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W・M・S (Warlock Magus System)  作者: 渡野さら
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第89話 雷帝宮での2

 


 朝の定期通信で補完して、状況にも人的にも異常が無いのを確認する。

 特に家族には念入りだ。ステータスも見て、だ。


 エイミィは腕の中でぐっすり眠っているので、起こさない様に観察する。

 国内の標準的な容姿の金髪ストレートに碧眼で、160cm程度の細身体型。顔も可愛らしい感じで、育ちが良いのは直ぐに分る。家は騎士団の家系だが、本人は嗜み程度の感覚で鍛錬と武力を収めている感じだな。体格的にもこの細身では辛いだろうしな。


 アーシャ達はランダース家が騎士団副長だから、武門の取り込みに有効と判断したのだろう。

 実際そうだな。軍の役職は一代限りのモノだからだが、近衛や騎士団は血統で入るから、武門で纏め易いのだ。そこでエイミィを娶り、副長の家と親戚になるのはメリットしか無い。



 あれこれ考えていたら6時になっていた。初夜だったから、先に一人で出るのは不味いだろう。少し、抱き締めておいてやるかな。すると、エイミィの瞼が僅かに震えて青い眼が開く。まだ目が覚めていないのか、ぽ~っと、していたが、やがて現状を理解したのか驚いた様に目が開き、


「ぁ、おは、おはよう、ございます、せん。旦那様。寝顔は恥ずかしいですわ。」

「ん、おはようエイミィ。睡眠は十分か?身体は大丈夫か?」

「はい。優しくして頂いたので、嬉しさ以外は有りません!夢でしたから。」

「ふむ、そうか。ならば良いが、此れからは夫婦だから何でも言うのだぞ?学校はカトリーヌと同じ様に卒業迄は通えばいい。後は妻連合の研究の手伝いとかな。」

「分かりました。女同士で学ばせて頂きますわ。」

「ああ、風呂の前にお茶を飲もう」



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「だんなさま、エイミィちゃんは大丈夫でしたか?」

「ああ、昨晩無事に終わったぞ。此れからは妻同士でも仲良くな」

「ふぁい。でも、一緒に戦うのは譲りませんけれど。わたし、ずっと一緒ですもん。」

「そうだな。だが、カトリーヌはカトリーヌだぞ?関係無く好きだからな?」

「はい、嬉しいです!お風呂行きますか?」

「そうだな」



 アーシャ達もボチボチ浴場に向かっている様子だから丁度良かったかな?

 風呂で皆が集まって、流し合いをして、湯に浸かる。

 この時間も結構好きなんだよな。妻達も嬉しそうだし、基本全員だし、町娘の様にキャッキャッとはしゃぐ姿が何とも可愛らしく、純真な乙女の戯れの様で、見ているだけで癒されるんだよな。自然と俺の顔も綻ぶと言うものだ。

 ん?アーシャが不思議そうに見ているぞ?


「どうされましたか?旦那様。」

「うん。可愛い妻達が戯れる姿を見ているだけで、幸せな気分になるんだ」

「まあ!嬉しいですわ!もっと幸せになって下さいまし!!」

「「「「「「「「「「「「「「それっ~!」」」」」」」」」」」」」」


「おおっと!そう来たか!分裂だ!」



 朝から風呂で分裂して騒いでしまった。だが、妻達が楽しそうだから正解だと思いたい。風呂から出ると、既に朝食の時間になっていた。長風呂してしまったかな?偶には良いか。

 朝食には王太后様も食堂に来て、皆で取れた。食後は談話室でお茶しながら食休めをして、この後の予定を話し合う。



「旦那様はどうなさるのですか?」

「一人は皆に着いておくが、”トンネル”だな。今日で開通だから。北部の開発と領内の町村や港の視察。執務室で引き続きの作業をしなくてはな」


「今日くらいはお休みしませんか?過労が心配です。」

「そうです旦那様、働き過ぎですわ!程々にして下さいませ!」

「そうは言ってもな、”トンネル”は開通させたいし、視察も手は抜けん。北部開発はこの領の命運を握っているから、止めるのは………いや、トンネルと北部に四人だけにしよう」


