第62話 まさかの緊急トラブル!?探そうぜ、緊急ボタン!
ガゴン!
「ん、止まったか?」
「止まりました……ね。」
「着いた……わけないよね。」
「どこ見ても土だらけじゃねーか。」
あれ、これって……
「積んだ臭い?」
「そんなことはないと思う。」
「……その自信どこから来たんだよ。」
「女のかん?」
「あてにならねー。」
よく、女のかんって答えるドラマとかあるよな。完全にあてずっぽじゃねーかっていっつも思うんだけど、毎回そのかんがあってるっていういつもの鉄板だから、主人公特性ってすごいなー、なんて思いながら見てたな。理不尽をひっくり返す魔法の言葉って感じ。
「……どうすれば……いいんでしょうか?」
「それがわかれば、全然問題ないんだけどな。」
急に止まったからよくわかんないな。確か最初、ボタンを押したら動いたけど、行先押すボタン押してなかったから、それが問題だったとか? でも、そんなボタンは見つからなかったし、もしあったとしても、どのボタンがどこ行きかなんてわかんなくてダメじゃん。
「エレベーターに閉じ込められた時の対処法とかって、あったっけ?」
悠加がそう言った。
「……知らない。」
エレベーターで閉じ込められるなんて考えてもなかったかもな。
「日本の場合は……大体電話がある……ので、それで……助けを呼べば……よかったはずです。」
「そういえば、確かに電話のマークが、階層押すボタンの近くにあった気がするな。」
普段は気にしないけど、こういったときにそういうボタンがあるんだな。やっぱり日本って結構いいところだったのかもな。
「私は、アメリカの映画とかで見たんだけど、エレベーターの天井部分が空いて、そこから脱出するのを見たことがあるね。」
「確かにそんなような記憶があるな。なんの映画だったか覚えてないけど。」
天井部分が空く。でもこの場合、天井が空いたところで、逆に中に土が入ってきて生き埋めされる気がしますけど。
「とりあえず、電話のボタンを探すのが最善手かな?」
「そうだね。」
「でも……、全体透明でできている、このエレベーターで……そんなボタンが……存在するのか……って思います。」
「……正論。」
だって全体透明だったじゃん。その中に電話のボタンがあったら、すぐに気づくはずなのに、見つからなかったのだから、そもそも存在しないと考えるのが妥当であるな。
「でも、見る角度とかで見えたり見えなかったりするやつ、あるだろ?」
「その可能性も……ないわけではないですけど……難しいと思います。」
「そうなんだよね。それじゃあ意味がないしね。」
確かにそういった緊急事態に必要な物は目に入りやすいところに置いておくもんだよな。見た目重視にするにしても、そういうものはしっかりと見えるところに……。
「でも、ここでは文化が違う。ならワンチャンあるかもしれないな。」
「よし、探そうぜ!」
「おー!」
「…………はいそうですね。」
ということで、みんなで電話ボタンを探すことになった。
「とりあえず下の方から探してみるか。」
僕らはしゃがんで、じっくり壁のほうをしたから上へとみていった。。
「うーん。」
「…………。」
「ふぅー。」
「んー。」
全然見つからない。これ、本当に存在するのか?
「ん?」
「どうかした、早絵?」
何か早絵が見つけたらしい。唯一しゃがむことが出来ない早絵は、周りをじっくり見てもらっていたのだ。
「いや、あそこに……。」
早絵が指差す方を見てみると、同じく透明なエレベーターに乗ってる人たちがいた。
「あれ? さっきまであんなのなかったよな?」
「ありません……でした……ね。」
「どういうことなんだ?」
今停止しているのはエレベーターが壊れたわけではなかったってことなのかな?
「じゃあこれって……。」
「正常だってことだね。」
「なんじゃそりゃ。」
僕は少し安心した。とりあえず、壊れていたわけではなかったということか。
もう一回、向こうの人たちのエレベーターのほうを見てみると、あれ、みんな笑っていたり、笑いをこらえてるみたいなんだけど?
「あれ、なんで笑ってるだろうね?」
「さぁな。」
「多分……私達が原因……かとおもいます。」
「え?」
あれ、僕ら人に笑われることしてたか?
「焦ってる姿を見て……笑ってたんだと……思います。」
「……そうだな。それかもな。」
確かに、自分たちが知ってることとを相手が知らなくて、その人が焦ってる姿を見ると、面白いものだよな。テレビとかでしかそういった景色見たことないけどな。だって友達いないから。……思ってて悲しくなるな。
「……よし、普通に待とうか。」
「そうね。」
「……はい。」
「おう。」
僕らは普通に待つことにした。……地味になにも持たれずに、立ちっぱなしって辛いものだと後々気付いて、座って待つことになったのはそれから10分後のことであった。……向こうの人たちは全員座っていたのをちゃんと見ておかないから。
ガゴン!
「あ……動き……ました……ね。」
「そうだな……。」
やっと動いたっていう思いはあったけど、かなりの足の疲れと、心の傷を負ってしまった。
「なんで止まってたんでしょうね?」
「さあな。」
なんで止まったのだろうか? 気になるけど、よくわかんないな。向こうのエレベーターも止まっていたわけだし。
「多分……ですけど……。」
「お、珠理。なにか考えでもあるのか?」
「はい……。」
流石だな。やっぱ頭がいい人は考えることが違うのかもしれないな。
「皆さんは……電車に乗ったこと……あります……か?」
「まぁ、あるな。」
「あるね。」
「そりゃ、何度かな。」
「電車のレールが……上りと下り一本ずつあるところは……いいんですが、もし……レールが一本しかない電車……だったら?」
「すれ違いとかができない……ってことね。」
「そういう……ことです。」
「ん?」
「よくわかんねーわ。」
僕と悠加はわかってないが、早絵には伝わったみたいだな。
「つまり……一本のレールに……電車は一つしか走れない……のと同じで……このエレベーターも……線が一本しかなくて……一台しか通れないと……したら?」
「あー。」
「そういうことか、わかったぜ。」
一本の線が使われているときは、一本の線にいるエレベーターが一本の線を通過するまで、行くことが出来ないということか。そうしないと、衝突しちゃうからな。
「反対電車を待ってます状態だったってことか。」
「そういうこと……です。」
「確かに納得するけど、もしそれだったら……説明ほしかったよな。」
電車に乗ってると、反対電車を待つときに車内放送をかけて、車掌さんがなんか言ってくれるから安心するんだけど、そういったものなかったからな。この場合。
「こっちの世界の人たちは、そう言ったところには無頓着なのかもね。」
「そうかもです……ね。」
「はー早くつかねーかなー。」
僕らはしばらくの間、そのエレベーターで暇そうに過ごすのであった。……結構待つのであった。




