慢しまくってたみたいですぐに情報が入って来たのだ……」
「な、なるほどサザエ……」
だからまあ、この栄螺鬼を見つけられなかったらひたすら逃げるつもりだったのだ。
でも、この娘と出会えたから作戦を変更して無力化する事にしたのだ。
「……とは言っても、この作戦だってアクセサリーが幻術の二重がけに対応してなかったから効いただけではあるのだ……」
「えぇ……危ない綱渡りですサザエ……」
そ、そこは悪かったのだ……
でもまぁ、とにかく!
「さ、さっさと金太を縄か何かで縛るのだ!」
「あ、では縄に変身しますサザエ!」
ーバフン!
「……ほ、本当に縄に変身したのだ……」
栄螺鬼が変身した縄で金太を縛りつつ、萌音はどうやってこいつを運ぶかを考えていたのだ。
と、その時だったのだ。
「あっ……まさか、萌音はんが捕縛に成功しとるとは思わんかったわ……」
「萌音、やれば出来るじゃねぇか」
さっき綾香と別れた方向から、綾香と宗雪がやって来たのだ。
「へへ、そうなのだ!」
「……露骨に調子乗ってますサザエ……」
う、煩いのだ!
萌音が褒められたのだから、喜んだって罰は当たらないのだ!
「ん~?……萌音はん、今の声は……」
「あ、紹介するのだ!……名前は確か……」
「……栄螺鬼・変ですサザエ……」
「ハァ!?……おい萌音、そいつは……」
ん?
宗雪、やけに焦ってるのだ?
「確かに、元々は敵だったかもしれないけど……意外と良い奴なのだ!」
「マジか……でもまあ、一応警戒はするぞ?」
「わ、分かりましたサザエ……」
「……秋楽についてやけど、どうも人選ミスが酷いのは昔からっぽいわぁ……」
「……春銭太夫の記憶か……にしても、秋楽にそんな欠点があったとは……」
「良くも悪くも、他者の中身まで見ぃひんのが原因やなぁ」
あれ?
宗雪と綾香、2人だけで会話を始めちゃったのだ……
「それより2人共、萌音を手伝って欲しいのだ!」
「ん?……ああ、そいつ運びてぇのか」
「分かったわ。……にしても、ここも解決したとなると残りは……」
「……ゆ、許されましたサザエ?」
結局、金太は綾香と宗雪に手伝って貰いつつ、どうにか安全な場所まで運ぶ事にしたのだ。
……にしても、この事件はどうやったら終わってくれるのだ?
ご読了ありがとうございます。
次回、天五獣君サイドを描写します。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




