第95話 机の角とかに足の指をぶつけるの痛いよね?それをやれって言われたら……。
昨日は出せずに申し訳ございませんでした。色々と忙しくて……。
「(さて、続いての呪いですが……。)」
「ちょっといいかな?」
「(はい?)」
私はずっと気になっていた。こんなこと、誰でも気づくことだろうが……。
「この説明っていつまで続くわけ!?」
現時点でわかっている呪いは、あの人と自分の記憶の"共有の呪い"、死のうと思っても死ねないというわかりやすい"不老不死の呪い"、この洞窟みたいな場所から出ることのできない"地縛の呪い"だ。ほかにも呪いはあるだろうが、一体この説明がいつ終わるのか気になっていた。
「(そうですネ……。今紹介したのが、大きい呪いでして……。)」
「待って。大きい呪いがあるってことは、小さい呪いってのもあるの?」
大があるなら小もあるよね? そう考えるのが普通だよね。
「(その通りですネ。小さい呪いもたくさんありますネ。)」
「小さい呪いって何だろう?」
小さい呪い……。あんまり想像できないなー。
「(そうですネ……。簡単なところですと、そこに机がありますよネ?)」
「まぁ、あるね。ここ、食堂だから。」
食堂に机がなかったら、地面に食べ物を置いて食べないといけないじゃん。普段はそれでいいかもだけど、流石に人前で食べるときはそれはまずいと思うし。
「(では、その机の脚の角に、足の指をぶつけてみてくださいですネ。)」
「え……。嫌だ。」
だって机の角に足の指をぶつけたら、めっちゃ痛いじゃん。よく、足元を見ていなくて、指を角に当てたときの痛さは、誰でも経験したことがある。それを意図してやれといってきたのだ。いやに決まっている。
「(いいから、だまされたと思ってやってみてくださいネ。)」
「うぅ……。」
私は、そっと机の角に足を寄せた。
「……ちょっと待って。」
そういえば、今の私って昔のころの私とは違って、力とか体力とかが断然多い。もしかしたら、私の指で机を壊してしますかもしれない。
「(それは大丈夫ですよ。ここの机はすべて丈夫にできていますんですネ。)」
「うわ!」
私はその声にびっくりして、おもいっきりこけた……と思ったのだが、
「……あれ?」
体は地面につかずに、空中で止まっていた。
「え……これ、一体どうなってるの!?」
「(それが、小さな呪いの一つですネ。絶対にこけない呪い。自分から意図して転がるのは含まれないんですが、このように、意図しないこけ方をしてしまったときに、地面に触れることなく起きることが可能になる呪ですネ。……なんでこうも順序がバラバラになるんですかネ。)」
「これが小さな呪いね。なるほどね。」
……確かに小さい。実際、人間が地面に着くほどのコケる確率なんて、多く見積もっても数年に1回だろう。そんな呪い、発動されずに終わる可能性だってあるはず。これがほんとの小さな呪いだね。
「(最初やろうと思っていたのが、角に指をあてても、痛くない呪いですネ。いくら当てても痛くありません。)」
「え! ほんとに!」
「(はい、ほんとですヨ。)」
私は机の角に指をぶつけてみた。普段なら痛いのに、全然痛くなかった。
「うわー。凄い凄い!」
「(でも、注意がありまして、その呪いの効果はあくまで"角"ですネ。なので、角じゃないところに足の指をあてると、激痛が走るので、ご了承くださいですネ。)」
「いて!」
私は角じゃないところに指をあててしまったらしい。あの痛みが私の足に響いた。
「(いったそばからすぐに当てましたネ。)」
「知らなかったもん。……ってそれ、早く言ってよ……。」
足がしびれてきた。ほんと足の指は危険だよね。ちょっとのことですっごく痛い。
「(その辺は自業自得ってことですネ。……で、小さい呪いはわかっていくれましたかネ。)」
「……えぇ、ものすっごくわかりましたよ。痛いほどわかりました。」
「(それは何よりですネ。)」
もっと違う奴を教えてほしかったな。そうすれば、痛い思いしなくて済んだのに。
「それで、この小さな呪いと大きな呪いを合わせると、大体いくつになるわけ?」
ここが一番重要なところだった。って、なんで小さい呪いの話になったんだっけ?……いつ、脱線した?
「(まぁ、脱線したのは気にしても仕方ないですからネ。いつものことですし。)」
「それもそうだよね。」
話って基本は脱線するもの。会話は基本脱線から始まるよね。
「(そうですネ……。ざっと数えて1000以上はあると思いますネ。)」
「1000以上!?」
1000ってなんの冗談かな? それの説明全部聞くの!? 無理無理。絶対に無理。
「(そうですよネ。私も、全部の説明していたら、私の声が先に消えてしまいますネ。)」
「でも、呪いは全部知っておかないとだめだよね。」
自分はなんの呪いがかかっているか、すべて熟知しているのと知らないのとでは、大きな差になる。知っていれば、それをうまく利用することが出来るかもだし。
「(まぁ、全部の呪い情報を、あなたに贈る方法はなくはないのですが……。)」
「じゃあそれをやろう。」
「(頭がパンクしかけますがいいですかネ?)」
「頭がパンクする?」
「(はい、すべての情報を、共有の呪いで送ります。一度見たものは忘れないものですネ。なので一度全部見てもらおうという作戦ですネ。)」
「それはそれでつらいな。」
一気に情報を持ってこられるってことだよね。……うん頭パンクするね。
「(全部説明するよりかはマシかと思うですが……。)」
「……よし、やろう。」
私は、共有の呪いを利用して、すべての呪いを知ることにしたのだった。




