55.美乱御前への婚約挨拶
美乱御前への婚約挨拶……
(一条院 宗雪視点)
空助が美乱御前に会いに行く予定の土曜日の朝……
「さて、それじゃあ行くか」
「……僕、死ぬかもしれないんですが?」
空助は、自分が死ぬ可能性も視野に入れていた。
「いやいや、流石に美乱御前様だってそんな事はしない……筈だケラ!」
「ですが、私が思うにあの方は怪良さん達を実の娘かの如く溺愛されておりますよ?」
「……も、もしもの時は私が説得するケラ!」
「……僕としては本当に死活問題なんですよ!?」
……本当に、怪良は原作ゲームのストーリーから大きく逸れたキャラになったよな……
何せ、原作ゲームじゃ中ボスの1体だったのが、今や空助の婚約者だもんな……
と、そこへ……
『「……あたし、メレリーさん……」』
『「……あたし、松夜さん……」』
『「廊下掃除、終わった……」』
『「窓拭き、終わった……」』
……沙耶花の携帯からも声を流しつつ、メレリーと松夜がその場に現れた。
ちなみに、彼女達の処遇は1日間考えた末に一条院家の式神として雑用係にする事が決定した。
なお、式神の主は携帯に繋がっている関係で沙耶花となっている。
「では、しばらくお休みいただいて結構でございますよ?」
『「分かった……」』
『「そうする……」』
そうして沙耶花から休憩を言い渡されたメレリーと松夜は、そのまま本体が保管されている倉庫へと向かって行った。
「じゃ、そろそろ本当に行くか」
「そうだなァ!」
「そうっすね!」
「せやな~」
「そうするのだ!」
「そういたしましょう」
「……僕、まだ死にたくないんですけど……」
「まだ言ってるケラか?」
こうして一抹……どころではない不安を残しつつ、俺様達は怪良の案内で美乱雑技団の拠点へと出発したのだった……
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(数十分後、怪良視点)
「……という訳で、ここが私達が拠点にしてる安アパートのメゾン恵安だケラ!」
「お、おう……」
私達は徒歩で片道2時間はかかるであろう距離をバス等で省略しつつ、美乱雑技団の拠点たる安アパートに到着したケラ。
ちなみに、見た目が完全に築ウン十年の2階建てオンボロアパートなのはご愛敬だケラ。
「……じゃ、まずは私が部屋に入って様子を確認するケラから、ちょっと待ってて欲しいケラ」
流石に大丈夫だとは思うケラが、念のため……
ーガチャ
「ただいま戻ったケラ~!……今、アパートの前に空助達が来て……」
ーシュッ……シュッ……シュッ……
「ん?……あ、おかえりでありんす~」
「……ちょっと待つケラ!」
ーバタン!
いや待つケラ待つケラ!
美乱御前様、何か日本刀っぽい武器を砥石で研いでたケラ!?
これ、もしかしなくても空助殺されちゃうんじゃないケラか!?
「あれ……怪良さん、どうし……」
「空助、今すぐ逃げるケ……」
「いや、誤解でありんすよ~!」
ーガチャ……バン!
「ケラ!?」
ードサッ……
「あ、ごめんでありんす~!」
空助を逃がそうと外に出たら、後を追って来た美乱御前様に扉をぶつけられるとか……踏んだり蹴ったりケラよ……
「……で、何が誤解なんケラか?」
「別に、この刀で空助……君を殺すつもりはないでありんすよ!……あくまでも、これはお祝い用の品を解体するための物で……」
「……お祝い用の品を解体って、どういう意味だか分からないんケラが……」
やっぱり、反対してるんじゃ……
「えっと、それは……そろそろここに到着する筈なんでありんすが……」
ん?
これ、何か待ってる感じケラか?
そう、思った瞬間だったケラ。
「……貴女が、角賀殿と土梅殿の旧友で候?」
アパートの前に、侍らしき和服を来た1本角の青鬼がやって来たケラ。
「……あ、到着したであり……」
「お前っ……冬夜童子じゃねぇか!」
「ハァ!?……あの四鬼の1人のかァ!?」
「それ、ヤバいんとちゃう!?」
……美乱御前様、誰を呼んでるんだケラ……
これ、本当に大丈夫ケラよね?
