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72.麻里の悩み

本当、数週間に1度のノロマペースで進めてすみません。

(一条院 宗雪視点)


打ち上げの開始から数時間後……


「うっぷ……もう食べられないでありんす……」


「ん……そろそろ……お開きにする……」


そう美乱御前と華弧さんが会話したのがキッカケとなり、体育祭の打ち上げは終わる方向へと話が進んだ。


「じゃあ、美乱御前様の事は任せたケラ!」


「任されたフラ!」


「怪良も手伝って欲しいですツラ……」


「生憎、私は今晩空助と過ごす予定なんケラよ!」


「リア充爆発しろフラ!」


「同感ですツラ……」


……怪良は訃羅と津螺に満腹で動けなくなっていた美乱御前を押し付けていたが、俺様には関係ないのでスルーしておく。


いや、美乱御前の動向を無視出来る様になったのは良い事なのか?


寧ろ、駄目な気もするが……


「……宗雪様、どうかしましたか?」


「ん?……空助か……」


気が付くと、俺様の目前には空助が居た。


「何か悩み事でもあるんですか?」


「……俺様、いつの間にか美乱御前の動向を全く気にしなくなっててな。……こんなんじゃ駄目だなって思っただけだ」


「は、はぁ……まぁ安心してください。……その辺の警戒は僕達が代わりにやっていますので……」


「そ、そうか……」


「なので、なんなりと僕達に命じてください!」


俺様が直属の隠密部隊として任命したからか、空助の目はやる気で満ちていた。


……おっと、色々あって忘れる所だった。


「それはそうと……麻里(マリー)、今晩一条院家に泊まりで来れるか?」


「え~?……宗っち、それナンパ?」


「違う!……もう遅い時間だが、かと言って例の話を明日以降に回すのもアレだろ?」


「……そうかも……うん、そうだね~……」


俺様は麻里(マリー)に、今晩一条院家に泊まれるかどうかを聞いた。


勿論、理由は例の話をするためだ。


「そういう訳だ。……後で一条院家に来て欲し……」


「ん?……別に今から宗っちと一緒に行っても良くな~い?」


「なっ……確かに良いが、それはそれで問題が……」


「あ~しと婚約したいんでしょ?……だったらそんな反応しない!……マジウケないから……」


やはり、この話になると麻里(マリー)は普段の明るさが何処かへ行っちまうなぁ。


……とはいえ、麻里(マリー)の言葉に反論も出来ねぇ。


「なら、行くか……」


「ほんと、その変わり身の早さはマジウケる~!」


そうして明るさが戻った麻里(マリー)や他の皆と共に、俺様は一条院家の本邸へと帰宅するのだった。



そして、帰宅して数分後……


「さて、ここから俺様が話す事は他言無用で頼むぞ」


客間にて、俺様はそう告げた。


なお、今この場に居るのは俺様と麻里(マリー)だけでなく、桜、夏芽、綾香、萌音、空助、沙耶花、怪良といったいつもの面子(メンツ)も一緒だった。


ちなみに、俺様と沙耶花以外はこの家に泊まるのが決定している。


「……で、何で相棒(ダーリン)麻里(マリー)に婚約を持ちかけるなんて事になったんだァ?」


「桜、取り敢えず落ち着け。……今から話す……」


「いいや、これはあ~しの口から話させて!」


「……分かった」


俺様から全部話すつもりだったが、どうも麻里(マリー)は自分の口から説明したいらしい。


「……この件の始まりは10年以上前に、宝造路財閥が宝造路 金太って男との婚約をあ~し……というか八笑院家に申し込んで来たのが元だった……」


「ん?……そいつって、あの津螺をナンパしたっていう宝造路財閥の関係者っすか?」


「ピンポ~ン!……厄介な事にそうなの……ほんと、マジ萎えだよね~……」


「え、仲良かったんすか?」


まあ、普通はそんな反応になるだろうなぁ。


だが、話はこれからだ。


「ううん。……それどころか、あ~しは会った事もなかったよ」


「え、そうなんすか?」


「勿論、この業界じゃ会った事もない相手に婚約を持ちかけられるなんてありふれてるけど……金太を含めた宝造路財閥からの婚約申し込みは、いくら何でもイミフだったの……」


