71.体育祭の打ち上げにて
最近、1週間になろう連載中の3作品の内どれかを1話だけ更新ってペースになっています。
(一条院 宗雪視点)
そこから先はトントン拍子だった。
『ほな、今からフォークダンスするで~?』
学年ごとに輪になってフォークダンスを踊ったり……
『それじゃあ、1位になった学年の表彰よぉ~♥️』
俺様が1年の代表として、1位の表彰を受けたり……
そんな体育祭の終盤にあった諸々の事を終え、俺様達は一条院家の屋敷……ではなく、とあるホテルの大広間にやって来ていた。
『皆、コップは持ったか~?』
「「「「「「「は~い!」」」」」」」
『ほな、乾杯やで~!』
「「「「「「「かんぱ~い!」」」」」」」
「……それにしても高校側も太っ腹だよな……まさか生徒や保護者全員を対象としたバイキング形式の打ち上げを開催するとか……」
そう。
これは生徒や保護者を対象とした体育祭の打ち上げであり、この大広間はその会場として選ばれた場所だった。
「おいおい、相棒も早く取っとかねぇと食うもん無くなるぞォ?」
「桜か……まあ、そうだな……」
「お、夏芽と萌音は思いっきり取り過ぎてやがるなァ……ありゃ、完全に後で食えなくなって後悔するパターンだろうなァ……」
「ははは……」
向こうで夏芽と萌音がバイキングの料理を皿いっぱいに積み上げていた。
桜の言う通り、後で食えなくなって後悔するのは想像に難くない。
と、2人の少し横を見ると……
「空助さん、こちらの料理も美味しそうでございますね」
「そうですね。……あ、こちらの料理も……」
「け、ケラケラケラ……こんな高級料理が食べ放題とか本気で言ってるケラか!?」
発足が決まった"九十九衆"の面々は、堅実な配分ペースで料理を皿に盛っていた。
もっとも、怪良はバイキングの料理が軒並み高級料理な事に驚いていたが。
と、そこへ……
「あら、怪良姉様ではありませんか。……今回は私の負けとなりましたが、次はそうも行きませんわよ?」
少し悔しそうな表情を浮かべた蘭子がやって来て、怪良に絡んでいた。
「分かってるケラ。……今回はルール含め色んな事が私達に有利な方向に進んだだけケラ……」
「……そこを弁えているなら結構ですわ。……とはいっても、やはり悔しいものは悔しいですわね……」
怪良と蘭子は、どちらも複雑そうな表情を浮かべていた。
と、更にそこへ……
「怪良、本当に私達よりも上の高みに到達したんフラな……」
「昔の馬鹿っぽい怪良は何処へやらですツラ……」
「……馬鹿って事に関しては、訃羅も津螺も大概だケラよ?」
「「う、うぅ……」」
訃螺と津螺も怪良の近くにやって来て、話を始めた。
……なお、この2人は怪良の義姉として保護者扱いとなっている。
そして、この2人が居るという事は……
「ふふ、楽しんでるでありんすか?」
「……まさか、俺様の所に来るとはな……」
当然、美乱御前も居る。
ただし、何故か俺様の背後に現れたが。
「何か悪いでありんすか?」
「いや、そもそも自分の立場分かってんのかァ?」
「元八妖将の1人で、今は美乱雑技団のトップでありんすけど?」
「そんな奴が保護者として来て良い場所じゃねぇだろうがァ!」
桜の言う通り、本来なら美乱御前がここに居るのはおかしい筈なのだが……
諸々の事情で美乱雑技団の面々も出席が許されているのが現状である。
「も~、そこまで言わなくても良いでありんしょ?」
「いやいや、オレは何も間違った事は……」
「桜、多分言うだけ無駄だ。……それより、もっと効果的な一手が来たみてぇだし……」
「……あァ~、そうらしいなァ……」
俺様達は、美乱御前の後ろを見ながらそう呟いた。
「ん?……2人とも、何を言ってるでありんすか?」
「後ろを振り向けば……いや、見なくても何となく分かってんだろ?」
「み、見たくないでありんす。……この気配、わっちの考えが正しければ……」
「正しければ、何ザマスか?」
「ん……聞かせて……欲しい……」
美乱御前の背後に立っていたのは、四美院 昇子さんと華弧さんという美乱御前に効果的な2人だった。
と、ここで俺様はとある事を思い出す。
「……あれ?……そういや華弧さんって学校の敷地から離れられたのか?」
俺様の記憶が正しければ、華弧さんを含む七不思議の面々は学校の敷地内に縛られている筈だ。
なので、本来ならここには来れないのだが……
「ん……離れられない……だから……ここに居るのは……ただの分霊……」
「な、なるほど……」
分霊……
確か、神社なんかで神の神霊を分けたものを意味する言葉だったか……
要は本体じゃないって事だな?
