第一章23 『ドラゴン討伐2』
森の中に入り村まで戻る途中で作戦を練っていく。
「私は2体なら受け切れるけど、それだとただの足止めって感じだと思うよ。一体だけで、邪魔が入らなければ、1体は確実に倒せると思う」
「僕が4体は無理だな。持って2分。それ以上は魔力切れで終わると思う」
少しシュミレートしてみる。
無理だな。
「いや。無理かな。4体は捌ききれない。」
結界や炎魔法、氷魔法、風魔法、それらを駆使しても、4体は全く無理だと思われる。
「マイ。あいつらの防御力ってどんな感じ?」
「結構強い。5体全部に防御力低下はできるけど、あの巨体となると、戦える時間が30秒ほど縮まる」
それに、魔力を溜める時間も必要なので、現実的ではないだろう。
かけられて一匹と言ったところだ。
「俺が少し気を逸らさせれば2体対応しながら倒すことはできますか?」
「5秒あれば。わがまま言うと10秒は欲しいけど」
「スナイパーだけだと、一瞬だと思います。本当に一瞬。1秒も稼げると思えませんね」
じゃあ没だ。
「1体に防御力低下をかけたら?」
魔力を溜めながら近づいて、奇襲で魔法をかければ一体くらいは防御力低下させられるかもしれない。
「それなら2体を同時に相手してても、1体は確実かな」
「じゃあ、それで行こう。奇襲で一体くらいならかけられるから」
一体目の倒し方は多分オッケー。これに関しては問題ないだろう。
「あと4体は?」
「遠くからのスナイパーはあまり効果がなさそうなので、俺も近くで戦いますかね」
その一体を倒せたとして、僕が2体、ユウが1体、ノールさんが1体に分担できれば。
「その散乱銃の威力ってどれくらい?」
「これは……ドラゴンの鱗を傷つけることができるかな?くらい。だから、今回は、こっちのスナイパーで弱いところ狙う感じかんじです」
話を聞く限り、1体は足止めできるだろう。
「1体を奇襲で倒した後は……ノールさんが1体。ユウが2体、僕が1体で割り振って」
「私が倒してる間に魔力を貯めるってことか」
「そう。1体は僕が倒す。そしたら、もう僕の魔力は1体を足止めするくらいの魔力しか残らない」
「なら、私の持ってる2体を、マイが足止めして。私はサシならば倒せるから」
「じゃあ、その後はユウさんが一体ずつやれば、倒しきれますかね」
頭の中でもう一度シミュレーションしてみる。
最初にユウと僕で1体を仕留める。
残り4体。
次にノールさんが1体、ユウが2体、ノールさんが1体で割り振って、僕が瞬殺する。
これは早ければ早いほど僕らが優勢になる。
残り3体。
そしたら、僕の魔力は足止めできるほどの魔力しかないだろうから、ユウの1体を足止めし、ユウがサシで一体を倒す。
残り2体。
最後は、ユウがサシ、僕とノールさんで一体の足止めをすれば、ユウが最後の2体は倒してくれる。
緻密な計画なため、一つでも崩れると討伐完了は、困難になるだろう。
「無理と判断したら、必ず逃げること。いいね?一体でも多く倒そうとか思わなくていいから」
ユウは僕を見ながら言う。
僕は無理をしたことはなかった気がするんだけど。
「マイはあの狼男の時、お腹突き刺されて痛かったって、私に泣きついてたからね」
「ちょっと⁉︎ユウ。それは」
「マイさんも可愛いところあるじゃないですか。実は、俺もあの日の夜は、腹を突き刺された感覚を思い出したり、夢に出てきたりで、一晩中吐いてました」
思い返せてみれば、あの次の日、ノールさんもずっとあくびを噛み殺していた。
「マイはいつだって可愛いよ」
明日のために魔力を温存するため、今ユウを炙るのは控えよう。
うん。
また1時間の道のりを経て村まで戻ってきた。
「おお。ユウ様」
買い物袋をぶら下げた村長がいた。
「様なんて、さんでもいいですよ」
「すみません。で、どうでしたか?」
「まあ、倒せそうかなとは思います。最悪数日に分けて倒そうかなとか思っている感じです」
