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W・M・S (Warlock Magus System)  作者: 渡野さら
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第68話 ニルヴァーナ領での日々2

 

 執務室に行き、朝提出の書類の決裁と、報告書に目を通さねばならない。

 同時で分裂して冒険者ギルドに行く。


 霊波移動で街中に飛び、辺りの観察をしながらギルド本部を目指す。


 バハムート通りから少し外れに大きな建物が見え、看板も見えたので向かう。

 目の前に着くと、1階は石の外壁でしっかりした作りの2階建てだった。

 早速扉を開けて、中に入ると…………


 やはりこれだ。


 一斉に俺に振り返って、時間が止まったな。呼吸音が聞こえ無いが大丈夫か?

 あ、2人倒れた。ほれまた、4人。

 被害者が増えるので覚醒を促す事にした。


【治癒】 どうだ?



 ぶふぁ~とかぜ~ぜ~とか。息しろよ。



「驚くのも結構だが、呼吸は忘れるな。ギルマスは居るか?」


 俺がそう声を掛けると、カウンターで呆然としていた受付嬢の1人が

 二泊程の間が有ってから、ハッとした表情で立上り



「あ!も、申し訳御座いません総領様!い、居る筈ですから確認を……」

「いや、俺も行く。案内してくれ」

「………は、はい!」


 慌てて席を立ち、廊下を進む彼女の後ろを着いて行く。

 後ろで束ねた彼女の長い髪の毛が左右に揺れる。



「そ、総領様。みれ…ミレーヌです。」

「ん?ああ。ミレーヌだな、覚えておこう」

「はい。お願い致します」


 廊下を進み、幾つか扉を過ぎた処にあった。


「すいません、所長。総領様が御見おみえなのですが……」

「直ぐ御通しして」

「はい。では、どうぞ」


 彼女はドアを開けて中に入り、俺が入る迄待っている。

 中を見渡すと、小綺麗な室内で、鉢植えの花等も飾ってある。


 応接セットのソファーに勧められ、腰を下ろすと、ミレーヌがお茶を二つ置いた。



「初めまして総領様。このギルドの所長でレスティナと申します」

「うむ、俺がニルヴァーナだ。突然で悪いな。相談が有ったのでな。時間は?」

「いえ、時間は幾らでも。御相談、ですか?」



「ああ、街のギルドが主導して建領際らしきものでもどうかと思ってな。

 費用は俺が個人的に出す。どう思う?」


「………あ、いえ。良いと思います。この地の体制も変わりましたし、抑圧された

 空気は一掃したいです。前国王を始めとする支配層は嫌われておりましたから」


「ならば頼めんか?商業ギルド等は飛び付きそうだが」

「はい、是非に。あの、なぜ………」


「何故?祭りについてか?領主として当然だろう。此処ここに来たのは素材の件と

 風の噂で美人のギルマスが居ると聞いていたからな。見に来た」



「まあ!美人だなんて……お恥ずかしぃ」


「北部域を制圧した時に、サイクロプスやワイバーンを保存してある。格安でいい

 買い取って自分達の利益にしてくれ。潤うだろう」


「いえ、有難いお話です。良いのですか?そこ迄して頂いて」


「美人を見れたからな、安いものだろ?」


「そ、そのように……勘違い、してしまいます」


「いや、美しいのは勘違いでは無い。まあ、これから頼む。買い取り場は?」


「あ、あの、御一緒、します。。」



 立ち上がったレスティナに着いて部屋を出ると、そのまま廊下を奥に行き

 裏手?に出るようだな。そこは広い倉庫になっており、事務所とカウンター

 が倉庫内に有った。


「此処に出して構わないのか?取り敢えず100ずつ出す」

「え?何処どこに……え?100ですか??」


 少し離れて時空術からトロールとサイクロプス、ワイバーンを100づつ

 種類別に出して並べる。



「な、何ですか!この大量の魔物は!?しかも無傷が多いです。販売益が凄い」


「では、俺は2割でいい。関係各所の皆で分配しろ」

「「「「「ええ!!」」」」」

「いえ、総領様!流石にそれは………」


「いい。お前達の利益の為に持ち込んだのだ。気にするな。商業ギルドや

 魔術師ギルドを始め、皆が潤う」


「「「「「有難う御座います」」」」」


