第八話 執務室
穂月視点です
城に着いて、「魔王の執務室」に案内してもらった。
「意外と狭いな」
王の部屋、だから相当広いのだろうと想像していたが小中学校の教室一つ分くらいしかない。
「必要ないからな。それにここは、強い結界を張ってある。広すぎると効果が薄くなるんだ。」
相変わらず、机に向かっている愛想なくギスターがいう。
部屋の奥に大きめの机があり、中央には4つ机が寄せ集められている。
奥の机が魔王の机らしい。
熾音は慣れないのか入口にいる俺の横に立っているんだけどな。
「普段どんな仕事してんだ?」
「戦争が起きないようにぃ、人間界との調節してるよー」
いつもよりは真面目に答えるモネード。
まぁ、机に座ってて行儀は悪いけど。
戦争したくないのか。
人間界では魔族が戦争仕掛けてるっていうふうにならったんだが。
「俺は魔術の開発、研究だ」
「レルハとオレはっ、軍の訓練だよ!結構強いんだ」
軍はやっぱりある。
「魔王って何するの?」
なんか四人いればいい気がしてきた。
「とりあえず居るだけで人間界への牽制になる。パーティーに出て上級魔族をコントロール、あと、いろんな事を決定する……くらいかしら」
レルハさんがいう。
「あぁ。だからとりあえずパーティーを開くべきなんだが……」
ギスターが熾音をちらっと見る。
「穂月が一緒なら」
「じゃあ、でよっか」
軽くいうと四人の表情が厳しくなった。
「勇者がエスコートすると、魔族が反感もって攻撃してくると思うよ?」
レオが代表して言った。
「まぁ、大丈夫だろ。」
っていうか認めてもらえないと熾音をまもれないしな。
っていうことでパーティー開催が決定した。
「っていうか、穂月ってこの世界来て何日目なのぉ?」
モネード聞かれた。
いい加減この口調とピンク頭にも慣れてきたな……慣れって凄い。
「72日」
これはしっかり数えてるんだよなー。
こっちの暦って日本と変わらないからさ、数えやすかった。
「……72日?」
「そうだけど。っていうかパーティーはいつにする?一ヶ月くらい後?」
「いや、10日後だ」
準備もあるだろうと思って聞くと、ギスターが感情を押し殺した冷たい声で言った。