「……で、2人は何の用でありんすか?」
「別に?……ただちょっと顔を見たくなっただけザマス。……決して蘭子を認知しろなんて言いに来た訳じゃないザマスよ?」
「ん……同じく……」
「あ~……それ、暗に認知しろって迫ってるでありんすよね?」
「分かってるんザマスね?……なら……」
「ん……思い立ったが……吉日……」
「か、勘弁して欲しいでありんすぅぅぅぅ~!」
「あ、待つザマス!」
「ん……待って……」
ードタドタドタ……
走って逃げる美乱御前を、昇子さんと華弧さんが追いかける。
……本当に、原作ゲームで終始主人公勢力と敵対していた美乱御前からは考えられない光景だ。
「……なァ、相棒の知った未来で美乱御前の奴は八妖将のままだったんだよなァ?」
「ああ。……だからまあ、この敵とも味方とも言えない距離感はある意味好都合だ」
「……そうかァ。……にしても、ありゃ美乱御前が認知するまで続くのかァ?」
「十中八九そうだろうな……」
昇子さんは原作ゲームじゃ少ししか出て来ないキャラだが、そんな少ない描写でも蘭子を実の娘である重音先生と同じレベルで大切にしているのが伝わって来ていた。
耐水美乱御前も蘭子を認知していない事に対する罪悪感があるのか逃げに専念してやがるし……あれは長引くだろうな……
そう思った瞬間だった。
「ふぅ……秘技、【四美院ダイブ】ザマス!」
ータッ!……フワッ……
「っ!?……母上、何をして……」
昇子さんは走りながら高く跳躍し、美乱御前の真上スレスレまで一気に距離を詰める。
なお、蘭子はそんな育ての母がしでかした行動に驚いていたが、今更どうする事も出来ねぇ。
そう俺様が思った直後……
「食らうザマス!」
ーヒュルヒュルヒュル……ドシィィィィィ~ン!
「ぐはっ!?……こ、腰と背中が痛いでありんす……」
昇子さんの落下攻撃を食らった美乱御前は地面に突っ伏しながら、腰と背中が痛いと呟いていた。
恐るべし、昇子さんのプロレス技……
とはいえ、美乱御前側も本気ではなかったのだろう。
本気だったならこのホテルが焼け野原になってるだろうし……
と、その時だった。
「……って、母上もお母様も何してるんですの!?」
蘭子が2人の行動に呆れ、声を荒げたのだ。
「うっ……わ、私はただ美乱御前さんに蘭子を認知させようと思っただけザマス……」
「それは周りに迷惑をかけて良い理由にはなりませんわよ!?」
「返す言葉もないザマス……」
何というか、昇子さんでも蘭子さんに説教されたら萎縮しちまうらしい。
「さて、母上への説教もですが……お母様はお母様でいつまでも逃げ続けるくらいなら……」
「う、うぅ……」
あ~……うん。
これ以上見てると美乱御前の威厳が地の底まで落ちそうだし、目を背けるか……
とか思ってると……
「……えっと、あ~しはまた後にした方が良さげ?」
「黙って背後に立つな!……俺様だから気付けてたが、普通に怖いからな!?」
「で、返事は?」
「……後で頼む」
黙って背後に立っていた麻里から話しかけられたが、俺様は気付いていたので軽く対応する。
すると……
「宗雪~!……料理取り過ぎちゃったから食べるの手伝って欲しいっすぅぅぅぅ~!」
「萌音もなのだぁぁぁぁ~!」
「宗雪はん、ウチとイチャついてぇな!」
「……宗雪様、人気ですね」
「それでこそお兄様でございます」
「そ、それは良い事なんケラか?」
「相棒が人気でオレも嬉しいなァ」
「よ、余計にあ~しの入るタイミングが……」
「ははは……頼むから1人ずつ話してくれ……」
とまあ、どんどん俺様の関係者が集まって来たので、俺様はその対応をして時間を過ごすのであった……
ご読了ありがとうございます。
打ち上げは今回限りで終わりです。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




