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ゲームで人を殺してなぜ悪い!? ~私の彼氏はPK(プレイヤーキル)職人~  作者: ネガメガネ
第2章 早くレベル400ぐらいになってください。えっ、私、まだレベル4なんですけど…
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第22話 間話 現実世界でも春日井真澄は面倒事に巻き込まれる。これって私のせいなのか!?

 「よし! 6時間目終了」


 6時間目に数学というのは私にとってはけっこう酷だ。

 数学は神経を使う。電子黒板でんしディスプレイを60分、超真剣に凝視し、教わった公式で練習問題を解く。

 数学というのはマラソンに似ていると思うのは私だけだろうか。

 一応、授業は個人単位でもクラス単位でも録画してあるから今、分からなくてもテスト前にやり直せばいいだけのことなのだがそれでも時間が惜しい。

 数学のアーカイブを漁るのもめんどうだし、先生に聞きにいくのもシンドイ。

 ここで理解できるならそれにこしたことはない。

 集中が切れないうちに私は先生がしゃべった授業中の余談を消し、ブックマークがきちんと入っているかを確認し机にうつぶせになった。


 私、春日井真澄は福天高校に通う高校一年生だ。

 自分で言うのもなんだが見目麗しく、カワイイとキレイのちょうど中間点にありこのまま成長すれば確実に将来美人と呼ばれることを約束された美少女である。

 入学当初はログイン解禁となったセカンドワールドオンラインで早々にレベルを上げをし、就職の準備を終え人生勝ち組の準備をするつもりだったが一週間ほど前に起きたゲート現象事件というセカンドワールドオンラインの中でも特殊な現象に巻き込まれ今ではすっかりそんなことに興味をなくしてしまった。

 今度、ようやく相棒の祥君が私と一緒にレベル上げをしてくれるというので今は一心にレベル上げに集中している。

 どうもセカンドワールドオンラインをプレイしている高レベルプレイヤーはレベルの高さをあらゆる価値の基準のど真ん中においてる節がありレベルを上げないとまったく相手にもしてくれないのだ。

 早くレベルを上げ、彼のレベルを超えねば多分、彼は私のことを見向きもしてくれないだろう。

 とはいえ、そのレベル差がまだ400もあるのが当面の悩みなのだが…


 少しの休憩のつもりだったが考えごとをしていたせいで授業終了の鐘が鳴って4分ほどたっていた。

 教室にはもう半数ほどの人間しかいなかった。

 そういえば今日は奇数日だから掃除もホームルームも無いんだった。

 皆、帰宅したか部活に行ったか、塾にでも行ったのだろう。

 ここに残ってる人間は特に予定がない人間ばかりだ。

 私も今日は活動が無い。早く帰ってログインし、経験値を稼ぐか! 

 そう思い立ち、立ち上がった瞬間、右斜め後方の女子生徒のかたまりの中から声がかかってきた。


 「春日井さ~報音寺と清水谷の二股はまずいんじゃね~」


 おっと、まだクラス内には人がたくさん残ってるのにそんな爆弾を落としてくる女がまだいたか。

 動揺を顔に出さず、小さくため息をついて心を落ち着かせる。

 振り返って誰かと確認すると納得。水無瀬由香里みなせゆかりさんか。

 このクラスは男子21人、女子19人の40人のクラスだ。そのうち、女子は7人、7人、5人のグループに分かれている。

 今、声をかけてきたのが男子と接点が多く、化粧も濃い、露出が多い勉強よりも体育が得意なグループの通称水無瀬グループのトップ、水無瀬さんだ。

 女の私の目から見てもセクシーでモデル並みにスタイルがよく、スポーツも勉強も得意で私がいなければ確実に彼女がこのクラスのリーダかあるいは傀儡を立てて実質的なトップを取っていた人だ。

