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HELLO MORNING  作者: 懐中車
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第一章  朝

WARNING!WARNING!



この小説には、ネットで掲載するには不適切な文章が含まれていますので、ご注意ください。

では、本編へ、GO!


朝が来た。俺の一番好きな時間だ。







窓から板状の橙色の物が、俺の布団に刺さっている。 

その光景は、ずっと昔から、子供のときから見ているはずなのに、いつまで見ていても飽きない。

それほどまでに、その光景は何か惹かれるようなものなのだ。




布団自体は、カビが中央部付近に繁殖していて、これは年前から発生し始めたものなのだが、ほんの2日で見飽きたどころか嫌悪感まで抱くようになった。

それほどまでにその布団は醜い。

そろそろ洗い時かも知れないと思ったがそもそも家にはロクな洗剤も洗濯機もないのでやめた。いや、洗濯機はほんの4年前までは正常に作動していたはずなのだが、ドラム部分が錆付いて壊れてしまった。今じゃ作動させるだけで俺の家で第二次世界大戦が勃発するだろう。俺の洗濯機が日本を勝利に導く。そんなご大層な名誉はうちの洗濯機にはもったいない。もし作動させれば、ご近所からデモ隊が俺の家に押しかけるだろう。もしかしたらもっと大事になって、俺の洗濯機が原因で日本中の赤ん坊が眠れない夜をすごすかもしれない。






そんな猿も笑わないような妄想を繰り返していると、無償に腹が減ってきた。昨日の朝から何も食べていない。

冷蔵庫には、少しの肉があった。しかしこの肉は4年前に調達した肉なので、食に厳しいこの日本でこんなものを食べようとする俺は、恥知らずの恐れ知らずなのだ。

肉をアルミホイルから取り出すと、案の定悪臭がした。しかもその悪臭は部屋の中まで充満する始末。

いざ調理しようと思い、フライパンで焼いてみると、以外にも香ばしい匂いになった。だが市販でよく売っている牛肉を焼くのとはわけが違う。





火が通るのが遅すぎるのだ。

4年前からこの肉を焼いて食べているが、何年たってもこの待ち時間はつらい。腹が悲鳴を上げている。早く食べたい。食欲が増しにまして腹が鳴る。俺の腹はせっかちなのだ。

やっと肉が焼けると、それを皿にもって食べた。味は気違いの食べるゲテモノ料理に魚の腸を混ぜて一週間放置したような味がした。食感はゴムボールを食べているかのようで、硬くてとても俺の歯では太刀打ちできなかった。

ミキサーにかけ、何度か噛み砕いてやっと完食した。途中で鼻に力を入れすぎて、違和感を感じたと思えば、鼻血が出た。朝食でただ肉を噛んでいるだけで流血沙汰になるのは、日本でおそらく俺のみだろう。






テーブルから立ち、今では時代遅れなレトロなTVに電源を入れる。

ニュースがやっていた。どうやら4年前に起きた行方不明事件の捜査が根詰まっているとのことだった。







「・・・・〜45歳前後の女性が行方不明になってから、今日でちょうど3年になります。警視庁では改めて女性の身柄の調査と、女性の知人などに聞き込みをして、調査を進めていく方針で〜・・・・・」







女子アナが席でニュース原稿を読み上げている姿を見ていると、心が癒される気がした。

この女子アナはなかなか賢才瞬麗で、個人的に気に入っている芸能人の一人でもあった。

しかし、その女子アナが凶悪な事件の詳細を述べているのを見ると、なんだか心苦しい気になる。そんな原稿読まなくてもいいのに。いや、こういう原稿を読ませているAD、あるいはこういう原稿を作り出す元となっている世の中が悪いのかもしれない。

 



外を見ると、高校生たちが4人楽しそうに通学路を歩いている。まさに青春というやつだ。その青春を4年前に投げ捨てた俺はただ、そいつらが楽しそうに青春を謳歌しているのを指を加えてみていることしかできなかった。


 