 そこから細々とした素材の魔物も提供して雑談していた。

 やはり、これだけの高額素材が大量だと興奮するようだな。



「あ、あの、そろそろお昼ですが………御一緒に。どうでしょうか……?」

「ああ、構わない。そうしよう。色々話も聞きたい」

「はい!」



 レスティナと2人で倉庫を出て、バハムート通りに出て直ぐのレストランに入る。

 綺麗な白壁の建物に青や赤のカラフルな色使いがアクセントに入って

 見栄えがいい建物だな。

 内装も白壁が基調で山吹色が多く使われている。


 2階の個室席に入り、レスティナの椅子を引いて座らせる。

 大きな窓も有り、開放的で雰囲気も良いな。


「ぁ、有難う御座います。淑女レディ扱いは嬉しいですわ」

「そうか。淑女で有れば、相応の礼は取る」

「ニルヴァーナ様はお優しいのですね。最強と英雄の称号に相応しいお方です」


「人がどう呼ぶかは自由だが、俺は俺でしかない。出来る事を遣るだけだな。

 まあ、この地はそうもいかん。民に対して責任が有るからな」


「ギルマスとして、どんなお方か興味が有りました。白金冒険者としてのお話は

 色々と存じておりましたから。でも、実際に御会いして…………その、

 女としての、興味が。強くなりましたわ……」



 食事をしながら色々話した。

 妻達が居る事。分ってるけど仲良くしたい。まあ、考える。とか

 この領地の今迄について。街の事、貴族の事、ロマーノ側から見た他国、

 難民の処置がどうにもならなかった事や、侵攻して来た異形や魔物と討伐。

 祭りについて等を。2時間は話して有意義だった。また、話を聞きたい。

 期日も有るので、明日からでも準備に掛かって欲しい旨とまた直ぐ来る

 約束をした。日程を決めなければならないのでな。


 別れ際に「はまったらお願いします。都合の良い女で構いませんから」と言われ

 思わず”何?”と、なったが、レスティナは澄んだ笑顔のままだった。


 別れた後はそのまま街中を視察して回り、住民達に手を振りながら高級店区画

 に行き、”天の羽衣”を訪れて店主にも祭り開催の下話をしておく。

 警備隊の詰所にも顔を出し、労いと祭りの話、市場で聞いたゴロツキの事も

 話て、目を光らせるようにさせる。一般の民に武力など無いからな。


 市場に顔を出して、ゴロツキやスラムの話を聞く。

 おばちゃん達のお喋りにも混ざって話を聞く。情報はこんな場所にも隠れて

 いる事もあるからな。


 やはり怪我や病気が困るのと、出産の体制が不安。女子供は夜出歩けないのも

 怖いし、税が安くならないと、生活と子育てが不安。薬が高い。

 これは急いで数字を算出して改善だな。治安もか。

 だが、安全でも、女子供が夜出歩くのは賛成出来んな。う~む。


 スラム区画に入ってみる。

 確かにここは薄暗く汚い。道も土だし糞尿垂れ流しでゴミも散乱している。

 治安以前に不衛生だ。錬金で地均ししながら歩く。浮浪者が驚いているが構わん。

 小さな子供が恐る恐る物乞ものごいに来る。家を聞き、着いて行くと崩れそうな

 木造平屋でむね続きの長屋ながやに着いた。隙間もひどいし辺りの異臭もキツイ。


 中に入ると、襤褸ぼろの薄着姿の女と小さな娘が1人。部屋は暗く狭い。

 話を聞くと、旦那には子供を作って逃げられた。頼りも宛ても無く困り果て

 スラムに来たと。産後の肥立ちが悪く母乳も出が悪く体調が優れない。

 娘も小さく手が掛かる。

 手に職が有るか聞くと料理人だったと。サリーニャにスフィアで聞いて

 助かると言うので、予備の服を出し着替えさせて、雷帝宮に連れて行く。

 サリーニャが出迎えて、メイド長に引き渡し住み込みで使用人に。


 スラムは根本から変えないと駄目だな。

 街の作りからだ。住宅から丸ごと作り替えして路地を整備し共同トイレや

 浴場を作って清潔に。ゴミの集積地も作り、職の斡旋あっせんと医療だな。



 執務室に戻って”合一”し、王都に俺とアーシャが戻った事。

 此方こちらの事情と明日からの事が伝わったのを確認した。

 やはりアーシャでも一度では無理だったか。だが、あの【真神瑠璃マガルリ】が

 身体に馴染めば、すんなり出来そうなんだよな。



 と、考え事をしていたら、アウラが後ろから抱き着いて来て、甘える。

