145.玖尼と■■■■の再会
先日、私は「厄災のアルケニカ~バランスが崩壊し尽くしたVRMMOでプレイヤー達は何を見るか~」という作品を公開しました。
もし興味があればご一読ください。
(空助が行きの夜行バスで移動中、七賢院 玖尼視点)
zzz……zzz……zzz……んっ……
「おい空助、今度こそ俺様がテメェ等をぶっ潰してやるからなぁ!?」
「そうだそうだァ!」
「いい加減にしてください。……僕はもう、沙耶花様にさえ手出ししなければ貴殿方の事なんて考えたくもないんですから……」
………………………おやおやおやぁ~♥️?
「……ん~♥️?」
あららぁ~♥️?
これはまさかぁ~♥️……
「話に聞いていた、宗雪さんの婚約者が決まって見るという夢かしらぁ~♥️?……私だけ、かなり遅い気がするんだけどぉ~♥️?」
待ちに待った、不思議な夢♥️。
けれども、そんな感動に水を差すように……
『文句言うんじゃないデ~ス!』
……突如として私の耳に聞こえて来たのは謎の声♥️。
……あらあらあら♥️。
やっぱり、この夢は貴女が見せてたのねぇ~♥️?
「うふふ♥️……やっぱり、宗雪さんと貴女の間には何かしらの秘密があるみたいねぇ?」
『生憎、それはトップシークレットなので言えマセ~ん!……それと、貴女に夢を見せられなかったのは貴女が奪った力が私の夢を見せる力と競合して上手く能力を発動出来なかったからで……』
「……貴女、本当に凄い神様なの?」
『いや夢を見せるのってそっちが予想してるよりだいぶ繊細な作業なんデスよ~。……具体的に言うと、少しでもミスったら対象が廃人確定とか……』
「怖いわね!?」
なるほどぉ~♥️?
……それなら私の番が遅くなるのも納得だわぁ~♥️。
『で、肝心の夢の続きは見マスか?』
「いいえ、要らないわぁ~♥️」
『え、要らないんデスか!?』
「ええ、要らないわぁ~♥️……けどその代わり、1つだけ聞きたい事があるの♥️」
あり得た世界線の夢は見ない。
宗雪さんが身の程を知らずに増長し続けた世界線の様子なんて、私にかかれば大方の予想はつくのだから。
『……なら、何を聞きたいんデスか?』
「そうねぇ~♥️。……もし宗雪さんが破滅への未来を突き進むのなら、やっぱりその世界線で台風の目になるのは空助さんなのよねぇ~♥️?」
『そうデスが何か?……聞かずとも分かってたんデスよね?』
それはまあ、その通りね。
……でも、それだけでは終わらないのよねぇ~♥️。
「だからこそ、聞きたいのよ。……身も蓋もない事を言えば、私は空助さんがそれ程の器を持ってると思えないわ。……けれども、宗雪さんは真っ先に空助さんを優遇したと聞く……いったい、空助さんが持つ特異性は何なの?」
宗雪さんは、妹の婚約者というだけの空助さんを秘蔵の懐刀ってレベルで優遇……いえ、信頼しているわ。
……だけど、私には彼がそれ程の才を秘めているとは思えないのよねぇ。
ほんと、どういう事なのかしら?
