表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/6

【公務記録:臨時メンテナンス(担当:ヴァランタンJr.)】

[SYSTEM] STATUS: IMMORTAL. SUBJECT_L: PERPETUAL_ASSET.

日付:XXXXX年XXX月XXX日

記録者:特務防衛騎士団・近接警護分隊長兼筆頭秘書官アーウィング・ジェット・ヴァランタン

対象資産:U-001(エルミタージュ公爵)


1.臨時メンテナンス:メンテナンス担当者(グラディウス卿)による情動調整


* 事案:ヴァルキューラ公爵閣下による公共財情動不備における修正要請


* 概況: 本来なら軍事省休息日。しかし緊急性が高いと判断されたため、時間外公務を履行。特例によりレクリエーションを併用許可あり。


* 周囲の状況: U-001、私(護衛及び記録担当)、グラディウス卿(メンテナンス担当)で行動


* 所見: メンテナンスによる変化は外見上は観測されず。グラディウス卿は「まぁまぁ」との評価。



【エルミタージュ邸・書斎】

1. 休日という名の「デフラグ」:

U-001は寝着のまま、薄暗い書斎で自身の魔導回路図の学習及び最適化に没頭している。

彼にとって「休息」とは、次回の公務でより完璧な『在庫』として振る舞うための学習及び待機時間でしかない。


2. グラディウス卿の来訪:


「あはっ! 兄様、そんな暗いところで自分をいじめてちゃダメだよ。……買い物、行きましょ?」


微細に調整された「親しみやすい」笑顔で接近。


「承知いたしました、ランスロット様。……U-001、外出モードへ移行します」


U-001は拒否することなく快諾。


私はイグニス夫人の要請により、護衛として休日出勤が決定。


「アーウィング様、予定外の呼び出し申し訳ありません。『備品』最適化にご協力ください」


イグニス夫人に労いの菓子をいただいた。


3. 帝都という名の「実験場」:

最高級の服飾店や宝飾店を巡る二人。

グラディウス卿が選ぶ豪華な衣装を、U-001はただの「外装パーツ」として無機質に受け入れていた。


「兄様、これ似合うよ!」


「ありがとうございます。視覚的満足度、最適値を確認しました」


「なんて仲がよく美しい御兄弟でしょう」


周囲から羨望の視線が集中していたが、二人とも気にする様子は見られなかった。


【帝都の高級宝飾店・VIPルーム】

1. タグ付け(Labeling):

グラディウス卿が選んだのは、白金の鎖に大粒の魔宝石をあしらった、首輪を彷彿とさせるチョーカー。

それをU-001の首元に試着。


「ねえ、兄様。これ、すっごく似合ってるよ。僕からのプレゼント」


鏡の中の自分を見たU-001は情動を動かすことなく、ただその魔導的な透過率と形状を確認していた。


「……ありがとうございます。管理タグとして、非常に優れた意匠です。これならば、遠隔からの個体識別も容易でしょう」


2. メンテナンス管理者による「検品」:

その回答にグラディウス卿は微笑みながら、U-001の頭部の(デバイス)に指先で触れる。

強制アクセスによるステータス・チェックに、U-001は抵抗する様子はなし。


「......まだ大丈夫」


グラディウス卿は少々複雑な顔をしていた。

プログラム不備を見つけたのかもしれない。


その複雑な笑みを、U-001のガラスの眼はただ、無機質に映し返していた。


【高級ホテル・デバッグの最中】


グラディウス卿による単独作業。

私は邪魔をしないため外で待機。


「僕が護衛できるから、君はいらないでしょ?」


グラディウス卿の許可により、ありがたく休息時間をいただく。

近隣に武具区域があったため自身の備品購入へ。

新作の魔導剣があったため試し切り。


剣自体を破損。

不良品と考えられた。


【詳細はランスロット侯爵がアーカイブしました。彼のコレクションで公開されます】


「終わったよ。まぁまぁの出来かな」


呼び出されて戻れば、グラディウス卿はいつもの完璧な笑み。


「U-001、最適化を完了しました」


U-001は相変わらず情動にムラは見られなかった。

私には、U-001の前後の変化は把握できず。


【帰路の馬車・車内】

1. 感情の棚卸し(Inventory):

グラディウス卿と別れ、帰路へ。


一人になった馬車の暗がり。

U-001は外の風景をずっと眺めていた。


「.......ランスロット、ごめん、僕は」


小さく呟きが聞こえたが、金色紋が一瞬光ると再び沈黙。




メモ:休日出勤異常なし。あの新魔道具の開発部門に、スペック詐称の疑惑調査が必要か。

ランスロット:「何、また壊したの」

アーウィング:「あれは不良品だろ」

ランスロット:「君の筋力に見合う武器なんてあるのかな。そのまま素手でいけば」

アーウィング:「父上の魔法剣のような、相棒が欲しい」

ランスロット:「相棒、ね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