ニュースに飽きると、古びた家の古びたポストから新聞を取り出した。

新聞にはニュースで言っていことと、同じようなことが記事にされていた。こういう情報の重複というのはどうにかならないだろうか。


よく大きな事件が起きると、その時間のバラエティ番組やドキュメンタリー番組が、すべてその事件の詳細を事細かに述べるニュースと化す。更にそのニュースのキャスターは、事細かに詳細を伝え終えると、また最初から詳細を反復しだす。これがまだ1チャンネルぐらいならまだましだろう。だが、チャンネルを変えても変えても、その同じ内容を伝えるだけのニュースだらけで、高視聴率を取れたであろうような番組はその面白くなく、一度見れば需要のなくなるニュース番組に上書きされる。

もし自分がそのような境遇に出くわしたら、俺はマスメディアの視聴者に対する嫌がらせとしか受け取らないだろう。

新聞にざっと目を通し、テレビ欄のページだけを机の上において、後のページはゴミ箱へ投げ入れた。









しばらくすると、誰かが家のチャイムを鳴らした。

家はごく一般的なマンションの、少し風通しの悪い561号室だ。特に目立った場所にあるわけでも無く、どこかぱっとしない位置にあった。ちなみに5階である。

チャイムは2回鳴った。連続したチャイム音が耳に響く。朝っぱらからこうもうるさいと、せっかくのお気に入りの時間が台無しではないか。

機嫌悪そうに出て、相手を苛立たせよう。俺が怒っていることを主張するんだ。

顔をいかにもしかめつらせて、玄関を開けた。





「・・・・・・・・・・・・・・よっちゃん。久しぶり。」





怒る気が一気に失せた。






こいつと会うのは何年ぶりだろうか。かつて中学の恋人。俺の幼馴染でもある。

母親と2人暮らしだった俺は、6年前に住んでいた町からこの町に引っ越してきた.

引っ越した理由というのが、母の勤め先であった風俗店が破綻し、多額の借金を抱えた。

母は俺を連れて借金から逃げ延びようと考え、長年過ごしてきた町に別れを告げる決意をした。

そのときに、ほんの一部の人にしか引越しの挨拶をしなかった。あまり多くの人に、自分の所在を知ってもらいたくなかったのだろう、本当に世話になった人にしか、母は顔をあわせようとはしなかった。





そんな臆病な母をよそに、俺はこっそり、こいつのところに挨拶にいった。

こいつは、俺が遠くの地に引っ越すと聞くと、玄関で泣きじゃくってしまった。俺のために泣いてくれたというのが、中3の俺にはうれしかった。

そして帰り際、こいつは俺のファーストキスを見事きれいなフォームで奪い去った。

なんでキスしたの?と、聞くと、二人が永遠につながっていられるようにという、なんとまあ恥ずかしい台詞を吐いた。

そんな台詞を軽々しく言えるこいつの度胸と、俺に対する愛が、とても、心にしみたことをよく覚えている。






あれ以来、連絡も一切つかず(当時の俺は、携帯電話なるものを持っていなかった)、ずっと疎遠になっていた。

あれからいったいどうしているだろうか。何をしているだろうか。などと考えたこともあった。が、俺はこいつに会いに行かなかった。家は昔と変わってないはずだ。しかし、面倒くさがりな性格の俺は、考えるだけで、そいつのことが今でも好きなのだと思い込み、満足してしまっていた。


そんな風に、ずっと連絡をとっていなかったこいつが、なぜ急に俺の家に現れたのか。

それに、引越し先も教えていないのに、なぜ俺の家の所在地がわかったのか。引越し先は、以前挨拶にいった所の、誰にも伝えていない。

聞きたいことは山ほどあった。




部屋をあらかた片付け、恋人を部屋の中央のテーブル付近に座らせた。

俺は冷蔵庫から、肉の悪臭がばれないように瞬時にお茶を取り出し(この時部屋はすでに換気されており、匂いはほとんど無かった)、適当なコップに注ぐと、恋人の前に差し出した。

