142."葬殺・荒魂共同戦線"は駄弁る
秋楽が主役?の"裏"もやります。
(前話の同時刻、秋楽視点)
"表"は8月上旬になってる今日この頃。
「う~ん、あれから何度か変装して"表"へ行ってみたんでヤンスが……玖尼さん、やっぱりゴリッゴリに生きてるみたいでヤンスね……」
「えっ……マジで言ってるワンか?」
……あのゴタゴタから数週間程度は経過した筈でヤンシたが、未だに"葬殺・荒魂共同戦線"は何の進展も起こせてなかったでヤンス。
それどころか、カースドッグさんがほぼ達成したと確信していたらしい殺しも失敗してたとかいうオマケ付き。
もう、お先真っ暗でヤンスね~。
「それ、確かなんクモ?」
「色んな媒体で調べたでヤンスからね。……直接確かめられた訳ではないでヤンスけど、まあ十中八九は真実でヤンス」
「そ、そんな……あの呪物を何とか出来たとでも言うつもりワンか?」
お~、カースドッグさんはかなりショックを受けてるみたいでヤンスね……
それ程までに自信があったんでヤンショうか。
「ケケケ、失敗なんテ、誰でもあル」
「だからあんまり落ち込むなYO!」
「他人事みたいに言ってるでヤンスね~」
……カースドッグさんの嘆きに対して他人事の様な反応をしたのは、両組織のトップであるマザーさんと崔芥蠡さんでヤンシた。
思えば、共同戦線を組んで以降のこの2人はずっとこんな感じで1歩引いてるでヤンス。
それに加えて……
「ま、それはそうと……マザーちゃんはいい加減、私に謝れYO!」
「ケケケ、嫌ナ、こっタ」
「むぅ……だったら今日こそぶっ潰してやるYO!」
「ケケケ、受けテ、立ツ!」
……この2人、未だに和解してないんでヤンスよね~。
せっかく共同戦線を組んだのに、これじゃあ纏まりが……
「……本当にごめんなさい、と"葵"は楽邪に謝る姿勢を見せます」
「あ、葵さんに謝られても何も解決しないどころか崔芥蠡さんが鬼の形相で睨んで来るだけなんで本当に辞めて欲しいでヤンス……」
「しょぼん、と"葵"は落胆の姿勢を見せます」
「あ、あはは……」
……っと、この絶妙なタイミングであっしに話しかけて来たのは、"荒魂一座"の看板女優こと香炭 葵さんという幽霊の方でヤンシた。
見た目は幼さの残る黒髪長髪の童女で、白い巫女服を着ていたでヤンス。
「……YOYO、葵ちゃんに手ぇ出したら承知しねぇから覚悟しとけYO!」
「分かってるでヤンスよ!……ほんと、変なところで危険は背負いたくないでヤンス……」
「ニヤリ、と"葵"は悪巧みの姿勢を見せます」
「冗談抜きに変な事はしないで欲しいヤンス!」
ぶっちゃけ、ここではこんな感じで命がいくつ有っても足りないんでヤンスよ……
現に、坊っちゃんも鈴虫さんも割り振られた部屋から必要最低限以外だと出て来ようとすらしないでヤンスし……
そのクセ、あっしは結構な頻度で呼ばれるんでヤンスよね……
ハァ……
「ケケケ、まア、頑張レ」
「うぅ……で、今回は何の用でヤンス?」
「ケケケ、楽しくなさそうだナ?」
「そりゃ、ずっと拠点で駄弁ってばかりな割に命の危険とは隣り合わせでヤンスからね!……あっしはもっと楽しみたいんでヤンスよ!」
共同戦線を組んでからというもの、両組織の妖達はずっと拠点で駄弁ってばかり。
ただただあっし等だけが命の危険と隣り合わせな日々でしかなかったでヤンス。
「ケケケ、なら朗報ダ」
「ん?」
「……私達は7日後、"楽争商会"へ宣戦布告を行うつもりだYO!」
「へ?……マジで言ってるでヤンスか!?」
いや、あっしとしてもそういう刺激は大歓迎なんでヤンスけど、いったいどういう風の吹き回しでヤンスか?
とまあ、そう思っていると……
「ま、マジで言ってるクモ!?」
「正気ワンか!?」
「……あ、お二人をしてもそういう反応になるんでヤンスね?」
丁度この場に居たスパイダーさんとカースドッグさんも驚きの声を上げたでヤンス。
「ケケケ、本当ダ」
「……ま、お前達みたいな"裏"でも比較的若い世代の奴等が不安になる気持ちも分かるYO!……何せ、前回起きた大規模組織同士の抗争なんて軽くウン百年は前なんだからYO!」
「ふぁっ!?……てっきり、しょっちゅうやってるもんかと思ってたでヤンス……」
前回の大規模組織同士の抗争はウン百年前……
あっしとしても、それは初耳でヤンスけど?
