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四ツ辻に立つ声  作者: 臥亜


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8/10

消える方の名前

翌朝。


蒼は、自室のベッドで目を覚ました。


汗でシャツが濡れている。


夢。


……夢だ。


だが。


スマートフォンの通知が鳴る。


画面を開く。


SNS。


昨夜の投稿がある。


四ツ辻の写真。


中央に、誰かが立っている。


顔は、ぼやけている。


コメントが一件。


「中央に立ってるの、亮太じゃない?」


蒼の喉が、鳴った。


投稿者名を見る。


自分のアカウント。


だが。


表示名が違う。


【Ryo_4way】


蒼の記憶にないID。


プロフィールを開く。


自己紹介欄。


『中央に立っていたのは、俺だ』


スクロールする。


過去の投稿。


四ツ辻。


中央。


白い顔。


そして、日付。


――十年前。


蒼は、そのとき確かに生きていた。


だが。


そのアカウントは、十年前から存在している。


ありえない。


蒼の指が震える。


通知が増える。


DM。


一通。


『戻ってきたね』


送信者名は、蒼の本名。


蒼が、自分に送っている。


画面が、滲む。


鏡を見る。


そこに映っているのは。


蒼だ。


だが。


その目の奥で、誰かが笑っている。


「消える方は、いつも気づくのが遅い」


声が、背後からした。


振り向く。


誰もいない。


だが、部屋の中央に。


わずかに、影が濃い場所がある。


十字の形に。


蒼は、息を止めた。


中央は。


家の中にも、ある。


そして。


そこに立っているのは。


今度は――


蒼ではない。



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