「それでも……いえ、仕方有りませんわね。」

「テラスで城下でも眺めながら雑談しよう」

「「「「「「「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」」」」」」」



 外周テラスに出て、そこでお茶にした。景色も外の空気もいいし、チビムートも飛んで来て楽しそうだしな。カトリーヌと戯れているし。雲一つ無い青空は抜けるように天高く、東の石切山地の斜面から城下への街並みが白を基調とした外壁で、日光を反射して眩しい。遠く南側と西側の海もコバルトブルーで美しいのだ。頬を撫でるそよ風も心地いい。この環境でお茶を飲むのも贅沢だな。


「旦那様、美しい景色ですわね?」

「ああ、最高だな。実は西の沖に見える島に、家の別荘を考えているんだ。もう一つはコルトラス川の畔かな?いいと思わない?」


「まあ!それは良い考えですわ!是非に欲しいです!」

「「「「「別荘欲しいです!」」」」」

「「「「「賛成です!」」」」」

「「「「「「「「行きたいですわ!」」」」」」」」


「だろ?早目に取り掛かるつもり。領内に観光地も考えているしね」

「わたしの故郷に行く序でに、旦那様と見て来ますね。」

「あら、あそこも環境の良い場所よね?いいわね。」

「そうですねアーシャ様。コルトラス川の景色も自然豊かで良かったです。」

「また行きたい場所ですわね。」

「そこの島も良いですわね?無人でしょうか?」

「そうだね、無人島だよ。静かで、ビーチも有って、森も有って、いいだろ?」



 そんな話をしながら、ゆっくりと時間が流れて行く。こんな時間も妻達とも過ごさないといけないな。仕事は勿論大切だ。民に対して責任が有るのだから。だが、心の余裕の為にも、時間は作らないとな。


 周りに座って控えている侍女達も別荘は楽しみな感じだな。エリダや王太后様も興味が有るようだし、早目に実現させてあげないとな。


 デッカー達の騎士団連中は、ここに護衛は着けているものの、朝から練兵場で本気の特訓が始まっているようだ。何故なら、総長で人類最強のデッカーと、二番手のクワトロが居るのだから、武人なら燃えて滾って仕方無いと思う。アーノルドも当然そっちに参加だから、アネッサとメルルはこっちに合流している。しているが、委縮して小さくなっている。カトリーヌとエイミィに挟まってはいるが。


 政務官達も夜の舞踏会以外は休みにして、王都から呼んだ家族と一緒に団欒している。文官衆も交代勤務にして、ちゃんと休みは取らせて有る。一番忙しいのは、使用人達だ。舞踏会が終わって片付けが完了する迄は気が抜けない筈なのだ。


 宮廷魔術師達は当然休みだし、魔術師団員も交代勤務と休日に分けて有る。警備隊は通常シフトよりは警戒態勢にしてあるが、過剰にはしてない。彼等は城下のバハムート祭りが終わってからだな。今晩を乗り切れば、何とかひと段落なのだが………女性陣は好きな人が多いから、頑張らないとな。


 そんな事をつらつらと考えながら雑談に興じている間に、昼食の時間だ。

 なので、皆で食堂に移動する。アネッサとメルルも一緒にだ。

 流石に王太后様が上座で、俺と正妻の妻達が次に。側室の妻達は更に次になる。料理人達も張り切った様で、料理を見れば力作かどうかが分るな。まぁ、力が入るのも仕方無いか。




 女性陣は早目の支度に取り掛かったから、一人分裂して、練兵場に様子を見に行く事にした。奴等がどの程度の鍛錬をしているか気になるし、俺も少し手解きしてやらないとな。本当は毎日猛烈な扱きをしたいのだが、優先順位が今は低いんだよ。領地の立て直しが最優先だからな。



 練兵場に近づいただけで、熱気が伝わって来る。訓練用の刃引き剣だが、剣戟の激しい音や怒声等が聞こえて来るのだ。場内を三面にして、デッカー、クワトロ、カスタロッサがそれぞれ指導と言う名の扱きを行っていた。中々に気合いが入っているじゃあないか!たのもしい連中だよ。どれ、俺も扱いてやるかな?



