第53話 カバーで覆われてる本って中身気になるよね?居残り時間に特別授業開講!
「居残り授業ってホントに何をやればいいのやらな。」
僕はそうつぶやいた。だって、これって授業とは違うからな。何か目的があるわけでもないし、ノルマがあるわけでもない。一体何をする時間なんだろうな。
「そうです……ね。」
珠理が本を読みながらそう答えた。
「Zzz……。」
悠加は爆睡している。そして早絵はトイレに行った。完全に自由な空間と化していた。
「これって、ホントに意味がないような気しかしなんだけどな。」
「でも……しょうがない……です。」
「それもそうだよな。」
こんな居残り授業に、どの先生が一緒について、見てあげようなんて思うだろうか。完全に時間外だから給料も出ないだろうし、やる人なんていないよな。
「そういえば珠理。」
「はい……なんでしょう?」
珠理は本を読んだまま答えた。
「その本なんて言う本なの?」
本には黒いカバーがついており、外からは何を読んでいるのかわからなくて気になっていたのを聞いてみた。
「…………だめです。」
「あれ、そんなにヤバイ系の本なのか?」
僕なんかは本は、透明なブックカバーに入れてたけどな。外から見えた方がいいから。ラノベも漫画も。エロ本とか買ったことなかったから隠すものなかったし、隠す=やばい本って発想しかならないんだけど。
「そんなんじゃ……ないですけど。」
「じゃあどんな本?」
「……スキル辞典……です。」
「スキル辞典?」
「はい……この本には、すべてのスキルが記されているといわれてる本……です。」
「そんな本があるのか。」
ちょうど気になってたんだよな、スキルのことについて。
「珠理、スキルのことについて教えてくれないか。知ってる限りのことでいいから。」
「はい……そうですね……えっと……。」
珠理はなんだか混乱してるようだった。ま、人に説明するのって自分で理解するより難しいからな。
「その説明、私がしよう。」
「え?」
この声は……小鳥遊先生!?
教室の扉が開いて、早絵と小鳥遊先生が入ってきた。
「えっと、早絵。なんで小鳥遊先生がいるの?」
「それはね。ちょうどトイレに行って戻ろうとしたときに偶然会って、小鳥遊先生と話しながら自分の教室に戻ってきたら、スキルがどうのこうのって聞こえてきたから入ってきたわけ。」
「なるほど、全然理解できないな。」
「つまりは……すべて偶然の出来事ってこと……ですか?」
「そう、そういうこと。」
「最初っからそう言ってくれよ……。」
最初の説明じゃ全然わかんなかったわ。
「と、いうこと……は、先生がこの場で……授業してくれる……ですか?」
「その通りだ。」
「……そうですか……。」
珠理は立ち上がり悠加の目の前に行って。
「……起きろー!」
「え。」
珠理は机を引っこ抜いた。結構、力あるんだな。上半身体重をかけた机を引っこ抜くとわ。
一方、悠加はというと、上半身を乗せていた机が急になくなったことで、椅子から転げ落ちた。
「……いったぁー。どうした、しゅり……って先生!? お、おはようございます!」
「おう、おはようございますだな。」
悠加は慌てて机を戻して席に着いた。その動作、わずかに1秒。めっちゃ早かった。
「って、え? なんで先生いるの?」
「今日は……特別授業……だって。」
「珍しいな。この教室では初めてじゃね?」
「多分……そう……だね。」
「よし、全員準備はできたな、じゃあ授業を始めるぞ。」
小鳥遊先生が黒板にスラーと文字や絵を描いた。ほんと小鳥遊先生の黒板は見やすいな。
「今日は、ペン書きの人がいるから、ノートをとる時間を少し多めにとるからな。」
「すみません……。」
そうだったな。珠理はドローの魔法が使えないんだったな。毎回書くとなると相当つらいだろうな。
数分後。
「先生……大丈夫……です。」
「わかった。それじゃあ説明するぞ。」
そう言って先生が黒板に指差した。
「まず、スキルについてだが、スキルは自分のギルドカードには表示されない。」
カードの絵にバツ印がついている。なるほど、スキルはギルドカードにはついていないのか。わかりやすい。
「理由は簡単だ。スキルほど、人に見られてはいけないというものだからだ。それを知られてしまうと、もしPvPになった時完全に不利になってしまうのを防ぐためだ。」
確かにそうだな。もし、相手が無属性攻撃以外無敵みたいなスキルを持っていたとして、それを知ってるか知らないかによって、勝率が一気に変わる。知ってる人なら無属性攻撃をするし、知らない人なら属性攻撃を放って効かないっていうのを試さなければいけない。これは戦場で大いに変わってくる話だな。
「ただし例外もある。希心と早絵はよくわかってるかもしれないが、御剣は勇者の卵というスキルを持ってることは知ってるな。」
「あ、はい、知ってます。」
「勇者の卵は逆に知られなければいけないスキルだ。例えば、御剣がこのスキルを持ってるということを知らない人が御剣をいじめたとしよう。その時、そのいじめた人は、勇者に逆らった、ということは魔物もしくは魔王。そう、その人はスキルによって魔物に変えられてしまったりする可能性が出てきてしまうからだ。」
「そ、そんなに凄いスキルだったんだな。」
御剣に逆らったら魔物になる。とんだチートスキルだ。それさえあれば、だれにもいじめられない。人には完全無敵のスキルだな。
「でも、自分がどんなスキルを持ってるかなんてわかるわけがない。そこでだ。」
先生が水晶マークの看板みたいな絵をさした。
「この、水晶マークが目印の店、スキル鑑定の店に行かなくてはいけないんだ。」
「いちいちそういうところに行かなきゃいけないのか。」
「そういうことだ。」
確かにスキルが見られるのはまずいのかもしれないけど、いちいちそういうところ行かないとわかんないのは嫌だな。めんどくさいし。
「先生……質問……いいですか?」
「どうぞ。」
「そのスキル鑑定には……お金が……いりますか?」
「もちろんいる。それで商売してる人もいるからな。」
「なるほど……です。」
さらにお金もかかるのか。スキルを知りたいけど、流石にお金まで払って聞きたくはないかもな。
「どうにかして無料で聞くことが出来ないのかな?」
僕はぼそっとつぶやいた。
「一つだけ今、方法がある。」
「ほんとですか!」
早絵が車いすから立ち上がった。それは気になるよね、自分のスキル。僕も気になる。
「よし、じゃあ教室を移動しよう。」
小鳥遊先生が教室の外に出た。僕らも続いて外に出たのであった。