退魔師の家系同士が、勢力増強のために政略結婚をする事はまぁよくある事だ。


しかし、その点で見ても宝造路財閥の婚約申し込みは宝造路財閥への旨みが無さ過ぎて不自然でしかない。


「……で、どうなったのだ?」


「……あ~しの両親や親戚達が、何とか断ったの。……でも、そしたら突然八笑院家に圧力をかけて来て、更には関係各所まで……」


「あの頃の話はウチも知っとるわ。……何せ、ウチにまで皺寄せが来たからな~」


「……でも、あ~しの家族は諦めなかった。……最終的に、婚約に関して1つの条件を設けさせる事が出来たから……」


ただ、その条件が問題だった訳だが……


「そ、その条件って何だったんケラ?」


「……宝造路 金太が18歳になるまでに、あ~しが婚約者を見つけられたら向こうはスッパリ諦めるって話だった。……ちなみに、宝造路 金太の誕生日は6月の中旬だった筈……」


「しかも、今年で18歳になるんやよな?」


「ピンポ~ン。……だから、あ~しはもう諦めてた」


タイムリミットまで1ヶ月を切ったとなれば、まぁ諦めてもしょうがないだろう。


「お待ちください。……その約束が結ばれたのは10年以上前なのでございますよね?」


「そうだよ~」


「……なのに今年まで誰とも婚約出来ていないとなると……やはり圧力でございますか?」


「……ま、十中八九ね~……」


麻里(マリー)はそう、諦めた様な表情を浮かべて呟いた。


「なるほど。……つまり、宝造路財閥があちこちに圧力をかけ、麻里(マリー)様の婚約を妨害したという事ですか?」


「えげつないでございますね……」


「勿論、一条院家(ここ)みたいに圧力があんまり効かない家もあったけど……そういった家は逆にあ~しとの婚約で得られる旨みが無かったから、あ~し達が婚約を結べる筈もなくて……ほんと、マジ悲し~」


「まぁ、当時の俺様はそんな事情知らなかったからなぁ……」


そう。


俺様も1度、八笑院家からの縁談を断っている。


そして1度断った手前、今の今までこの作戦を実行する気にはなれなかったのだ。


……夏芽や綾香も昔縁談があったのは同じとはいえ、この2人と婚約する事になったのはあくまでも結果論だ。


ただ麻里(マリー)は話の始まりとして婚約を申し出る必要があるため、体裁もあってこのタイミングまで後回しにしていたのだ。


「……その宗っちが今更、何で……」


「何でも何も、このままじゃ麻里(マリー)が金太って馬鹿野郎と婚約する羽目になるだろ?……それは俺様にとっても都合が悪いんだよ」


「都合っすか?」


今更だが、俺様が未来を知っていたのはこの場に居る全員に言ってある。


だからこそ、俺様は淡々と話す。


「そもそも、金太……というか宝造路財閥の目的は八笑院家が所有する"五獣の宝玉"って物だ」


「え、あれが目的であんな事を!?……あ~し、マジムカ着火ファイアーなんですけど!?」


「え、その……ゴジュウノホウギョク?……ってのは何なんすか?」


「知らない。……その起源は千年前にまで遡るらしいけど、今となってはあ~しの一族で詳細を知ってる人は誰も居ないから……」


「そ、そうっすか……」


まぁ、俺様は知ってるんだが……まだ皆に言うのは早いな。


「……当然、宝が目的だから麻里(マリー)が金太にぞんざいな扱いをされるのは確定事項だ。……そして、それを察している天五獣君の行動もまた、麻里(マリー)なら察してるんだろ?」


その瞬間、俺様と麻里(マリー)以外の全員の頭上に"(ハテナマーク)"のイメージが浮かんだ。


そりゃまあ、誰も麻里(マリー)と天五獣君の仲を知らねぇからなぁ……


とはいえ、そんな事は関係ないとばかりに話は続いていく。


「うん、察してる。……多分、"鵺"っち達5人はきっと……宝造路(・・・) 金太を殺して(・・・・・・)()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだと思う……」


「……だろうな……」


「「「「「「「っ!?」」」」」」」


俺様と麻里(マリー)以外の全員が驚愕の表情を浮かべる。


だが、これは確かに原作ゲームで実際に起きた事だ。


悲壮感漂うBGMと仲睦まじい回想が流れる中、麻里(マリー)が親友だった天五獣君を泣きながら殺す事になる、この"陰陽ラヴァーズ"というゲーム屈指の鬱ポイントとして……

ご読了ありがとうございます。


作中の原作ゲームはあくまでもインディーズゲームなので、当然クオリティは有名作には遠く及びません。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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