64.昼休憩のイチャイチャ
……ジャンル、恋愛から変えた方が良い気はしつつも、何に変えたら良いのか分からない……
(前話から1時間後、一条院 宗雪視点)
『ほな、午前中の競技を終えた現時点での点数発表や!……まず、1年が90点、2年が79点、そんで3年が87点やで~!』
「な、何とか逃げ切ったか……」
大玉転がしが終わった後、俺様達は綱引きや大縄飛び等で何とか良い結果を出して逃げ切る事に成功した。
もっとも、点数の差はかなりギリギリであり、3年に至ってはもうすぐそこまで迫っていたが。
『……っちゅう訳で、ここから1時間の休憩や。……全員、束の間の安息を楽しんでぇな!』
『あらぁ♥️……そういう綾香さんは、今にも誰かの所に行きたそうねぇ~♥️』
『せやよ?……今すぐ宗雪はんの所に走って行きたいに決まっとるやん!』
……綾香、そういうのは全体放送で言わないでくれ……
いやまあ、俺様としては嬉しいんだが……
『じゃ、また午後で会いましょ~♥️』
『ほな、また午後でな~?』
そうして、司会と解説の2人による放送も一時中断し、午前中のプログラムは完全に幕を閉じたのだった。
そして、数分後……
「相棒、オレの手作り弁当をあ~んしろォ!」
「宗雪、あ~んっす!」
「宗雪はん、あ~んや!」
「と、取り敢えず順番に頼む……」
俺様は、3人の婚約者から一気に各々の手作り弁当を"あ~ん"する事を所望されていた。
ちなみに、俺様の方が"あ~ん"で口に入れられる側である。
「じゃあ、オレの弁当からだなァ!……ほれ、あ~んだァ……」
「あむっ……うむうむ……美味ぇな」
「だ、だろォ!」
桜の手作り弁当は、完全に俺様の好みを把握したものだった。
「次はアタイの番っす!……はい、あ~ん……」
「あむっ……うむうむ……うん、夏芽のも美味ぇな」
「あ、ありがとうっす!」
夏芽の弁当は、完全に肉オンリーという何とも言えねぇもんだったが……ちゃんと美味かったのは事実だ。
「ほな、最後はウチやな?……はい、あ~んや……」
「あむっ……うむうむ……綾香のも美味ぇな」
「や、やろ?」
綾香の弁当は、質素な和風料理だった。
……まあ何だ、3人とも俺様のためを思って作ってくれたのが充分理解出来る味だったなぁ……
とか思っていると……
「空助さん、あ~んでございます」
「空助、口を開けて私のあ~んを受け取るケラ!」
「あはは……頼みますから、順番にお願いします」
どうも、空助の方も同じ目に遭っていたらしい。
とはいえ、空助も空助で何とも幸せそうな面してやがるな……
……ちょっと絡むか……
「おい空助、あんま無理すんなよ?」
「無理なんてしていませんよ。……そういう宗雪様こそ、無理しないでくださいね?」
「分かってらぁ……」
「なら良いんですが……」
あ~……俺様が言えた口じゃねぇが、空助も充分婚約者に甘い方向に行ってやがるなぁ……
と、更にそこへ……
「ふっふっふ!……怪良の"あ~ん"を食べさせて貰えるのは、わっちに続いて2人目でありんす!……その事を誇りに思いつつ、1人目になれなかった悔しさで枕を濡らすと良いでありんす!」
「……いや、それとこれは別枠ですよね?」
「ってか、それ美乱御前様にねだられまくって渋々やった"あ~ん"ケラよ?」
「ちょっ!……それは言わないで欲しかったでありんす!」
……美乱御前がしょうもない事で空助相手にマウント取ってやがる……
しかも、その割に空助へのダメージは0だし……
「……何か、改めて見てもあれが元八妖将最強だとは思えねぇな……」
「……いや、失礼でありんすね!……まあ、それはそれとして宗雪にも聞きたい事があるでありんす」
「ん?」
「……宗雪は、死獄童子配下の柊って小鬼は知ってるでありんすか?」
小鬼の柊……
俺様は、そいつを原作ゲームで知っていた。
……とはいえ、柊自身は特に突出してる訳でもねぇ只の雑兵の筈だが?
