愛崎はフラペチーノである〜THEフラペチーノに私は成りたい〜(2026年4月4日投稿)
愛崎はフラペチーノである。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。
何でも薄暗いじめじめしたXでカワイイカワイイ泣いていた事だけは記憶している。
愛崎はここで始めてTHEフラペチーノofチャンキークッキーというものを見た。
しかもあとで聞くとそれはフラペチーノの中で一番名作と呼ばれるモノであったそうだ。
このフラペチーノというのは時々我々を捕まえて胃袋を離さない──女房の様なモノ、という話である。
しかしその当時は何という考えもなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただフラペチーノをがっと掴んでスーとそれを飲み下した時、何だかふわふわした感じがあったばかりである。
掌の中で少し落ちついて、グラスに写った自分の顔を見たのがいわゆる愛崎というモノの見始めであろう。
この時妙なモノだと思った感じが今でも残っている。
女の中でも短い髪の毛に少し離れた切れ長の目。顔の真中にある先の丸い鼻。薄い唇。
第一、顔の輪郭がつるつる真丸で、まるで薬缶だ。
──五月蝿い!!
その後このXでWEB小説家にもだいぶ逢ったがこんな特殊な有様は一度も出会した事がない。
のみならず胸の在処があまりにもシンデレラしている。
『玉に瑕』とは愛崎のために生まれた言葉であろう。『薬缶にバスト』の方が言い得て妙である。
愛崎ははたと考える。
メロンofメロン。チャンキークッキー。加賀棒ほうじ茶。コーヒージェリー。フルーツ-オン-トップ-ヨーグルトwithクラッシュナッツ。
……一体、愛崎の第二の我が家と言える工業街口駅のスタバにはどのメニューが並ぶのであろうか。
メロンofメロン──正式名称は『THEフラペチーノofメロンofメロン』。
正直に言うと、オブオブオブオブ五月蝿い。
レジ前で注文するのである。
想像してみてほしい。
ざふらぺちーのおぶめろんおぶめろん。
三回言えるであろうか。愛崎は不安である。
THE愛崎of不安of不安であるある。
チャンキークッキー──正式名称は割愛するが、これはどうしても「僕、チャッキー」という某映画を思い出す。
愛崎の友人のユウキであれば「チャッキーで」と注文をするであろう。
想像に難くない。
──悪くない。保留である。
加賀棒ほうじ茶──この『棒』とは何であろうか。
茶柱的な意味を纏わせて縁起を稼ごうというのか。
加賀ほうじ茶。それで良いのではなかろうか。
そもそも愛崎はほうじ茶クラシックティーさえ飲めないというのにっ!!
コーヒージェリー──今回、一番引っ掛かったのがこれだ。
コーヒーショップのコーヒージェリー……大いに気になる。
飲んでみたい。
しかし、この『ジェリー』の発音はどうにかならないモノであろうか?
愛崎なら「この……コーヒー……ジェリーの、フラペチーノで」と顔を赤らめてしまいそうである。
その後、上目遣いでパートナーの反応を伺う。
パートナーへのご褒美と言われれば、やぶさかでは無い。
フルーツ-オン-トップ-ヨーグルトwithクラッシュナッツ──本命である。
しかし、名前が長い。Xのポストに耐えきれない。
略して良いのか、略して悪いのかも分からぬ。
「F・T・Y・C躱せるかーっ!」と叫んでしまいそうでアヴドゥル。
フルーツをトップに乗せてヨーグルトにクラッシュナッツを添えた、いかにも健やかな飲み物らしいが、その健やかさを注文口で言い切る自信が愛崎には無い。
パートナーが一息でこれを言えたなら、愛崎はその時点で負けを認めるほかあるまい。
さて、ここまで散々悩んでおきながら、愛崎は未だ注文を決めかねている。
ふわふわした話になってしまった。
フラペチーノだけに。
まこと、泡立った話である。
──お後がよろしい様で。




