第31話 LightとRightとWriteの違い!?休憩時間の出来事2
「ねぇ、希心。ノート見せて。」
休み時間になって早絵が来た。
「あれ、早絵ノートとってなかったの?」
「それはそうでしょ? 私筆記用具持ってないよ。」
「そうか。」
そういえば早絵は何も持たずに転生したからな。筆記用具とかも持ってなかったか。不覚。
「ってことでノート見せて。後、ボールペンかシャーペン貸して。」
「……。」
「希心どうしたの?」
僕は迷った。さっきメモしたノートをちらりと見た。これはまずいぞ。多分、自分しか読めないぞ。
「早絵。これが解読できるか?」
僕はしょうがなく早絵にノートを見せた。
「うわ。読めない。」
「だろうな。僕は自慢じゃないけどクラスで2番目に字がへたくそって小学生時に言われたぞ。」
「ほんと、自慢にならないじゃない。」
早絵はため息をついた。
「これ、希心もちゃんと見返しできるの?」
「できるところはちゃんとできる。ほら、そこにはアス大陸って書いてあるだろ?」
「これがアス大陸って読むの!?」
「そうだ。ちゃんと読めるだろ?」
「私には読めないの!」
「そうだよな。自分しか読めないようにしてるから。」
「それ、なんの意味があるの?」
「盗聴防止?」
「盗聴の意味わかっていってる?」
「盗み聞くでしょ? あれ、なんかおかしいな。」
「しいて言うなら情報漏洩を防ぐとかでしょうね。」
「そう、それが言いたかった。」
盗聴って聞く方だったね。文字を聞くなんてできなかったわ。
「でも、そんなたいそうなこと書いてないし。そもそも情報漏洩してもいい事じゃないの?」
「まぁ、そういうことは気にするなって。」
もうそろそろぼろが出そうだし、質問攻めはやめてほしいところなんだけど。
「二人ともどうかしたの?」
「ナイスタイミング! 御剣。」
御剣が会話に参加してくれた。はぁ、マジで助かった。
「なるほどね。早絵さんはさっきの授業内容が書けなくて、希心くんのノートを借りて移そうとしたけど、字が汚くて読めなかったと。」
「そうね。それで御剣君、ノート見せてほしいな。」
「それはいいんだけど。」
あれ、もしかして御剣も字が汚いとか?
「はい、どうぞ。」
御剣がノートを開くと、中身は完全に丸コピだった。図もさっき小鳥遊先生が書いた図の通り1ミリたりともずれていなかったし、文字もまるで小鳥遊先生が書いたって言っても信じてしまうほどの完全コピーだった。
「すっごく綺麗! 御剣君、字もうまいんだね。」
「いや、これは魔法'ドロー'を使ったんですよ。」
「魔法'ドロー'?」
もしかしてみんながやってた魔法なのかな? だったらすごく気になるんだけど。
「はい。魔法'ドロー'は見た文字や図なんかを紙なんかに移せる魔法なんです。比較的にあまりMPを使わずにできるので、小さい子供でもできますよ。やり方は目で移したいものをしっかり見て、脳で思い浮かべながら紙に向かって'ドロー'と唱えるだけです。」
「へぇー、私もやってみよっと。」
そう言って早絵が御剣のノートを2秒ぐらい見てから自分のノートに向かって
「'ドロー'」
と唱えた。すると真っ白だった早絵のノートに御剣ノートに書かれていたものが書かれていた。
「凄いな。ちょっと僕もやってみようかな。」
「やっぱり自分の字が読めなかったんでしょ?」
「そういうところは突っ込まないの。」
僕は御剣ノートを見た。その内容を頭で整理して、
「'ドロー'」
と唱えた。若干ぼやけている気がするけど気にしない。気にしちゃいけない。
「あんまりうまくいかなかったりしたら、手でなぞりながら'ドロー'を唱えるとうまくいくから参考にしてね。」
「あぁ、だからさっき手でノートをなぞりながらやってた人がいたわけか。そういえば羽ペンを動かして書いてる人もいたけど……。」
「あぁ、それは'ライト'という魔法ですね。明りの魔法'ライト'とよく似ていますが、舌がつくかつかないかの差ですね。」
「そういえばWriteとLightでは発音が違ったわね。rの発音が何とかって。」
「早絵さん発音がうまいですね。ちゃんとわかれていました。」
「そう、ありがとね。」
「でも、先生の授業では'ドロー'の魔法のほうが便利なので、そっちを使うことをお勧めしますよ。」
「確かにな。だって先生の文字完全に丸コピできるなら、そっちの方が楽だもんな。」
「ただし弱点もありますよ。先生が黒板には書かなかった情報などは、もちろんながらコピーできません。」
「つまり、何かに書かれてないとだめ。というわけね。」
「そう、その通りなんです。まぁ小鳥遊先生はちゃんと豆知識も黒板に書いてくれるので、その分やりやすいですけど。」
もしかすると小鳥遊先生はそれを見込んで黒板に書いているのかもな。
「これで次の授業は安心ね。でも、希心。シャーペンかボールペンどっちか貸しなさいよね。」
「別いらないじゃん。」
「万が一のためよ。不慮の事態を避けたいだけ。」
「しょうがないな。」
僕は筆箱からシャープペンシルを1本取り出した。ちなみに貸したシャープペンシルは今までも貸すためのシャーペンとして入れていたものだった。こっちの世界に来ても需要があるとは思ってなかったけどな。
「ありがとね。」
「そういえば、次の授業はモンスターについての話だっけな?」
「そうみたいです。モンスターによっては攻撃パターンや弱点なんかが別々に存在するためしっかり受けないとだめですね。」
「そうね。希心は居眠り禁止ね。」
「居眠りなんかしませんから! 昔じゃあるまいし。」
「やっぱ昔のころは居眠りしてたんじゃん。」
「いいじゃねーかよ。過去は過去。今は今だろ。」
「はいはい、そうですねー。」
絶対次の時間居眠りしないように気を付けよう。絶対早絵の監視があるだろうし。
「あ、もうそろそろ時間ですね。では僕は席に戻りますね。」
御剣が席に戻っていった。
「そうね。私もそろそろ戻らないとね。」
「さっさと戻れよ。」
「居眠りしないよね?」
「しないから!」
「そう? じゃあまたあとでね。」
早絵も自分の席に戻っていった。はぁ。次の時間はほんとに気を引き締めて授業を受けよう! 僕は本当にそう思った。心からそう思った。