「デッカー!!クワトロ!カスタロッサ!纏めて来い!揉んでやる!」


「うをおお!御当主様!是非に揉んで下さい!」

「我、至上の喜び!行きますぞぉ!」

「世界最強に挑める機会!無駄にしません!!」


「ヨシ、来い!」

「「「うおおおおぉぉ!!」」」


 俺は木剣を両手に握り、三人を迎え打つ!

 デッカーが突っ込んで来て、後ろの二人が時間差で横から攻めて来る。だが、俺にそんな小細工は通用しない。速攻でデッカーを連撃で叩き、左右同時に二人を迎撃。片腕づつで、彼等の二刀を捌き、叩きのめす。

 デッカーは直ぐ様復活して切り掛かってくるがこれも前進しながら体捌きだけで交わしつつ、連打を打ち込む!デッカーが倒れながら蹴りを入れて来ると同時にクワトロが左から袈裟に下ろして、カスタロッサは横薙ぎに繰り出して来る!俺も蹴りでデッカーを飛ばして、左右別々に捌いて強烈な一撃を二人の胴に見舞う。デッカーが復活する前に更に蹴りを入れ、左右の連撃を叩き込んで終了だ。


「「「参りました」」」

「まだだ!もう一度来い!デッカー!?人類最強はそんなものか?霊力を高めろ!」


 息は荒いが、ダメージは無さそうだな。良く鍛えてあるな?

 そうして結局二度程、揉んでやった。



「中々に鍛えて有るがまだまだだ!ドラゴン狩りに行けんぞ?

 五十人づつ掛かって来い!どんどん来い!」


「「「「「「「「「「「うわああぁぁぁおおおお!」」」」」」」」」



 よしよし、一斉に来たな?全員でもいいが荒くなるからな。

 ぶっ倒して、後で治癒を掛けてやるか。



 三十分後には誰も立って居なかった。ま、こんなものかな?

 仕方無いから、全員に治癒を掛けて復活させておく。

 その中にはボロボロのアーノルドも居た。


 執務室の俺と合一して、トンネルと北部の自分四人の様子を見る。

 同位体だから、五人が全てを共有している。複雑な作業で五人が同位体になれるのは、かなり進歩したと思うんだよな?まあ、まだまだだけど。

 だが、トンネルは開通した。後は細かい整備だけだな。ペリゴールに伝えねば。



 俺も風呂に入って、スーツに着替える。後は待ちだから、仕事に出ている自分も合一して、妻達が準備している広間の前の廊下で待つ事にした。時折り、支度の済んだフェルーナとベルナーラが扉の隙間から顔を出して、ウロチョロしている。子供はこんなものだ。

 だが、二人共昨日に続き、着飾っているし頭に乗せたティアラが可愛い。

 妻達も物凄く気合いが入っているのが分る。ドレスも宝石も昨日より豪華な気がするし、化粧も髪の毛も隙が無いんだよな。


「皆、昨日より更に美しいな………見蕩れてしまうが、その、壮観だよ。勿論、娘達と侍女の皆もな」


「お褒め頂き嬉しいです、旦那様。最終日ですから気合いも入ると言うモノですわ。」

「旦那様の妻として、恥ずかしく無い様にしませせんと。」

「旦那様も男前振りに磨きが掛かって見えます。何か良い事でも?」

「うむ、トンネルが開通したのと、練兵場で武人達を揉めたのでな、満足だ」


「では、城主様、奥方様、参りましょう。」



 サリーニャとマリアンヌが先頭で廊下を進んで行く。当然彼女達の先にはデッカー達が数人づつ先導と待機で警護をしてくれている。王太后様が一緒なのだから当然だな。


 皆でホールに入ると、既に参加者は揃っている様で凄い数だ。貴族も二夜連続だったりと、多いのだが、平民でも街の顔役や各町村の長も呼んで有るのだ。勿論衣装は雷帝宮で準備したモノを着せるので、気後れ以外に恥る要素は無いと思いたい。皆に参加して欲しかったのだ。

 そろそろ、俺の挨拶かな?


