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第六章 最大のの敵
新型コロナウイルス。
最初は
「まあ、すぐに収まるやろ」
誰もがそう思っていた。
しかし
宴会が消えた
客が来ない。
売上が落ちる。
借金が増える。
従業員を守る。
家賃を払う。
税金を払う。
仕入れ代を払う。
光熱費
毎月金が出ていく
最後まで粘った。
誰もいない店内に一人座っていた。
使われ無くなった鍋
冷蔵庫 冷凍庫には余った食材
厨房には親父から受け継がれ
そして一輝が考えた
数々のレシピが記録された
一冊のノート
それは一輝がまとめ上げた物だった。
店内には誰もいない。
以前は全席お客さんでうまっていた。
笑い声 注文の声 食器の音
いまは何も聞こえない。
「親父ごめんな。もう俺よう頑張らん!
店や家売ってまでよう続けん。
子供にひもじい想いをさせん為に
ここで幕引きするわ。」
涙があふれた。
一月後
五十五年続いた名店が幕を閉じた。
店のシャッターを下ろした。
長男として生まれ。
長男として家業を継ぎ。
長男として家を守ろうとした。
そして、その家業を自分の代で終わらせた。
俺は一人、閉店した店の前に立った。
「親父……すまんな、
結局貴方をよう超えんかったわ!」
一番望むものは手に入らない
「お前は俺から家族も店も奪うんか?」
夢に出て来た男に向かって
心の中で叫んだ!




