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36.天道との戦い

天道戦、あっさり終わらせます。

(一条院 宗雪視点)


「……萌音、幻術を頼む」


「分かったのだ!……【マジカルイリュージョン】なのだ!」


これで周囲からは俺様達が別の場所に立っている様に見える筈だ。


さて、後は……


「全員、戦闘態勢に入れ。……それと夏芽は河濫沱の召喚も頼む」


「あ、分かったっす!……【式神召喚】、出でよ河濫沱っす!」


ーピカ~ン!


「口上省略、河濫沱でござんす!」


ースタッ


俺様の指示で、夏芽は河濫沱を召喚した。


なお、召喚された河濫沱は第一形態の方だった。


「河濫沱、取り敢えずあそこの一目連に攻撃を叩き込んで欲しいんだが……第二形態、行けるか?」


「う~む……分かったでござんすが、あちらの姿は走りが鈍くなるでござんすので、直前まではこの姿で行かせて貰うでござんす!」


「それで良い。……って、全員これで準備万端か?」


「おう!……オレは大丈夫だぜ!」


桜は、いつもの全身武装をいつの間にか完了させていやがった。


「アタイ達も大丈夫っす!」


「……で、ござんすな」


「萌音もなのだ!」


「ウチもやよ」


「私も……って、これ先程も同じかけ声いたしませんでしたか?」


「僕も同じ事を考えてました……」


「……オラ達は後方で攻撃を避け続けるべ!」


「そうだな」


……ふむ、これで後は挑むだけか……


「……それじゃあ、俺様に続けぇぇぇぇぇ!」


こうして俺様達は、無謀な気はしつつも天道に突撃を仕掛けるのだった……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(俯瞰(ふかん)視点)


……一目連である天道にとって、人間は矮小かつ脆弱な存在でしかなかった。


自身が嵐を起こせば勝負にすらならない事を、本能で理解していたからだ。


だからこそ、当初は富士山の麓に集まり始めた人間の群れなど、全く気にしていなかった。


そう、気にしていなかったのだが……


ーカッ!


突然、天道は1つしかない目を見開いた。


理由は天道自身にも分からない。


だが、すぐにでも麓の人間を始末しなければいけないと、本能が警鐘を鳴らし始めたのだ。


ーゴロゴロゴロ……ドンガラガッシャァァァン!


天道はひとまず相手の力量を確かめようと、雷を1つ人間の群れに落とした。


……その雷は確かに命中した筈なのだが、まるで本当はその場に居ないかの様に、人間の群れはその場に立ち続けていた。


だが、天道はそれを特に気にする事もなく……


ービュゥゥゥ~!……ドンガラガッシャァァァン!


暴風と雷を人間の群れに命中させた。


しかし、やはり人間の群れは倒れない。


それどころか、ダメージを負った気配すらない。


ここでようやく、天道は何かがおかしい事に気付く。


しかし、時既に遅し。


「【視界ジャック】や!」


何処からかそんな声が聞こえた瞬間、天道の視界は暗転した。


当然、天道は何が何だか分からずに数秒間フリーズする事となる。


そして、次の瞬間……


「【激流張手(げきりゅうはりて)】でござんす!」


ーバシィィィィィィィィン!


突然、天道に強烈な衝撃が走った。


まるで、何者かの攻撃を食らったかの様な……


しかし、そこには誰も居ない。


そして、そうこうしている間も天道は地面へと吹き飛ばされていて……


ードシィィィィィィィィン!


……そうして天道はひたすら困惑しつつ、地上へと落とされた。


もっとも、これで攻撃が止むかというと否で……


「オレの攻撃も受けてみやがれ!」


ーザシュ!


「アタイも……死なない程度に【微水張手(びすいはりて)】っす!」


ーバシィィィィィン!


「私も出来る限り攻撃させていただきます!」


ーバシバシバシバシバシバシ!


「僕も続きますよ!」


ーザシュ!ザシュ!ザシュ!


「俺様の妖力弾も食らいやがれ!」


ードドドドドドドドドドドドドドドドドド!