 実はこのクラスで私が最も神経を使って相手をしてる一人だったりする。

 彼女をいかに抑えるかがこのクラス女子の運営のコツでもある。

 ただ、彼女は和を乱すような発言をするほど馬鹿でもなければ私と正面対決をして神経戦をするほど間抜けでもあるまい。

 私の分析では現状に満足しているはずだ。

 これ以上、権力を拡大すると私の権力圏に重なり、面倒なクラス内運営と調整をするはめになる。

 本人はそれを望んでないはずだが。

 それは望まず、なおかつ、自分の発言権は確保したいってタイプの人間だ。

 となるとどこから突き上げがきて、言わざるをえない状況に陥ったのか。


 「え~やだな~水無瀬さん。別に2人とつきあってるわけじゃないよ~2人が勝手に助けてくれるだけだよ~」


 わざと勝手に助けるというフレーズを使い、水無瀬系女子全体を挑発する。

 男子にはこの発言が爆弾だとは気づかまい。

 女子は皆、一瞬、顔色が変わったがすぐに元の表情に戻る。

 しかし、一人だけ露骨に顔を歪ませている女がいる。那智山さんだ。

 いや、彼女の好みからすれば報音寺君は外れすぎている。

 となると那智山さんの親友の菜田川さんか。

 那智山さんと菜田川さんは中学は同じ組で同じ女子グループにいたってちゃんと調べはついてる。しかも親友関係にまであったとのことだ。

 高校では同じクラスにまでなり、普通はグループを形成するはずなんだが席順とかタイミングとかで別のグループに割れてしまった。

 まあ、本人達はそれほど気にしてるわけでないが、このグループ形成というのもやっかないな儀式イベントなのだ。

 時には3グループが4グループに分かれたりすることもあるし、グループメンバーがシャッフルすることもある。

 なにより個人の権力値が1年間ずっと同じという訳でもないのだ。

 ああっ、やっぱり殺気を放って私を見ている。そうか知らなかった、菜田川さん、報音寺君に気があるのか。

 それは虎の尾を踏んだな。

 他グループにまで圧力をかけて私を排斥しようとするとはめんどくさいやつだ。

 そんな暇があれば少しでも報音寺君と会話量を増やせばいいのに。

 本当はクラス内コントロールもめんどくさくなってきている。

 こんな発言をしてくるぐらいなら彼女にクラスのコントロールを譲り、私はセカンドワールドオンラインに専念してもいいだけどな。

 けど、まあ、これは性分だし、やれるところまでやるか。

 では調整に入るか。


 「けど、最近、私がレベル上げをサボっちゃって報音寺君には置いてきぼりをくらってるんだ~最初のころはずっと付き合ってくれたのに白状だよね~けど祥君とはよくログインしてるよ。祥君は面倒見がいいよね~おかげでやっとレベル4だよ~」


 報音寺君との距離が開いている、祥君との距離が短くなっているってことをアピール。

 私がレベル4だと告げると水無瀬さんにだけ一瞬、反応があった。

 あれ、彼女もゲームに興味がある派だったのか。


 「報音寺君で思い出したけど、水無瀬さん。報音寺君、授業録画係りなんだけど、意外と編集に時間を取るってこぼしてたんだよね~誰か編集の手伝いを引き受けてくれる人に心当たりないかな~」


 鳩が豆鉄砲をくらったかのような顔をしていたが彼女も知恵が回る。

 すぐに私の意図を理解してくれた。


 「ええっ、私はそういうのはめんどい派だし。ああっ、そういえば菜田川さんって編集が丁寧って噂があったよね? 菜田川さん、お願いできないかな~」


 「私からもお願いするわ~もちろん、私もフォローに入るから」


 「ええっ、どうしようかな~毎日じゃなくて、放課後、暇なときだけでいいなら…」


 菜田川はいかにも渋々引き受けたという様子を演出する。棚ぼたなんだからもっとがっつけよ。

 

 「もちろん、いいよ。じゃあ、報音寺君に連絡しとくね~」


 内心を押し殺し、私はすぐさま報音寺君に連絡を取り、許可を取る。


 「報音寺君、すごく喜んでたよ。じゃあ、明日から時間があるときだけお願いね~」


 こうして、今日も茶番劇が終了した。

 さて、さっさと帰ってログインするか。


 読んで頂きありがとうございました。

 外伝版で作ってた『現実世界で自分の容姿を利用してなぜ悪い!?』を挿入してみました。さすがに更新しないと閲覧数がゼロで固定なのでもったいないなと…

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