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異世界転生者は不遇を受けるようです  作者: 星になった少女 えり
第二章 地下ショッピングモール編
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第70話 そうだよ、ここは異世界なんだよ!そのくらいあってもおかしくないんだよ!

途中で視点が変わります。


「はぁ……はぁ……。」

「やっと落ち着いたね。」

「それはそうでしょうが! だって目の前で喋っていた人は、もうすでに死んでるとか聞かされたらこうなるでしょう。」


 まったくもってその通りだろ。


「でも、ここは"異世界"なんだよ。」

「う……。」


 前の世界では絶対あり得なかった。でも、こっちの世界で考えたらどうだろうか? 魔法攻撃があって、モンスターと呼ばれるものがいて、その中にはスライムみたいなやつもいる。その中で、幽霊という存在があるかないかといわれたら……。あるだろうな。高確率でいるだろうな。僕の幽霊モンスターのイメージとはかけ離れてるな。あれ、でもこれはコミュニケーションが取れるから、亜人になるのか? ……もうわからんけど、結論を言おう。異世界なら何でもあり。ありありでーす。


「それもそうだよな。」


 まったくもってその通りでした。すみませんでした。


「んで、死んでるってどういうことなんだ?」


 僕は質問した。


「それは、その言葉……通りの意味……です。」

「つまり死んでるってことか。ってそういうことじゃなくて。」


 そういうことを聞きたかったんじゃなかったんだよな。


「聞き方が悪かったわ。じゃあ、どうやって死んでいるのに僕らとお話ができるわけ?」


 そう、それが聞きたかった。……のか? ちょっとずれた気がするけど。


「そう……です……ね。それは気になります……ね。」


 珠理も興味を示したようだ。これで一安心……か?じゃないよな。


「はい、これは死にぞこないの状態なのです。」

「死にぞこないの状態?」


 また新たな単語が出てきたな。


「はい。なので私はあなたたちとコミュニケーションをとることが出来るのです。」

「な……なるほどな。」


 つまり、死にぞこないの状態だから会話ができるというわけか。やっぱ、わけわからんな。


「んじゃー、しつもーん!」


 悠加がデブの女の人に質問した。完全に雰囲気ぶち壊しなのは気にしない。


「なんでしょう?」

「じゃあ、なんで死にぞこないの状態になったんだ?」

「確かに。」


 普通魂って成仏されるものだよな? じゃなきゃ、周りに死んだおばあちゃんとかが"「希心ーみってるー。」"って言ってるってことだろ? 想像しただけで気持ち悪いわ!


「それは……。」


 デブの女の人は言いにくそうな顔をしていた。


「あんまり言いたくないことなら、言わなくてもいいよ。」


 僕はそう声をかけた。そう言えば、逃げ道があるから逃げることもできる。人ってのは、1つや2つ隠したこととかあるからな。そういう生き物だし。


「いえ、せっかくなので話します。」


 自ら逃げ道をつぶした。あの人、根性あるんだな。僕? 僕はないですよ。ピンチになったらわからないけど、逃げれるんだったら逃げますよ?


「私の過去について話させていただきたいです。」


デブの女の子の過去か。死んでる人の過去を聞けるってなかなか凄いな。今思ってみると。


「私は、この地下モールを作るために働いていました……。」




 私の家庭はとても貧しかったのです。なので、家族そろってこの地下モール作成のために、地下を掘る作業をやっていました。お金を稼ぐために。でも……。


「おい、さっさと手を動かせよ!」

「す……すみません。」


 現場の監督さんは、いつも私たちの仕事の遅さにイラついていました。私はいつもその監督さんに、蹴られていました。


「あの、お父さんは?」


数日前にどっかいってしまったお父さんの所在を聞いてみた。


「あぁ? お前のとーさんは違うところで働いているよ! 口答えするな!」

「すみません。」


 お父さんはあの後から、一度もあっていない。……優しいお父さん。また会いたいな。


チャリンチャリン♪


「お、休憩の時間だ。さっさと飯を食いに行かねーとな。おい、お前。そこで待機な。お前の分も、俺が食っといてやるから。」


 現場の監督さんがサーと、食堂に行った。私にとっての休憩時間がきた。何よりも待ち望んでいる時間だった。唯一休憩できる時間。私の癒しの時間。


「大丈夫かい?」

「お母さん。」


 私のお母さんがそこにいた。お母さんは力仕事はできないので、料理担当だった。そのお母さんが料理を作り終わった後に、たびたび来てくれてた。


「どうせ、休憩もなしに働かせられてるんだろ? ほら、おにぎりだよ。」

「ありがとう。」


 私はおにぎりとお水を受け取った。


「いいのいいの。母さんにはこれぐらいのことしかできないから。」

「うん、ありがとう。私は大丈夫だから。」


 お父さんがいない今、私がしっかりしないと。お母さんのためにもね。


「そうかい……。」


 お母さんはとても心配そうな顔をしていた。きっと疲れていたんだろうな。


「おい、雌豚! 仕事の時間だ!」

「じゃあ、またあとでね。」

「わかった、お母さん。」


 お母さんは男の人に連れてかれてしまった。短い時間だったけど、家族と過ごせた時間。とてもうれしかった。

 お母さんが行ってしまったあと、残った私は、一人寂しくおにぎりを食べていた。お父さんがいたころは二人で食べていたのに。


「さみしいよ。」


私 はそうつぶやいた。なんで貧乏だからってこんな目に合わなくちゃいけないの? 私はそう思った。


「……急いで食べないと。」


 そう、お母さんからもらったおにぎりと水。あの現場監督が返ってくる前に食べないとまずいのだ。私は考えることをやめて、一気に食べて水も飲みほした。


「……ご馳走様。」


 再び考え始めた。ここにきて何年過ぎたのだろうか? 何回春が来て、何回冬を越したのだろうか。それぐらい長い間、地上に出ていない。出れなかった。出させてくれなかった。


「また、青空が見える日が、いつか来るのかな。」


 私はそうつぶやいた。いつか、家族みんなで。


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