24話 プリシラの追放と女子会議
兄さんと話した後は、プリシラさんの国外追放となる日だと聞かされて、驚きました。
私は、カエルにされたことと兄さんと入れ替わったことを思い出して、恐ろしくて震えました。
「大丈夫か、エリカ。知らない方が良かったかな……」
「ううん、大丈夫。それより、兄さん、プリシラさんに会える?」
「会えることは会えるけど、本当に会いたいのか、エリカ」
「うん」
そうして、私はプリシラさんのいる部屋へ兄さんと一緒に行くことにしました。
プリシラさんの監視されている部屋に入り、プリシラさんと会いました。
「ごきげんよう、ユート陛下、エリカ姫」
プリシラさんは卓球の試合に負けた時と違って、死んだような眼はしていませんでした。
そこにいるのは、兄さんの魅了の魔力の影響を受ける前のプリシラさんがいました。
物静かで優しそうな雰囲気で私と初めて会った時とは違い、ぞっとすることはありませんでした。
「こんにちは、プリシラさん」
「やあ、プリシラ」
「ユート陛下やエリカ姫から会いに来てくれるとは思ってもみませんでした。私はどうやら、陛下の言う通り陛下の魅了の力の虜になっていたのね」
「ああ、プリシラ、どうやら正気に戻ったようだな」
「エリカ姫にも、大変怖い思いをさせてしまって申し訳ございませんでした」
「い、いいえ、プリシラさん。随分、性格が変わったようですけど……」
「はい、魔力を奪う魔具を付けた後、両親に会って、泣かしてしまって、正気に戻ったんです。自分がどれだけ周りに迷惑をかけたのか。そして、私は今までの自分を恥ずかしく思いました」
「そうか、でも、国外追放は今さら、どうしようも出来ないからな」
兄さんが、冷たい口調で言いました。
「はい、それは承知の上です」
「プリシラさんは京魔国を出て、その後は、どうするんですか」
「国外に出ましたら、しばらく、旅をしようかと思います。そして、どこかで留まりたいと思います」
「そうですか、どうか気を付けて下さい」
「ありがとうございます。エリカ姫、そして、ユート陛下……」
プリシラさんは兄さんの前に立ち上がり、唇にキスをしました。
ほんの一瞬のことでした。
「どうか、私があなたを愛していたこと忘れないで下さい」
兄さんは頬を赤らめて、分かったよと言いました。
そして、プリシラさんはお辞儀をして本当の笑顔を見せてくれました。
まるでタンポポのような優しい笑顔でした。
それから、プリシラさんは静かにこの城を去っていきました。
通称、南の方と呼ばれていたプリシラさんが城を去ったことで城の中では様々なウワサが飛び交っていました。
そのことで突如として現れたヴィクトリア姫様の登場でヴィクトリア姫様が好奇な目で見られる様になってしまいました。
ヴィクトリア姫様はユリアーネさんとコーネリアさんを呼んで何やらお話をすることになったのです。
そのことを妖精の友達、エクレールから聞いてすごく気になりました。
「ねえ、エクレール、それって何時やるの?」
「うーんとね、今日のお茶会でヴィクトリア姫様のお部屋でやるみたい」
「すごいね、エクレール。その情報何処で聞いたの?」
「なーいしょ」
「そんなぁ……」
「それより、どうするの、お茶会」
「私も参加する!」
「よーし、そう来なくっちゃ。私も付いて行くから」
そして、私とエクレールはメグさんにヴィクトリア姫様の所に連絡をしてもらい、急きょ、私もお茶会に参加することにしたのです。
ヴィクトリア姫様の部屋にはユリアーネさんとコーネリアさんと私とエクレール、ヴィクトリア姫様が揃いお茶会が始まりました。
「ごきげんよう、皆さん、まずは自己紹介からしますわ。ボクはエストランダ国の第一王女のヴィクトリア・エストランダです。この国に来た目的は、恥ずかしながら、ボクの兄リヒャルトを追いかけてきました。今回、お茶会の茶は私の実家から持ってきた紅茶です。どうぞ、味わって下さい」
そう言って、ヴィクトリア姫様が言うと、私達は紅茶を飲みました。
懐かしい味です。私がエストランダにいた時はよく飲んでいた紅茶です。けれども、この紅茶は最高級品です。美味しいです。
お茶を飲んだ後、周りは何処かピリピリした雰囲気です。
特にユリアーネさんとコーネリアさんの二人はヴィクトリア姫様に対して、ライバル心を持っているようです。
「まず、最初にお聞きしたいのですが、ヴィクトリア姫様はユート陛下のことをどの様にお思いでしょうか」
コーネリアさんが言いました。
「そうですね、好ましい人ではありますが、恋愛感情は全く微塵もございませんわ」
「本当ですか?ヴィクトリア姫様!」
「エリカ、何をそんなに驚くことがありまして」
「い、いいえ」
兄さんに対してのヴィクトリア姫様の恋愛の好感度ゼロは、ちょっと驚きつつも安心している自分に疑問を持ちながらも、話は進み、ユリアーネさんとコーネリアさんのヴィクトリア姫様の態度が和らぎました。
そして、ヴィクトリア姫様から重大な話をされました。
「ボクは年が明けたら、兄、リヒャルトと共に故郷へ帰りますわ」
ヴィクトリア姫様はそう言って、私はヴィクトリア姫様が居なくなること考えると、寂しい気持ちになりました。
こうして、お茶会は無事に終わりました。
そして、ヴィクトリア姫様のウワサはコーネリアさんの陛下愛等部(陛下アイラブ)の会員さんによって兄さんとのウワサは無くなりました。
その日の夜は雪が降りました。
京魔国に来てから初めての雪が降ったのです。
私はヴィクトリア姫様の事を思って、それと同時にヴィルの事を考えていました。
終新の日まであと数日です。
リヒャルト兄さん達とヴィクトリア姫様と私が一緒に居られるにはもう本当に時間がないんだなと思いました。