「二夜連続の者も居るだろうが、今宵集まって貰った事を喜びたい。折角の建領の宴なのでな、沢山の者に参加して貰いたかったのだ!舞踏会は今日までだが、明日からは城下での祭りが有る!そちらも盛り上げてもらいたいから宜しく頼む!では、今宵の宴の始まりだ!」



 挨拶が終わったので、先ずは俺と王太后様が二人で踊る。

 一曲終わる迄は皆が静観して見守る。これは大事な事なのでな。

 ここからは、五人に分裂してアーシャ達と踊る。周りも一斉に入り混じって踊り始める。男性は女性を誘い、振られれば次の女性へと声を掛ける。女性男性問わず、独身は必死なのだ。出会いの場でも有る舞踏会はお相手を探すのに適しているからな。


「旦那様。無事に始まりまして安堵しました。明日からのお祭りも行かれるのですか?」

「そうだな、挨拶と祭りの内容を見て回る程度だが」

「私達も御一緒しても?」

「ああ、当然だよ?そのつもりだ」

「分かりましたわ。予定しておきます。」


 アーシャに代わってラティ―ナと踊る。


「ここ迄は成功でほっとしてます。それに楽しいですし、今迄無かったと思いますわ。」

「ふむ。皆の尽力が有ってだな。此れからは機会を増やすつもりだからな」

「はい、感謝ですわね?そうですね、定例化して息抜きや婚姻の為の出会いが増えるのは良いかと。」

「うむ。辛いだけでは人は動かんからな。楽しみも要るだろう」

「そうですわ。明日からの城下のお祭りも楽しみです!」

「うむ、皆で行こう。挨拶も有るのでな」

「はい!」


 代わってレスティナが来た。満面の笑みだな。


「緊張致します、昨日程では有りませんけれど。フェンディさんも固まってますわ。」

「そうだな、済まん。まあ、今日は平民の参加が多いから、そこ迄では無いだろう?」

「そうですけど……やっぱり緊張はします。明日もバハムート祭りで挨拶等が有りますが、お疲れではありませんか?」

「疲れは、皆に任せる事にした。俺の代わりは居ないからな、頑張るさ。レスティナ達ギルド長にも負担を掛けたからな」

「私達のは、街の民や自分達の事ですから。此れからは、そうも行かないのかも知れませんけど。」

「そうだな。だが、民と同じ目線は大事だ。ギルマスの仕事も暫くは続けて構わない」

「はい。今はダンスを楽しむ事にしますね。」



 その後は二夜連続で出席しているロアーナとジュリアは勿論、貴族女性達との懇親に頑張ってみた。女性比率が高くなっているから、関係は大事にしておかないとな。

 次は平民の参加者たちとの触れ合いだな。ここはちゃんと時間を割かないと、評判・今後に直結する危険性が有るからな。手は抜けないぞ?即座に見抜いて、アーシャ、エリダ、アウラ、レスティナが挨拶兼援護にやって来た。流石!家の奥さん達だ!各ギルド長や豪商、町長や村長が家族で出張って来ているから、女性は女性同士で打ち解けて貰う。俺はおっさん、爺さん連中だ。


「最初はどうなるかと思ったりもしたのですが、流石は英雄様です!」

「全くです!此れから良くなると思えば、見通しは明るいですな!」

「商業ギルドとしては、既に沢山の仕事を頂いておりまして、実感しておりますです!」


「税も落としながら、医療や学校の充実と仕事を増やして行く。皆の協力が必要だから頼むぞ」

「はい!確り着いて行きますのでお願い致します!」

「田畑も荒れておりますので、御助力をお願い致します」

「仕事が有れば、何処でも向かいます!」



 しかし、アレだな。表立って腐敗側の連中が逃げ出したり、鳴りを潜めたり。良い事だな。此方も楽だし、民の犠牲が減る訳だからな。だが、水面下での悪事が横行しない様に目を光らせる必要は有る。上級貴族なら目に付き易いがそこから下は中々表面に出難い。注意しておかないとな。



 舞踏会もまずまずの出来で終われたから成功かな?

 明日は朝から城下のバハムート祭りだな。

 民の息抜きになれば良いが。




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