「……何でだ?」
「いや、どうも冬夜童子に続いてその柊って小鬼まで旧友が営むカジノに居座る事になったらしいんでありんすが……」
「……な、なるほど……」
……柊の原作ゲームにおける立ち位置は、とあるサブクエでのみ登場するだけの敵キャラクターだった。
そのサブクエは冬夜童子死亡後に受注出来るのだが、例の柊というキャラは冬夜童子を間接的に殺した主人公達に復讐をしようとする敵として登場したキャラクターだ。
"~れす"という独特な語尾から一定のコアな人気はありつつも、原作ゲームでは特にこれといった活躍もなく討伐されたために影が薄いキャラクターでもある。
まあ、言わば冬夜童子というキャラクターを深掘りするためだけに登場した存在って訳だ。
「……その様子だと、柊について知ってるんでありんすか?」
「いや、知ってるというか……俺様が見た予知夢に出て来た奴ではあるが……ぶっちゃけ只の小鬼だな」
「そうでありんすか……って、今予知夢って言ったでありんすか!?」
「ん?……美乱御前には言ってなかったか?」
多分、人間側では情報共有されてるんだろうが……そのコミュニティから外れている美乱御前は知らなくても当然だよな……
「……なら、もう無敵じゃないでありんすか!?」
「……生憎、もう予知夢で見た未来からは逸れまくってんだよ。……そもそも、俺様が見た未来じゃ美乱御前は八妖将を離反してねぇしな……」
「……となると、あの襲撃そのものが起きてなかった感じでありんすか……」
「そういう事だ。……今となっちゃ俺様の予知夢でどうにか分かるのは、敵の能力ぐれぇだしな」
もう、前世の原作ゲーム知識の半分は役に立たねぇと言って良いだろう。
もっとも、それだけ俺様が未来を変えちまったってのもあるが……
と、そんな事を考えてると……
「ハァ~……酷い目に遭いましたツラ~……」
「本当ですわね!」
何やら不機嫌そうな津螺と蘭子がやって来た。
「……ん?……珍しい組み合わせケラね……」
「さっきバッタリ会ったのですわ!……って、そんな事より聞いてくださいませ!」
「ケラ!?……だ、だいぶ荒れてるケラね……」
「そこまで怒らなくても良いと思いますツラ……」
蘭子はかなり荒れていた。
……対する津螺は、何処か冷静さを保っていたが。
「で、何があったんだ?」
「……さっき、よく知らない男にナンパ……というより『僕ちんの愛人にしてやっても良いぞ!』……と訳の分からない言葉を投げかけられましたツラ……」
「……ふぅ~……そいつは何処でありんす?……今すぐ骨も遺さず焼き尽くしてやるでありんす!」
「……そう言うのが分かってたので、私が何とか引き下がらせましたわ!……いくら何でも、こんな事でお母様に動かれると困るんですの!」
……何というか、変な馬鹿も居るもんだな……
そもそも、この強者であれば一夫多妻が当たり前の世界において、"愛人になれ"と言うのは関係を持ちつつも責任は取らないと言っている様なものなのだ。
しかも、あろうことか美乱御前の愛娘たる津螺にそれを言うとか……馬鹿としか言えねぇな……
「……よく引き下がったな……」
「……私は只、津螺の身分を懇切丁寧に教え込んだだけですわ。……それでもあの馬鹿は『僕ちんのお祖父ちゃんはあちこちに顔が利くんだぞ!』……とか言ってましたが、お母様相手には誰も助けてはくれない事を告げると何処かへ行かれましたわ!」
「……まあ、そうなるか……」
……にしても、美乱御前を知らねぇとなるとかなり良い家の出身か?
基本的に財閥レベルの一族で社会経験のねぇ奴は知らねぇ事も多いらしいしな……
あ、ちなみにこの世界では財閥は解体されてねぇから今でも結構存在してる。
とまあ、そんな事を話していると……
「……なぁ、話が聞こえて来たんやけど……その馬鹿は何って名乗っとった?」
……綾香が、聞かなくて良い事を聞きやがった。
「いや、そんな事聞くもんじゃ……」
「……宝造路 金太と名乗っていましたわ。……言わずもがな、宝造路財閥に名を連ねる者ですわ。……まあ、今年18歳になるお坊ちゃんではありますが……」
「……マジかよ……」
その名を、俺様は原作ゲームで知っていた。
……この先、八笑院家と天五獣君を中心として巻き起こる事になる悲劇、その元凶の名として……
ご読了ありがとうございます。
少しずつ、歯車は動き出しました。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




