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最強の相棒 〜弱い僕と弱い君で異世界最強を目指す〜  作者: グラミヤマ
第一章 底辺ハンター
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第一章16『噛み付く桃と送る黒』

「狩人隊?」


 朝の酒場で聞きなれない単語をアリシアから聞き、それに興味を示すヒロト。 知らなさそうな様子を見たアリシアは 「ふんす」 と鼻息を鳴らし、得意げな顔をして狩人隊のことについてを語り出した。


「狩人隊というのはッスね!『狩人』『料理人』『指南者』『扇動者』で成り立つ、ハンター達が作るギルドの部隊のようなものッス!」


「そういう人達を集めてギルドに申請すれば正式にギルドの部隊として認められるんだよ」


 アリシアがヒロトに説明しているのを見て、対抗意識を燃やしたのかそれに補足するかのようにベルカが喋り出す。

 互いが横目で見つめ合い、涼しい朝だというのに二人揃って汗を垂らしている。


「狩人って、きっとハンターのことだよね? 他の……指南者とか、扇動者っていうのは?」


「ヒロト! 私が……」


「自分が説明するッスー! まずは料理人ッスねー!」


「あっ……!」


 今度こそ自分がヒロトに説明しようとしたが、それも虚しくアリシアに阻まれた。 その裏で憎そうにアリシアを見つめ、親指の爪をギリギリと噛み締めるベルカにヒロトは苦笑い。


「料理人っていうのはッスね! その名の通り、隊の料理を担当する人ッスよ! 狩り前の士気は高まるわ、狩りの後の癒しにもなるわ、狩人さんには欠かせない存在と言っても過言ではないッスね!」


 説明が始まるや否や途端に饒舌になり、興奮している様子がよく分かる。


「そっ、そうなんだ……! 凄いんだね」


「凄いッスよ! 因みに自分料理できるんでそこんところよろしくッス!」


「なっ……!」


 自信満々で得意分野を言い放ち、ベルカはそれに反応する。

 ヒロトはその言葉に期待を寄せたのか、笑顔をアリシアに見せている。


「それってさ、まだ全員揃ってなくても組めるのかな?」


 ワクワク、という効果音が良く似合う表情でアリシアに問いかける。

 その姿は当然、狩人隊というものに憧れを抱いている姿だ。


「もちろんッスよ! でも弱い狩人達はそもそも隊を申請しても通らないらしいッスけどね」


 弱い狩人、というのは簡単に言うと大型モンスターを討伐したことのないハンターのことだ。 当然ヒロトもこの枠組みに該当する。

 それを聞き、ヒロトわかりやすく肩を落としてガックリとする。


「要はガルディノスをパパッと倒しちゃえば隊を組めるってわけッスよ!」


「簡単に言うなー!」


「サーセンッス!」


 軽々しくそう言うアリシアにベルカは騒がしく怒鳴り、アリシアの平謝りが余計にベルカをうるさくする。


「ハハハ……とりあえず、朝ごはんは食べ終わってるし早めに依頼を受けようよ」


 そう言ってヒロトは酒場に来た時に取ってきた依頼書を手に取り、アリシアと同時に席を立つ。

 

「あ、待って!」


 一拍遅れて席を立ったベルカは慌てて二人に付いていく。


「行きますよー!」


「置いてくなー!」


 いそいそと階段を降り、受付嬢のいる場所へと向かう。 ヒロトとアリシアは普通の表情をしているが、暴言を吐く受付嬢と反りが合わないベルカの表情は浮かばない。 更に言えば、赤色の受付嬢に対してもあまり好意的ではないらしく、人付き合いの不向きがその表情から見て取れる。


「少なくともあの緑だけは……」

 

「?」


 一人でブツブツと静かな声で呟いている姿にアリシアは若干不審に思った。

 一階まで降りるとアリシアは受付カウンターを指差し、叫び出す。


「あっ! あの人ッスね、受付嬢さんは! 金髪で美人ッス!」


「っし!」


(ベルカがガッツポーズしてる……)


 後ろ二名のやかましさはさておき、ヒロトはカウンターの前に立って受付嬢に挨拶をする。


「おはようございます、えっと……」


「ラキア、ラキアですよ! 覚えててくださいね!」


 カウンターの内から乗り出し、はつらつとした声で名乗るラキアの姿をベルカは 「ヒロトに近づくな」 とでも言いたそうな顔を向けている。


「はい! 僕は……」


「ヒロトさんでしょ? 知ってますよぉ!」


 更に身を乗り出し、カウンターの上でたわわな胸が自己主張しているのをヒロトは赤面しながら視界に外し、頬をポリポリとかいている。


「ぐぐぐっ……!」


 歯ぎしりをしながらラキアの胸を睨みつけるベルカを他所に、ヒロトから渡された依頼書とハンターカード、そのカウンターに置かれたその他の依頼書の受理を進めるために受付の奥へと去った。

 それを確認すると、ベルカはヒロトにさっきのことを問い詰める。


「ヒロト、なんでアレの胸を見たの?」


「えっ、なんでって……たまたま、かな」


 光が入り込むことを許さない紅い瞳にヒロトの視線が吸い込まれそうになるが、それではいけないと視線を逸らし、言い訳をするヒロトをアリシアはニヤニヤしながら眺めている。

 止めてくれとでも言いたげな顔でアリシアを見つめているが、その意思を汲み取るような反応は一切見せていない。


「ふぅん、そう」


 それだけを言ってベルカは問い詰めるのをやめたが、それでも不満そうな顔をしているのを見てヒロトは申し訳なさそうにしている。


「終わりましたよー! 終わりましたとも!」


 いつの間にか受理を終わらせ、戻ってきていたラキア。 ハンターカードを返し、礼をしてギルドから出ようとするヒロトに手を振りながら別れの挨拶を言った。


 初めてこの世界に来た時から比べると多少は暖かくなったが、それでもギルドから出ると肌寒さというのは感じる。 外とギルド内での温度のギャップにアリシアは肩を揺らしながら、狩りへと向かうヒロト達を送り出す挨拶をする。


「それじゃあ御二方、『ディノスの討伐』頑張って下さいッス! 帰りに食材を買ってきてくだされば晩御飯をお作りしますよ!」


「そんなお金無いよ!」


 相変わらずアリシアに噛み付くベルカ。 これはもう二人の相性の問題なのだろう。


 ヒロトは苦笑いしながらもアリシアに返事をし、平原へと向かって行った。


 


 






 

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