「そりゃ、組織間での小競り合い程度ならしょっちゅうやってたYO?……でも、お互いの存亡を懸けた抗争は流石に数百年はやってないYO!」
「ケケケ、何処にでモ、漁夫の利狙いノ、中堅組織ガ、居るもんでナ」
「な、なるほどでヤンス……」
要するに、組織の存亡を懸けた抗争なんてしたら漁夫の利狙いの中堅組織がしゃしゃり出て来ると……
……いやまあ、当然の帰結でヤンスか。
「ただまあ、特にそのウン百年前かに起きた前回の抗争がこれまたヤバかったんだYO!……まだ私とマザーちゃんが組んでた頃の話なんだが、"楽争商会"の前身に当たる"楽争問屋"と当時のトップ層組織だった"冥雷幕府"が利害の衝突から抗争に発展してYO!……しかも、それが最終的には鎮圧目的の"汚泥會"や、私やマザーちゃんを始めとした漁夫の利目当ての無数の中小組織も介入しちゃった結果、過去類を見ない最大規模の抗争になっちまってYO!」
「……えっと、何の何が何でヤンスって?」
今の話を噛み砕くと、数百年前の抗争は"楽争商会"の前身と当時のトップ層組織だった"冥雷幕府"がぶつかって、更に横槍も入りまくったと……
軽く聞いてるだけで、当時は相当な混沌だったんだと想像出来るでヤンスな……
そう、思ってたんでヤンスが……
「ケケケ、あれは酷かったナ……」
「ほんとだYO!……というか何が酷かったって、ガチの最後は"楽争問屋"がその抗争の間だけって契約で雇った流浪者の鬼女が、八面六臂の大活躍で"冥雷幕府"と多数の中小組織の構成員を皆殺しにして決着がついたって点だYO!」
「ケケケ、生き残れたノ、ごく少数だっタ」
「……な、何て結末でヤンスか……」
相当な混沌に陥った抗争の結末は、"楽争問屋"が雇った鬼女の手で終結って……
何か切羽詰まった打ち切り漫画みたいでヤンスね。
と、あっしは呑気に話を聞いてたんでヤンスが……
「ケケケ、あいツ、何っテ、名前だったカ……」
「う~ん、色々と名乗ってたYO!……代表的なのだと"夏雅紫姫"、"霧影山の鬼女"、"百花死中の弓取り"辺りだったかYO?」
「ブフォ!?」
……崔芥蠡さんが挙げた名前は、あっしにとってはとても懐かしく、昔過ぎて忘れかけていた程にはここ近年は耳にもしなかったものでヤンシた。
「ン?……ケケケ、どうかしたカ?」
「何か知ってるのかYO!」
「まあ、ちょっと……前職の元同僚で、とっくの昔に引退してた方でヤンスが……」
……夏雅紫姫さんはだいぶ前に隠居されたでヤンスけど、あっしは最後まであの人……いいや鬼女をどうこうする事が出来なかったでヤンス。
多分、死獄童子より難易度高そうでヤンス。
……うん、あの鬼女の事は考えるだけ思考の無駄でヤンス。
「ケケケ、そうカ……」
「あれは悪夢だったYO……あの鬼女、単純な戦闘力だけなら言う程強くない筈なのに、ずっと大物食いを連発してたんだからYO……」
「ん?……そりゃあの鬼女、本人の申告を信じるなら縄文時だ……1万年以上も前から生きてるご長寿さんでヤンスからね……経験だけはしっかりあるでヤンスよ」
「「……………………」」
ーピクッ……ピクピク……
あ、マザーさんと崔芥蠡さんの顔が引き吊ってるでヤンスし、ここらで話を変えるでヤンス。
「そ、それはそうと"楽争商会"ってどんな相手なんでヤンスか?……実際、戦うなら相手の情報は事前に知っておくべきで……」
……あっしは、"楽争商会"関連へと話を切り換えたでヤンス。
そしたら……
「ケケケ、奴等はナ……」
「何って言や良いか迷うYO……基本的にいつの時代だって何処にでも居る妖、1人の"油すまし"で構成された集団だYO!」
「…………何言ってるか分からないでヤンス」
1人の"油すまし"で構成された集団って……
思いっきり矛盾しまくってるでヤンスよね!?
「ケケケ、まア、見たら分かル」
「抗争本番までのお楽しみだYO!」
「そこにサプライズ性は求めてないんでヤンスが……」
結局、この時点であっしは"楽争商会"について詳しく教えて貰えなかったでヤンス。
……もっとも、後にさっきの矛盾ワードが全く矛盾してなかったのだと知る事になるんでヤンスが、それも先の話でヤンシた……
ご読了ありがとうございます。
油すましは今でも居る。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




