第一章14 『始まる3人の旅』
マイは自分んたちの泊まるところを取ってある宿にいた。浮遊魔法で飛んできたため、狩人さんは置いてきている。
「すみません」
「どうしたんだい?お嬢ちゃん」
朝の時とは違う人だ。
カウンターのおばさんにお嬢ちゃんと言われたことは、今は気にしている場合ではない。
「203室に泊まっていたものなんですけど、今から出発しなきゃいけなくて。返金とかはいいので、大丈夫ですか?」
「そうかい。大変だね。大丈夫だよ」
「じゃあ、荷物を取って、もう一回鍵を返しにきます」
おばさんは「はいよー。ゆっくりでいいからね」と言ったが、ゆっくりなどしてられる時間はない。
ちょうどその時に狩人さんが息を切らして宿に入ってきたが、自分は先に階段を使わず、ジャンプをして2階まで上がる。
もちろん、魔法を使ってだ。カウンターのおばさんは驚いていたけれど、気にしない。
部屋の中に入ったら、自分で持ってくものと狩人さんに持って行ってもらうものを頭の中で分ける。
鎧は全て狩人さんに持って行ってもらおう。
ユウのリュックに入っている寝袋や、テントは出さずにそのままになっているので、それを背負う。そのほかの細かいものが入っている、自分のリュックはユウのバックの中にいれられたので、入れてしまう。
「マイさん。……何を持っていけばいいですか?」
僕は狩人さんが上がってくるまでに布に包んでおいたユウの鎧を指す。
「それをお願いします。後はないので、それを持ったらもう西央ルートのところまで行っちゃっていいです」
「本当に大丈夫か?」
「さっきも言っていましたが、僕飛べるんで」
狩人さんはそうかというふうに頷いて部屋を出て行った。
もう一度部屋の中に忘れ物はないか確認する。
ベットに、ユウのTシャツが置いてあった。畳んでいる暇はないので、バックの中に突っ込む。
よし。と呟いて部屋の鍵を閉め、もう一度カウンターまで戻る。
「すみません。お願いします」
僕は203室の鍵をカウンターのおばさんに渡す。
「早いわね。はい。これ。お腹空いたら食べてね」
袋に入れられた食べ物を僕の手に持たせた。中を覗いてみると、歩きながらでも食べやすそうなサンドイッチなどが入っていた。
さすが旅の宿屋だ。
「何から何までありがとうございます」
「気をつけてね」
宿を出たら、部屋の中に入る時に邪魔だからと言って消しておいた杖を手に持つ。自分の体を浮かし、普通に飛ぶだけでなく、加速魔法も付け足した。
普通の魔法使いがこれをやったら10秒と持たないだろう。そもそも、浮遊魔法も1分間続けていられるか怪しい。
しかし、自分にはちょっとしたスキルのおかげで浮遊魔法はコストゼロで使え、ほかの魔力は加速に使うことができる。
屋根の上を飛び続けて、城壁の外までたどり着いた。2人はもういるだろうか。
詳細に分かる高度な探知魔法を使う。魔力消費量が激しいので、加速魔法は一度止める。
一瞬でその周辺を探知できた。どうやら狩人さんはまだ街の中。ユウはかくれなくても見つかっていないようで、道の分かりやすいところにいる。追跡の手はいないので大丈夫か。
「ユウ」
ユウの身長あたりのところで浮力魔法も止めて、綺麗にに着地。
「狩人さんは?」
「もう来る。これユウの荷物ね」
自分の背負っている自分の体に合わない大きさのリュックをユウに渡す。
「ありがとう」
「あとね、これ貰ってきた」
ユウが袋の中を覗く。
「これはありがたい。今日の夕飯にでも食べるとしよう」
前にここを使った人がいるのか、焚き火の跡を囲んで丸太が倒されていた。
「今日はここで野宿しようか」
「そうですね」
ユウの提案に、僕らについてきた狩人さんが言った。旅人がこのような場所を残しっていって、その後に来た人がその場所を使うと言うことも少なくはない。実際、王都の隣町まで行くときはそのような場所を2回くらい使った。
「じゃあ俺、焚き火つけますね」
今日は狩人さんが取ってくれた野生のうさぎ肉もある。旅の中でそのようなご馳走を食べれると言う点でも、狩人さんがついてきてくれてよかった。
「いや、焚き火はマイがつけてくれるから大丈夫だよ」
「今日は魔力を使いすぎちゃったから無理かな」
「嘘つけ」
魔法で火くらいなら簡単につけられる。
「そっか。便利ですね。仲間がいると楽だな」
「本当。荷物の量も減ったし」
本当に言いたかったことは少し違うが、言ってみる。
「じゃあ、私はテントてておくから」
「分かった。あ、杖が手に入ったから結構強い結界を張れるようになったから、ユウも防具外して大丈夫だと思うよ」
ユウはリュックのチャックを開けている。
「ほんと?それはありがたい」
ユウは装備を外して、袋に包んだ。そして、開き掛けのリュックを漁る。
「俺もテント立てちゃうので、火の管理はマイさんにお願いしてもいいですか?」
「いいよいいよ」
狩人さんも立ち上がって、僕らのテントの横に建て始めた。
「ちょっとマイ?」
木の枝を投げ込んで火の調節をしていた僕を突然ユウが呼んだ。
「なに?」
「急いでたから分からなかったけど、マイの荷物私のところに入ってんだけど?」
故意的にやったことだが、僕はなんと言えばいいか分からないので、マイの顔を見るに留めておく。
「さっき荷物の量が減ったって、私が持ってたからって意味?今日、マイの寝袋に私が入ってきてもなにも言わないでね」
怒りかたと言うか、報復の方向が変な方向に向いている。
「あー。えっと。別にいいや」
「言ったね?」
ユウが寝袋に入ってくるところを想像する。きつそう。
「やっぱ嫌だ」
狩人さんは笑っていた。
「仲がいいですね。付き合ってたりするんですか?」
とテントを立てる作業をしながら言った。僕とユウの声が重なる。
「「つ、付き合ってない」」
僕はユウから目を逸らす。
「そうですか。まあ、仲がいいことはいいことですよ。俺、テント張り終わったので、さっき取ったうさぎの肉焼いちゃっていいですか?」
僕の「いいですよ」と言う声とユウの「いいよー」と言う声が重なり、また少し恥ずかしくなる。
肉が焼け、狩人さんが食べやすそうな形に小刀で切り分ける。慣れた手つきだ。
「さすがですね」
「職業柄というのもあるけど、親が料理屋だったからな。西の国の近くの村でやってるから、近くに行った時また紹介してやるよ」
店を継がずに冒険者になったのだろうか?しかし、近くに行ったら紹介してくれるというので、仲が悪いわけではないのだろう。
ほとんどの場合親の店を子が継のだが。
「楽しみです」
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