恋人は、何の抵抗も無く、そのお茶を若く瑞々しい唇に運んだ。


「このお茶、おいしいね」

「どうも」


お茶が高評価を受け、俺は適当な返事で応えた。










「よっちゃん、あれからずいぶん変わったね。それでもまだ私の好きなよっちゃんだけど。」

「変わったのはお互い様だろ。カンナ


とはいったものの、恋人、カンナはあれ以来、全く変わっていない。

中三の夏に俺があげたヘアピンも、まだつけてくれている。うれしい限りだ。


「よっちゃんは、今どうしてるの?大学とかいったりしてるの?」

「俺は、高1の時、高校辞めて、そっから作家育成の専門学校行ってる。お前は?」

「私は、あれから警察官になったの。婦警って行ったほうがいいのかな。5年前の事件を追ってるの。」

「お前が、婦警か・・・4年前っていうと・・・・・45歳の女性の行方不明事件か・・・・・」

「・・・あのよっちゃんが、ニュースを見るなんてね。明日は槍でも振るんじゃないかな・・・」

「なめんな。」



学校にいっていると言ったが、あれは嘘だ。今の俺はフリーター。バイトを転々としている社会不適合者

普通なら、今の時間学生なら、講師からいろいろな知識を与えてもらっている時間に、俺は家で朝からカビの生えた布団から起きて、腐臭のする肉を食べただけ。

食生活も危うい男が、学校なんざ行っている暇も無いのだ。


嘘も交えての、他愛も無い会話。けど俺は、とても楽しかった。

ここ数年人とあまりしゃべらなくなったし、深く関係を築くのは、かえって疲れるだけだと、人間関係を蔑ろにしてきた。

けど、こう話していると、その考えを改めようかとも思えてくる。かわいらしい笑い声。変幻自在な表情。

カンナを見ていると、とても楽しく思えた。






そうだ。これを気に、部屋を掃除しよう。

洗濯機も新しいのに変えよう。平和な我が家を取り戻すんだ。


冷蔵庫の肉も処分しよう。おいしくてジューシーな肉で、朝を彩ろう。


布団もクリーニングに出そう。夜、カビと頭の位置を気にしなくてすむように。




カンナのおかげだ。鉋が家に来てくれたおかげで、俺の生活は、よりいっそうすばらしいものになることだろう。そこいらの社会人も真っ青だ。

だけど、聞いておきたいこともある。何をしにきたのかはわからないが、なぜ、俺の家がわかったのか。これだけ聞いて、鉋にキスしよう。

ありがとうと、感謝を交えてのキスだ。


そう思った矢先、カンナが俺の質問をしてきた。


「よっちゃん。ちょっと聞きたいことがあってきたの。もちろん、会いに来たってのが一番の理由なんだけど」

「ああ、俺も聞きたいことがあるんだ。どうして俺の家がわか」






















「4年前の事件・・・・・・よっちゃんの、お母さんのことなんだけど、なにか知らない・・・?」























気が変わった。殺してやろうか。


死ね死ね死ね死ね死ね死ね死死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








「ちょっと外行って来るよ。なにか飲み物買ってくる」











ガチャッ











スタスタ










グシャッ




















気がつくと、部屋の真ん中に立っていた。

いつのまにか、鉋はいなくなっていた

変わりに視界にあったのは、大きな白色の、球体だった。朝日だ。















俺の一番好きな、時間になったらしい。

が、それ以外の、深く捻じ曲がったビルや、緑に変色した空や、黒い雲は、どう見たって。


俺が望んだ、あの清清しい朝では、無かったのだ。

どうも、懐中電灯をなくした男です(!?)停電のときどうすんだよ俺・・・orz

さて、小説の構成ですが、どうだったでしょうか?もし、読みにくいなどと意見をいただいたなら、改善してゆきますので、よろしくお願いします。

小説の内容については、私は多くは語らない主義なので、温かい目で見てもらったら幸いです。

さらにこの小説にも目を向けてくださったなら、私は呼んでくれたあなたを好きになります(!?)

では、今後の懐中車に、ダブルラリアット!(!?)

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