「そうですか。よろしくお願いします。部屋はもう用意してあるので、何も予定がなかったら一緒に」
「そうだな。2人とも何かある?」
僕は首を振る。
「無いですね」
ノールさんも首を振りながら言った。
「じゃあ。ご一緒させてもらいます」
村長さんが先を歩く。ユウが村長さんに荷物を持つか尋ねたが、断られたようだ。
「本当に助かります。この村は、商人くらいしか通らない故、ドラゴン討伐など引き受けてくれる人がいませんでしたから。普段もそのような格好で旅をしておられるのですか?」
今のユウの格好は一週間ほど前に、村で草むしりした時に、お礼としてもらったローブのようだが、前が開いていないものだ。
丈も腰まででローブとしては短い。
その時はノールさんは服のほつれを直してもらい、僕はユウと同じようなやつだが肩の出るものを貰った。
どう考えても、レディースなのだが一応動きやすいので着てることもある。
よく考えたら、今日の服はそれ以外ない。
うーん。まあいいか。
「普段は、こんな感じですね。魔物の討伐とかの時は鎧を着ますけど、その鎧は置かせてもらった荷物の中に入っています」
村を見てみると、焼け焦げた瓦礫のようなものがある。
「急に魔物が出てきた時とかは大丈夫なんですか?」
それから意識して、村の中を見ているが、かなりの量の瓦礫があったり、道がえぐれていたり、というところがある。
「2人がいますし、鎧はなくても剣さえあればなんとかなるので」
「そうですか。いい仲間ですね」
結構頻繁にドラゴンがこの村を襲いにきていたりするんだろうか?
ノールさんに耳打ちする。
「ノールさん。あの瓦礫とかって」
「やっぱりですか?言うタイミングを考えていたんですが」
さすが狩人だ。周りを見ている。
「じゃあ、俺から話します?」
「出来れば、そうして貰えると」
ユウと村長さんの話がちょうど終わったので、ノールさんから話を切り出してもらうことにする。
「村長さん。あの瓦礫って……」
「あ?ああ。そうです。ドラゴンが来た時のです」
「そうですか。前回ドラゴンが来たのとかって覚えてたりします?」
「どうだったかな。10日ほど前に一回来たきり、最近は来てないと記憶しています」
大気中の魔力が濃くなる日と薄くなる日と言うのがある。
大気中の魔力が濃くなる日は11日周期。薄くなる日は13日周期だ。
大気中の魔力の量が変わるだけなので、体の中の魔力量は全く変わったりしないが。
「どれくらいの頻度で来るとか分かりますかね?」
「週に全く来ない日も2回くる日もしばしばありますよ」
魔物はその11日と13日の周期で動きが活発になる。
最近の研究では、その魔力の強さの違いで敏感になった魔物たちが、本能的に暴れ出したりするため、僕らに活発になったように見えるのではないかという仮説が建てられていた、ような気がする。
もし、その周期でドラゴンも来ているとすれば、今日はドラゴンが襲ってくる日となる。
その上に、今日は魔力が濃くなる日と薄くなる日が重なる日だ。
この日は特別で、魔力の薄い層と濃い層が入り乱れる。
もしかしたら、いつも以上にドラゴンが暴れるという可能性も否定できない。
「あの、ユウ。ちょっとやらなきゃいけない事があるから先に行ってて」
「なに?なんかまずいことでもあった?」
「結界を張っとこうかなとか思って。村の中心ってここら辺ですよね?」
用心するに越したことはない。
「そうですね。ここら辺が中心です。なんか特別なものを置くとかだったら、あそこの教会を使うといいかもしれません」
「ありがとうございます」
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるのっ……!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。