全方位から攻撃を受けまくり、ようやく天道は敵が姿を隠している事に気付いた。


ただ、またもや時既に遅し。


最早、天道に出来る事は何も残っていなかった……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(一条院 宗雪視点)


俺様の作戦は、驚く程上手く行った。


いや、まさかここまでとは……


……というか河濫沱、足の裏から圧縮された水を吹き出す事でウォータージェットパックみてぇに天道の所まで飛びやがった……


とまあ色々やった結果、天道は俺様達の攻撃を集中砲火で食らってやがるが……こりゃ、もう反撃もして来ねぇな。


何せ、完全に守りに入っちまってる。


「……相棒(ダーリン)、ここまでやれば充分かァ?」


「ああ、そうだな。……後は式神契約の交渉だが……なぁ、ここまでボコしといて式神契約に応じてくれると思うか?」


「いや、オレなら気に食わねぇなァ」


だよな……


勝つためとはいえ、流石にやり過ぎた感が……


「ちょい待ち。……ウチが説得したる」


「綾香……いや、無理だと思うが……」


「ええからええから。……天道はん、ここまで痛め付けたんは謝るから、話聞いてくれへん?」


「……そういや天道って名前、相手にちゃんと伝わってるのか?」


基本的に"名持ち"妖の個体名が決まる過程は3通りあり、本人が名付けるというもの、仲間の妖が名付けるというもの、そして人間が名付けるというものの3つだ。


そして天道は3つ目……つまり、人間が勝手に名付けただけだったりする。


「あ~……ほな、そこから説明せんとな。……あんたの名前は天道っちゅうんやけど、ええか?」


「……………」


「……まさか、こいつ口も利けねぇのか?」


口がない妖であっても、不思議な力で脳内に思念を届ける事があると聞いたが……どうも、天道に言語能力は備わってねぇみてぇだ。


「……ほな、ウチが直感で説得するわ」


「出来るのか?」


「ウチを舐めんといて欲しいわ~。……これでも玖尼はんの自主規制音から気持ちを読み取るくらいの事は出来とるし……」


「……なら任せた……」


玖尼……七賢院 玖尼は、その台詞(セリフ)が殆んど自主規制音というなかなかアレな人物だ。


その気持ちを読み取れるなら……まあ、挑戦する価値はあるだろう。


「……ってな訳で天道はん、ウチの式神になって欲しいんやけど……」


「…………………………」


「いや、確かにボコしたんは悪かったけど……そうでもせな話なんて聞いてくれへんやったやろ?」


「…………………………」


す、(すげ)ぇ……


天道は何も言ってねぇのに、綾香はどんどん話を進めてやがった。


ただまあ、やっぱり説得は難航してそうだな……



……とか何とか思って数分後……


「せやから、ウチには天道はんの力が必要なんよ」


「………………………………」


「お、やっと乗り気になってくれたんやな!」


「………………………………」


……あれ?


割と上手く行ってる気が……



そして、更に数分後……


「え?……そ、宗雪はんはそんなんとちゃうよ……」


「………………………………」


「ぶふっ!?……まあ、いずれは……ごにょごにょごにょ……」


「………………………………」


……何か、関係ねぇ事を話してねぇか?


後、綾香が俺様に惚れてるのは新幹線での会話から知っていたが……だいぶ重症だな……


「……あ、式神契約してくれるん?」


「………………………………」


「ありがとさん。……ほな、何かあったら呼ぶで?」


「………………………………」


あ、上手く行ったっぽいな。


ただ、問題は天道をどうするかだが……


「……ん?……あ、天道はんは遠距離召喚型やのうて、形代憑依型で行くん?」


「……………………………」


「勿論ええで。……ほな、ほい」


ーピカ~ン!


「……あ、消えた……」


基本的に、式神には2種類のタイプがある。


1つは、遠距離から召喚するタイプ。


河濫沱がそのタイプだ。


そしてもう1つが、形代に憑依させて常時持ち歩くタイプ。


天道はこっちを選んだらしく、綾香が持って来ていた形代に入ったようだ。


……そんなこんなで、俺様達の天道調伏は終わった。


だが、この旅路がこれで終わらねぇ事を、この時の俺様は知らなかった……

ご読了ありがとうございます。


次回から、春銭太夫との戦いに向かいます。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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