第20話 殺人中毒者がPKする訳・裏???
「これで一件落着ですね」
ゲート現象の発生地点から遥か後方に報音寺と楓が佇んでいた。
春日井達がしくじれば彼らが出張るために待機していたのだった。
「知ってる、楓? 何年か前、反目してたギルドやハイランカー、トップレベルがが一致団結して現状、最下層突入を図った件」
「はい。というか報音寺様はその発案者の一人でメンバー選定、スカウト、調整の中心人物の一人だったではないですか」
「よく知ってるね、ギルドの活動とは全く別の行動だったに…ともかく最強の敵と謳われる第7階層を最強メンバーでどうにかクリアし、新ステージの第8階層まで到達した先、彼らを待っていたのはやはり第7階層をはるかに上回る最強の敵だった。しかし第8階層のボスはあまりにも強すぎた。どうやっても勝てず、どれだけレベルを上げても倒せなかった。従って多くの者が第8階層攻略は絶対不可能と判断し、それぞれの生活圏に戻った。しかし彼らの中の何人かは諦められなかった。彼らはあらゆる方法、あらゆる裏技、システムの網を抜ける数多の技を使ってなんとかクリアを目指した。その際の副産物があの大規模消滅魔法だよ。そして現状、彼らの中で第8階層ボス攻略の最も有力な手段の一つと考えられているのが伝説の武器【ミリオンブラッドセイバー】だ。【ミリオンブラッドセイバー】のドロップ条件は超絶難しい。第1条件が全プレイヤーの1パーセントをPKすること、第2条件が特殊ターゲットを永久殺害してようやくドロップするのでは!? っていう話だ。ちょうどその剣のドロップ条件が判明した頃、そのトップレベルプレイヤーの一人がやたらめったらPKするようになったという」
「それが清水谷祥だと?」
「さてね、けど、その第2条件の特殊ターゲットっていうは噂では8640時間ともにプレイした相手らしいよ。8640時間っていうと、ちょうど1年ぐらい一緒にすごしたプレイヤーだね」
報恩寺は独り、楽しげな様子で春日井を見ている。
そこに、いつものとっつきやすいはない。
酷薄そうな笑みを浮かべ、応えのない問いを投げる。
「彼、彼女のクエストにのったか、自分のクエストにのったかどっちなんだろうね」
読んで頂きありがとうございました。まもなく第1章完結です。ガンバって投稿しますよ!




