第10話【学園都市でのコース選択】
◇◇◇◇第十話 【学園都市でのコース選択】◇◇◇◇
学園生活を送るにあたり、将来どんな人間になってどのように活躍したいかの希望を学園に伝えます。
それにあったルートを学園側が提示し、合意したらこれから一年のカリキュラムが決まります。
まぁ、わたくしは今のところ領主になること以外の選択肢がないのですが。
この学園都市で学ぶ将来像を考えてコースを決めるわけです。
希望する将来に必要であれば一度にたくさんのコースを選択することも可能ですが、時間的に無理が出てきます。
なるべく絞った選択をするほうがよろしいでしょう。
とはいってもわたくしは単に領主としてだけではなく他の分野でもお兄様のお役に立ちたいと思っているので、メインで受講する領主コースの他に武官コースを合わせた複合コースを学ぼうと思います。
まずわたくしが学ぶメインのコースは領主コース。
文官コースと共通の必修七学がメインで、一定以上の成績でその上級講義に参加することができるようになります。
まぁ領主は官僚であり君主でもあるということですわね。
必修七学は文法学、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽の七つで成り立っています。
例えば商業が盛んな都市が領内にある領主や商人だと、算術をベースに上級の商学などが選択されることになるでしょう。
簡単な筆記試験で現状の実力を確認され、同じ授業でもランクが分けられます。
例えば、剣術の場合初級の一の組というのが新入生で最高のランクとなります。
そう、その剣術の技能を生かせるコースが、わたくしが学ぶ二つ目の武官コースですわ。
戦技課、魔法術課、戦術課の大きく三つのカテゴリーに分かれ、そこからさらに細かく分けられています。
成績優秀者は受講免除されたり、成績評定でランクSを取ると、次の年の春、飛び級試験が受けられるなどの優遇が受けられるとのことで、大いに励もうと思っています。
戦技課は各武器ごとに、剣術、棍術、斧術、刀術、拳術、弓術、槍術、暗器術、の八つに分けられています。
わたくし一年目は剣術のみでよいと老師から助言いただいたので、剣術に専念しようと思います。
簡単な試験の結果、見事初級剣術一組に参加できるようになりました。
これは老師の指導のよろしきを得ましたわね。
あと正式に戦技の門弟で証書がある場合は、認定試験のみでよいとされる場合もあるようですわ。
各戦技の流派を武門とも呼びならされていて、武術八門なんて言い方をするときもあるのですわ。
魔法術課はそれぞれの属性ごとに講義される科目が変わってきます。
光術、闇術、水術、地術、炎術に風術。
これが魔法の系統として知られております。
わたくしは、属性的にお兄様と同じ闇術系統に適性があるそうですわ。
ところが、わたくし魔力は多いらしいのですが、大きいが為に細かい制御が苦手ですの、残念ながら。
館にいた時に自分でお風呂を沸かそうと思い水術の基礎である清水を唱えてみたらなんだかうまくいかなくて……
エーリュシエルが、
「どうして姫様の浴槽が毒の沼に!?
おのれ何者の陰謀か!?」
と興奮してしまって、わたくしが自分がやったという説明を理解してもらうのに一苦労したことがございますの。
しかも浄化が効かなくて、処理するのに大変な苦労があったようですわ……
なので、魔法分野は属性講習以前の魔力操作基礎講座……
悲しいですがこれがわたくしにはふさわしそうです。
お兄様は去年闇術で春に受講免除を認められ、中級の飛び級試験にも合格して今年は上級クラスに上がったそうです。
闇術の教官の完全に上を行く実力だそうで、妹であるわたくしも誇らしいですわ。
わたくしもわたくしにできることを精いっぱいやるしかありませんわね……
光術と闇術を二極とし、水術、地術、炎術、風術を四智として先の武術八門と合わせて十四の要素は、二極四智八門として暦や時間の表し方にも使われていますのよ。
本当は文官コースにも行きたかったのですがあまり素養がなさそうなのと、わたくしが受ける二つのコースの必修が多くてあきらめざるを得ませんでした。
どうしても今年受けたい科目をいくつか自由選択科目として受講して、本業の領主コースに余裕が出たら本格的に受講してみたいものですわ。
わたくしは連合王国でも貴族トップクラスの地位にいます、率先垂範の心持でおのれを律しなければならないでしょうね。
エーリュシエルはメイドのレベルを上げるための家政コースと、護衛としての弓術を受講し、あとは可能な限りわたくしのそば近くに侍るそうですわ。
さて、ヴェルガですがこの学園都市でどのように過ごさせるか考えましたが、やはり何か学んでもらうのが一番いいと思うのです。
なので武官コースと習字基礎の講義を受講させようと思ったのですが。
前もって届けていない者、しかもゴブリンを入学させるのはどうか。
などと学園の履修課から問い合わせが来たのです。
わたくしが後見人として学費その他の責任を取るので、ヴィクシア連合王国特待生として入学させるようちょっと強めに申し入れました。
それになぜか老師がこの件に関して、積極的に学園と交渉してくれました。
「ゴブリンの学生なんて面白いじゃねぇか。
学園が差別なく希望する者に教えを説き、国籍と人種を超えて問題を解決するモデルとしてこれ以上の機会はなかなか無いと思うぞ?」
そういって学園を説き伏せヴェルガの入学を認めさせたのですわ。
さすがヴィクシア王国の誇る老師ですわ。
ヴェルガも喜んでいますし、これで全員の受講コースが決まりましたわ。
そして学校に通う時の通常の服装も学園に認定を受け制服として使用できることになりました。
わたくしが親方特製の姫鎧に学園の紋章が表、背後にヴィクシア連合王国紋章が大きく入ったサーコート。
エーリュシエルはメイド服に学園紋章のエプロンと連合王国紋章が入ったボンネット。
ヴェルガはスモックの前に学園紋章で背中は連合王国紋章。
皆なかなかの器量で引き締まって見えますわ、なんて素晴らしい!
ちなみにお兄様の制服は、学園標準服といわれる一般家庭でも購入できる物を、素材から吟味し、どこまで豪華に作れるか職人が丹精込めた物を何着か用意しているということですの。
さすがお兄様です。
さぁこれで入学式を待つばかりですわ。




