76.麻里と天五獣君の出会い
しばらく更新を止めてましたが、再開します。
(八笑院 麻里視点)
あれは、あ~しがまだ幼かった頃の話。
「あ~ち、マリー!……きみたち、だれ?」
当時5歳だったあ~しは、庭先で不審な人達と出会った訳。
その人達は……
「むぅ……気付かれたっピ……」
「やっぱり、隠密は駄目だガル!」
「ヒッヒッヒ……誰のせいっキィィ……」
「でも、まだ子供だから誤魔化せるポン!」
「そうでシュルな~」
……何と、天五獣君だったっつ~の。
「……きみたち、あやかち?」
「おい、5歳児にバレてるっピ!」
「そりゃ退魔師の娘なんじゃから、バレて当然じゃっキィィ」
「どうするガル?」
「と、取り敢えず騒ぎを起こすのも気が引けるっピから、逃げるっピ!」
ータッタッタ……
……ってな感じで、あ~しに侵入がバレた天五獣君は5人揃って逃走して行った。
この時は……とゆうか、未だに八笑院家に来てた理由は教えて貰えてない訳だけど、これがあ~しと天五獣君の出会いだった。
そして翌日……
「……今日こそ、アレを回収するっピ!」
「アレってなに?」
「またお前っピか!?」
また、天五獣君は八笑院家の庭先に侵入して来たっつ~の。
「やっぱり、ぶん殴って気絶させるガル!」
「いやいや、可哀想じゃろっキィィ……」
「同感だポン!」
「同感でシュル……」
この時、"虎"っち以外があ~しを殴る案に反対してくれたから何とかなったけど、1歩間違ったらマジヤバ案件だったっつ~の。
って、それはさておき……
「……"鵺"達は、この八笑院家に大きな借りがあるんだっピ!……だからこそ、この娘に危害を加えるのは気が引けるっピ!」
「そ、そうガルな……」
「賢明な判断じゃっキィィ……」
「出来れば、仲良くなりたいポン!」
「それが出来れば苦労しないシュル……」
あ~しには、未だに天五獣君の目的が皆目見当もついてない……
でも、最近聞いた話と合わせると、多分狙いは"五獣の宝玉"だったのかもしれないっつ~の。
とはいえ、そんな事なんて知らない当時のあ~しは、我ながらぶっ飛んでてマジウケると思うレベルのお願いをした。
「う~ん……よくわからないけど、あ~ちとなかよくなりたいの?」
「いや、そういう訳じゃな……」
「なら、ともだちになろ?」
「「「「「ハァ!?」」」」」
いくら当時のあ~しが天五獣君について全く知らなかったとは言っても、それで友達になろうとするのはマジでウケるんだけどwww
……ま、後悔はしてないけどね。
「あ~ち、ともだちほちかったの!……で、あ~ちがおとなになったら、あ~ちのしきがみ?ってのになってほちいの!」
「し、式神っピか?」
「そうなの!……あ~ちがおとなになったら、そのしきがみ?になってほちいの!」
「……どうしたものかっピ……」
本当に、当時のあ~しは怖いもの知らずだったっつ~の。
……今思えば、生きてる事さえ幸運だって分かるレベルには。
「……"虎"達がこんな小娘の式神になるガルか?」
「じゃが、将来…………の主になると考えれば迷う程でもないじゃろっキィィ……」
「確定じゃないとはいえ、悪い話じゃないポン!」
「それなら、結論は決まったも同然シュルな」
天五獣君……もとい、"虎"っち、"猿"っち、"狸"っち、"蛇"っちの4人は話し合いをしてた。
その後、4人の話し合いを聞いた"鵺"っちは……
「……分かったっピ。……麻里、"鵺"達はお前の友になる事をここに誓うっピ!……その代わり、"鵺"達の事は誰にも秘密だっピよ?」
「うん、わかった!」
……そんなこんなで、あ~しと天五獣君の5人は友達になったっつ~の。
それから、5人はよく八笑院家にやって来てくれた。
「きょうもきてくれたんだ?……じゃあ、あそぼ!」
「ハァ……にしても、どうしてこいつだけ【人払い】の術が効かなかったっピ?」
「知らんガル!……が、多分縁があったんガルよ……」
「う~ん、腑に落ちないっピ……」
5人は初めて来た時から【人払い】の術を使ってたみたいで、あ~し以外の誰かが5人を見つける事はなかったっつ~の。
でもまあ、それはあ~しにとっても都合が良かった訳で……
