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弟子誕生!?

「いや〜初出場のインターハイでハットトリックを達成出来て良かった!」


 九狼を始めとした皆はまだロッカールームで勝利を祝してはしゃいでるようだ。ムードメーカーのアイツが騒ぎだすと止まらないからな……

 だが静かに余韻に浸りたかったワタルは一人でスタジアムの外の壁にもたれ掛かり、勝利の美酒の替わりにプロテインを飲んで黄昏れていた。 


「あ、あの……吉城 渡さんですよね?」


 そんな中、日に焼けた褐色の肌に短髪ボーイッシュで可愛らしい女の子が緊張した面持ちで話をかけて来た。

 年は同じくらいだろうか? 半袖半ズボンから見える健康的でスラッとした体型は華奢に見えるが、スポーツ選手のような力強さも感じられる。それでいて出るとこは出ている。

 そんな短パンからチラリとのぞかせる綺麗な生足と黒いスパッツにワタルは思わず目をそらしてしまった。


「そ、そうだけど……」


 まさかまたサインか!? 実はさっき総和の監督にこっそりとサインをせがまれた。

 しかし初めてサインを求められたワタルはオシャレなサインの書きた方を知らず、迷った挙句普通の字で書いてしまい、お互いなんか気まずい雰囲気になった。


「じ、実はさっきの試合を見ていまして……か、感動しました。

 そ、その……よ、良かったら……私の……」


 女の子はもじもじと恥ずかしそうに言葉を搾りだすように続ける。

 この感じは……まさか伝説の告白か!? とうとうワタルに春が来るのか!?


「私の師匠になってくれませんか!?」

「はぇ!?」


 全然違った。師匠ってどう言う事?


「どうやったらあんなシュート打てるんですか? どうやってボールの位置を正確に把握してるんですか? どのタイミングでボールへのタッチ方法を決めているんですか? どうやって……」


 間髪入れずマシンガンのように次々と質問してくる女の子にワタルは頭を抱えた。


(どうしよう……結局全部答えは【ラプラスの魔眼】のおかげになっちゃう。正直に話すとインターハイ・デスゲーム失格になるしなぁ……)


「答えは一つ。考えるな、感じろ! だ」


 ワタルはとりあえず適当に答えてはぐらかす事にした。


「な、なるほど!

 あれこれ考えて時間をかけてしまうとチャンスを逃してしまうから、感じたままに動けって事ですね!?」


 そう言うと女の子は少し大きく感じる胸のポケットからメモを取り出して書き始める。

 流石に拡大解釈にも程があると思うが、罪悪感を感じながらもワタルは何も言い出せなかった。


「オーイ、吉城〜。そこにいるんか?

 そろそろホテルに帰るで……って茉莉花(マリカ)? なんでここにおんねん?」


 九狼の気の抜けた声がする方を見た。


(アニ)ィ……見てたよ。1ゴール、1アシストおめでとう……相変わらずの女子アナ押しはうざかったけど……」

「ほ、ほっとけや……」


 九狼は恥ずかしそうに答える。


「九狼の知り合いか?」

「ああ、紹介するで。一個下の妹の九狼クロウ 茉莉花マリカや」


 ああ九狼の妹だったのか……言われてみると少し面影がある気がするな……

 茉莉花ちゃんは兄の九狼と話す時だけ関西弁になり、ワタルと話す時は標準語の敬語になるようだ。


「ええ、妹の茉莉花です。以後よろしくお願いします。師匠」

「よ、よろしく……」


 もう師匠は確定なのか……


「て言うか茉莉花、なんでここにおんねん?

 今確か女子サッカーU-18の代表合宿中やなかったか?」


 なんだって!? 今九狼サラッと凄い事言わなかったか?

 日本トップクラスのプレイヤーなのか!? もう茉莉花ちゃんじゃなくて茉莉花さんだな。


「うん、でも先週足首を怪我した事が原因でメンバーを外されたんや……」

「そうなんや……気の毒やったなぁ……」

「いや、多分ウチは怪我せんでもU-18メンバーを外されてたわ。ここ一年くらいずっとスランプで伸び悩んでんねん。そんで最近伸びて来た同じポジションのライバルに抜かされたんや……」

「「……」」


 メンバーに選ばれないツラさを良く知っているワタルと九狼は無言になってしまった。


「でも大丈夫や、心配せんといて。

 どうせ怪我で練習出来んから、気分転換に兄ィをからかってやろうと試合を見に来たら、とんでもないもんが見れて悩みが吹き飛んだわ。

 師匠のスーパーゴールが私の迷いを晴らしてくれたんです。これがスランプを抜けるヒントだとビビッと来ました」


 そう言うと茉莉花さんはワタルにウィンクを飛ばして来た。急な不意打ちにワタルは思わずドキッとしてしまった。


「そう言う訳で師匠! 明日の試合も見に行きますので、今日みたいなド派手なシュートをまた見せて下さい。あなたは私の教科書なのです! あんなプレーを私はしたいんです!

 ああ、兄ィの応援はオマケでええな……」


 茉莉花さんはそう言い残し、ペコリとお辞儀をして顔を隠して逃げるように走って去って行った。


「茉莉花……落ち込んでるんかと思ったけど、元気そうで良かったわ……にしてもワシに対してひどない?」

「ま、まぁ、俺の妹よりかは可愛げあるんじゃない?

 でも俺の自己流プレーを教科書にするのはどうかと思うよ……」


 とは言えワタルのゴールに魅せられた人が着実に増えていき嬉しく思うワタルであった。

出すタイミングがだいぶ遅くなりましたが、ようやくヒロイン1登場です。

ここまで読んでくれてありがとうございます


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