『う~ん、そうデスね~……私も上手く言葉には出来マセんし、そこまでして貴女に教えてあげる義理はありマセ~ん!』
「まあ、それもそうね」
『ただまあ、1つだけ言ってあげると……ソシャゲの没個性型主人公みたいな人とだけ言ってあげマスよ』
「……ソシャゲの没個性型主人公、ねぇ~♥️」
ある意味、空助さんらしいと言えばらしいけど……
……いいえ、この案件は考えるだけ無駄そうね。
『お、考えを投げ出しマシたか~?』
「……貴女に言うつもりがないのは分かったから、もう話すだけ無駄よ」
『お~、手厳しいデスね~』
「表情が見れればまだ分かったんだけど、流石に声色が全く変わらない以上は万事休すだわ~」
……本当に、あの彼が台風の目になり得る世界線があったなんて驚きってぐらいには特異性が見られないわぁ~。
そして、"神"から新しい情報は得られず、と♥️。
『……本当に、貴女は面白くありマセんね~』
「その割には神力を取り上げないじゃなぁ~い♥️」
『私から力の一部を盗み取った事に対するご褒美みたいなものデ~ス!……それに今更"力"を没収するなんて、野暮の極みデ~ス!』
「あらぁ~♥️……その油断が命取りよぉ~♥️?」
ま、私達はしばらくこんな会話をしてたけど……
それでも私は、会話が終わるまで薄っぺらい言葉だけを吐き続けた"神"の底を見る事は叶わなかったわ……
……………………
……………
……
…
ーパチリ
「……やっぱり、駄目だったわぁ~♥️」
「ふん、そりゃご苦労なこった。……あちきが言うのも何だが、命あっての物種だろうによくやるさねぇ……」
……夢での邂逅を終えた私を出迎えたのは、綾香さんの体で私のベッドに座っていた春銭太夫だったわ。
「ふふふ♥️……綾香さんには付き添いを頼んじゃって悪かったわぁ~♥️……何せ、いつその夢を見れるか分からないんだものぉ~♥️」
「……その綾香が寝落ちしちまってたら世話ないんだがねぇ?……しかも、あちきに体の主導権まで明け渡すだなんて無用心だと思わないかい?」
「それだって、春銭太夫を信用して事だと思うわよぉ~♥️?……今の貴女は、不用意に自分が不利益を被る事なんてしないもの♥️」
「……どいつもこいつも、あちきを正しく評価してるが故に甘い対応になってるって事かい……」
……あらまぁ、しおらしいわね。
けどまあ、大人しくなった様に見えて実際は全く改心も反省もしてないのよねぇ~……
「話は変わるけど春銭太夫、そろそろ過去の悪行を反省したらどうなのぉ~♥️?」
「ハァ……同じ事を綾香も時折言って来るが、あちきは自分の過去の行いを一般的に許されない悪行だとは理解した上で、あちき本人が反省すべき事なんて全くないと思ってるよ」
「……頑固ねぇ~♥️」
「ハハッ……あちきがこれまで傷付け殺した人間は数知れず、それでもあちきを制御しようとするのは勝手だがねぇ……そろそろ、どうにもならない現実を見たらどうだい?」
確かに、春銭太夫は馴れ合える相手じゃない。
人を殺す事に躊躇なんてなく、他者を害するのなんて当たり前。
それが、春銭太夫という悪女だったわね。
「ふふふ♥️……」
「……気味が悪いさねぇ」
「い~え、思えば貴女も丸くなったわねぇ~……っと思っただけよぉ~♥️」
「チッ!……本っ当にイライラする話し方だねぇ!」
……何だかんだ、春銭太夫も丸くなったわ。
いくら改心も反省もしていないとはいえ、昔の彼女ならここまで対等に話せなかった筈だもの。
……強いて言えば、態度が軟化したってところかしら♥️?
「ま、それはそうとやっぱり情報を得られなかったのは厳しいわねぇ~♥️」
「そんなに気にする事かい?……宗雪が見た予知夢さえあれば、この先起こる事なんて丸分かりなんだろう?」
「そんなに単純な話じゃないわよ。……筋書きを変えれば起きる事象も変わる……現に、"裏"からの刺客なんて宗雪さんの想定外だったみたいだし……」
「……そういやそうだったさねぇ」
「そういう訳だから、もう八方塞がりなのよぉ~」
本当に、この先何が起こるかなんて誰にも分からない。
その中で、唯一この先を知ってそうな"神"からも情報を得られなかったとなると……
そんなタイミングだったわ。
「それなら……下手したら、宗雪はあの老害も知らないって可能性が高い訳か……実際、現代の退魔師はおろか過去の奴等も知らなかった訳だし……」
「……え、何の話かしらぁ~♥️?」
春銭太夫の口から語られた、興味深いハ・ナ・シ♥️。
……決して、無視は出来ないわよ。
「なぁに、大した話じゃないさ。……夏雅紫姫っていう夏死忌の前任で、出会った奴を皆殺しにしてたせいで誰にも知られてない鬼女が居るってだけの話だよ」
「……え、私は初耳よ!?」
「まあ、その婆さんはとっくの昔に山奥で隠居してるからねぇ。……多分もう寿命間近だし、今更山奥から下りては来ないと思うけどねぇ」
「だと良いのだけど……」
寿命間近の鬼女……
この時、その話を軽く流した事をちょっとだけ後悔する事になるんだけど、この時点の私はまだ知らなかったのよねぇ……
ご読了ありがとうございます。
この先の未来は、神のみぞ知る……
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