「あ~ちとせんとうくんれん?ちよ!」
「まだ早いっピよ。……今日は大人しく玉遊びでもするっピ!」
「……大人しくするの難しそうガル……」
「念のため言っておくが、本気だけは出すでないぞっキィィ……」
「分かってるポン!」
「程々にシュルべきシュル……」
あ~し達は、ほぼ毎日遊んだ。
流石に雨風が酷かったら遊ばなかったけど、天気が良い日は毎日……
あはは、そういや中学卒業のタイミングでギャルになった時は、とんでもなく驚かれたっけ……
……絶対に、あ~しは親友を見殺しにしたりしない。
今回の件は、あ~しの方で何とかしてみせるから……
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(一条院 宗雪視点)
八笑院家に向かう道中、俺様は麻里の事が気になって話しかけてみた。
「麻里、大丈夫か?」
「……まさか心配してるの?……マジウケる~」
「茶化すな。……無理、してるんじゃねぇか?」
「ほんとに大丈夫。……あ~し、こう見えてちゃんと覚悟は出来てるから……」
ううむ……
確かに覚悟は感じるが……心配で仕方ない。
と思っていると……
「相棒、好きな相手には時々過保護になっちまうんだよなァ……」
「その割に手は抜かないっすけどね」
「ただ、過度に背負い込んでしまうんやよな~」
……桜、夏芽、綾香の言葉は、多分的を得ている。
俺様は大切な相手に対して手は抜かないが、何かあった時に過度に責任を感じがちだ。
「……ほんと、宗っちって優しいよね?……マジであ~しの婚約者として不足がないってゆうか~……」
「辞めてくれ。……俺様は本来、そこまで言って貰える様な男じゃねぇんだよ……」
「どうして?」
「……かつて俺様は予知夢を通して、とんでもなく痛い目を見た。……そのお陰で性格を修正出来ただけに過ぎねぇんだ……」
正確には前世の記憶だが、事実は言わねぇ方が良いだろ。
「……そ、そこまで言わなくても……」
「いいや、言わせてくれ。……俺様は本来、金太と何も変わらねぇレベルの屑だった。……予知夢を見て性格を修正出来たから、お前達に好かれる行動をとれているってだけで……」
「でも、相棒の好意は本物だろ?」
「アタイを本気で好きになるのも凄いっすよ!」
「2人の言う通りや。……それに、ウチを好きになってくれたんも本心やろ?」
「そ、それはそうだが……」
桜、夏芽、綾香、そして麻里……
俺様の前世がやってた原作ゲームじゃ、彼女達を攻略する事は出来なかった。
いやまあ、インディーズゲームなのに大手ゲームレベルのグラフィックだの何だのを採用してりゃ採算が取れなくなって倒産するのは当たり前ではあったから、彼女達の個別ルートが実装されなかったのは必然だったとも言える。
加えて、桜は敵キャラなので完全に攻略不可なキャラクターだったろうし……
……そんな彼女達を婚約者に出来ている現状は、とてつもなく運が良いとしか言えないのだ。
「本ッ当に相棒はめんどくせぇなァ……」
「うっ……すまん……」
「謝る位なら、最初から言わないで欲しいっす!」
「……どうも、金太が俺様の"if"的存在みてぇに思えちまってな……改めて、俺様で良いのか不安になっちまったんだ……」
金太は、前世を思い出さなかった俺様そのものだ。
だからこそ、不安になっちまった。
「……宗っちは宗っちだよ?」
「そう思えたら良いんだがな……」
「……あ~もうマジめんどい!……宗っち、もうすぐ八笑院家に着くからシャキッとしてよね!」
「わ、分かってるつもりだ……」
八笑院家の家屋が見える位置まで来ちまった……
そろそろ、雑談も終えるか……
「……うん、宗っち良い顔じゃん!」
「ふぅ……気を張り直しただけだ……」
俺様は、とっくに好きになった相手を大切にするって決めてんだ……
今更、思い悩む訳にも行かねぇ。
そうして覚悟を決め直した俺様は、皆と共に八笑院家に足を踏み入れるのだった……
ご読了ありがとうございます。
天五獣君が八笑院家に侵入した理由は、"五獣の宝玉"が目的でした。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