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(一条院 宗雪視点)
「……おい、お前に1つだけ聞くぞ?……ここには何しに来た?」
今、俺様の目前に立ってる奴は、どう見ても冬夜童子だった。
こいつは、あの死獄童子の弟にして四鬼の1人……
一応、四鬼の中では穏健派だが……どうなるか分からねぇ相手だ。
すると……
「……なあ相棒、こいつから敵意って感じねぇよなァ?」
「ああ……だからこそ不気味なんだよ!」
基本的に、四鬼は原作ゲームにおいてゴリゴリシリアスな敵だ。
だが、冬夜童子だけは人間と寄り添える可能性があった。
……しかし、それは無理な話だった。
何せ、こいつは人間と寄り添える性格をしつつも、だからこそ自分の行いを誰よりも許しちゃいなかった。
結果、原作ゲームじゃ主人公勢力に負けた瞬間に自ら腹を刀で刺して自害するという壮絶な末路を迎え、その天然な性格から愛着を持っていたプレイヤーの心に大きな傷を残すのだが……まあ、今は置いておこう。
「……で、結局何しに来たんや?」
「今すぐ言うっす!」
「ふむ……想定外で候。……まあ、説明するで候」
この数を見ても冷静とか……
強者と言うべきか、ただの天然と言うべきか……こいつの場合、分からねぇんだよな……
と、その時……
「いや、それよりも早くその荷物が欲しいんでありんすが……」
「ああ、悪かったで候。……注文通りの冷凍クロマグロ1匹で候」
「ありがとうでありんす~!」
……え、冷凍クロマグロ?
「それで説明としては……今、某が世話になっている角賀と土梅という者達の旧友が昨日、2人に冷凍クロマグロの調達を頼んだので候」
「あの2人、割とあちこちに顔が利くでありんすから、物資調達にはもってこいなんでありんすよ~」
「……で、世話になっている某が運ぶ事になったという経緯で候」
……えっと、ちょっと待てよ……
角賀と土梅って言えば、かつて美乱御前や華弧さんが所属していた五武妖の内の2人じゃねぇか!
原作ゲームにおいて、2人が経営に関わるカジノはやり込み要素として登場し、2人の過去も華弧さんの話を聞いた上でカジノのサブクエをクリアする事で聞けるという……
そんな2人と冬夜童子に繋がりがあるとか……いくらそのカジノが中立だからってマジかよ……
「……つまり、その旧友ってのは……」
「……某も驚いたで候が、美乱御前の事らしいで候」
「……今も繋がりあるんだな……」
「……ん?……まあズッ友でありんすからね」
まさか、その言葉が美乱御前から出て来るとは思わなかったな……
「ズッ友、か……」
「……わっち達5人の絆は永遠でありんす!」
……よほど、5人で居れた時が楽しかったんだな……
だからこそ、復讐に走った訳だが……
「……で、結局その冷凍クロマグロは何ケラか?」
「ふっふっふ!……何を隠そう、これは怪良と空助君の婚約を祝うための品でありんす!……これを使ってマグロの解体ショーをして、マグロ料理を振る舞うでありんす!」
「……あ、普通に婚約には賛成なんケラね……」
「勿論、相手によるでありんすが……優しくて強くて将来安泰とか、絶対逃がすな案件でありんしょ?」
「……怪良さんと似た様な事を言ってますね……」
やっぱり親子みてぇな関係なんだな……
……って、この量を食うのか?
「あ、宗雪君達も一緒にどうでありんすか?……ついでに冬夜童子も……」
「……では、お言葉に甘えてご相伴と行くで候」
「……えぇ……」
結局、この日は全員でマグロ料理をいただき、そのまま帰る事になった。
なお、冬夜童子は何事もなかったかの様に帰ったし、怪良は何故か空助と一緒に一条院家に住む事になったのだが……俺様は何も知らねぇので、現実逃避として来週の体育祭の事を考えるのだった……
ご読了ありがとうございます。
五武妖の仲は、今も良好です。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