 甘い香りと鈴の音の声が思考から引き戻す。



「旦那様?書類も大切ですが、私の事も見つめて下さいませ。

 こんなに焦がれていますのに……」


「うん?夜では駄目だったか?」


「我儘ですが、今、少し構って欲しかったので。あ、その。怒らないで下さい。

 嫌わないで下さいませ。我慢します。」


「いや、怒ってないし嫌いもせん。ではソファーに座ろう」



 ソファーに座りアウラを抱き抱えて包む。

 口付けを交わして不安を払い、怯えを解してやるのだ。


「どうだ?怒ってないぞ?」



 暫くの間、口付けをお互いに楽しんでみる。


「ん………止まらなくなりそうです。」


「そうだな。晩に取っておこう」



 一緒にお茶を飲んでるとラティーナも来たので3人で雑談しながら休憩だな。

 10分程そうして、俺は仕事の続きで、2人はお喋りしている。

 文官達に頼んだ物も少しづつ上がってきてるから、把握につとめないとな。



 食後は侍女達も含め全員でワインを飲みながら明日についての雑談だ。

 当然だが、皆本国の王都に行った事も無いのだからな。

 そもそもが、この世界で他国まで旅するなんて大貴族か冒険者しかいない。

 国内の旅行も安全経路でも野盗と魔物の脅威は付き纏うのだ。

 普通は行きたくても行けないのが旅行。だから上級冒険者は尊敬と憧れの的に

 なるし、その体験は貴重な物になる。



 解散後はアウラを抱いて風呂に入り、丁寧に洗ってやる。壊れ物の様に。

 湯に浸かってもだ。密着する事で彼女の不安を少しづつ消したい。


 ベッドに入っても求め合った。彼女が欲しがるのだから応える。

 連日だけど、これは応えないと駄目だ。

 何度も求めるが、それ程に消したい過去で不安でも有るのだろうな。

 負担になるので治癒を掛けているが。


 もう1人の俺はラティーナの寝室に御渡りしている。






 朝5時の霊波通信で補完完了して、新たな変化は無さそうだが、少し…………

 アーシャが心配になってきた。

 聖域での心情だが、この数年毎日俺が居なくなる恐怖を抱えていたとは。

 そしてそれは払拭出来ていない。何かないかな?鈍い俺には分らん。

 だが、一緒に居てあげる事は出来る。彼女の隣に。

 それから。先日みたいな自分の考察と言うか、予想も言葉で伝えるべきだな。

 少しづつ安心して貰いたい。間違い無しに、この80年で今の妻の殆どが

 天寿を全うする。でも、数千年~数万年、いやずっとかな?

 アーシャとガイア、カトリーヌ。アウラ。この4人は間違いなくそうなる。

 恐らくずっと一緒だろう。恐れないでくれ。言葉にしよう。


 いま、腕の中のアウラもだな。守るんだ。

 そう思ってか細い彼女を抱き締める。



 僅かに身じろいで、起きたみたいだ。


「済まない。寝ていろ」

「……だんなさま……どうしたの。ですか?」

「お前達を守りたい。大切にしたい。そう思った」

「うれしぃ。はなさないで……」

「ああ」




 5時半には起きて風呂に入る。お互いに流し合ってな。

 出た後はお茶を飲んで少しまったりだ。


 女性陣は化粧室・衣装室に集まり準備が始まる。

 肌と爪の手入れ、化粧、髪結い、ドレス、貴金属……大変だ。

 なので朝食も別だ。

 俺は自室でベルナーラと2人でゆったりと。

 小さな口でもそもそ食べる姿が小動物みたいで可愛い。




 9時過ぎにようやく全員の準備が整った。俺は執務室でベルナーラを膝に乗せて

 書類の決裁と文官の資料に目を通していた。

 貴族の纏めを早くしたいが、資料に目を通してからでないと駄目だな。

 公爵家が一番揉めそうだが、どうにもならん。

 既に此処はストラスバルト王国だ。公家を増やす訳にはいかないしな。

 宰相に相談だが、すんなり落ち着くとも思えん。


 ん?皆がソファーに座りお茶を飲んでいるのだが、俺のは?

 と、言うか見られているんだがどした?


「ん?準備ご苦労様。どうした?」


「「「「「男前イケメンだと思いまして」」」」」


「城主様は働き者で優しくて格好良くて。言う事無しですが休まれなくては」

「いや、お茶を貰えるか?一休みして行こう」

「どうぞ、城主様」


「ん、美味い。皆、美しいな。硝子の棚に飾っておきたい程に」


「「「「「まあ!嬉しいお言葉です!」」」」」


「事実だ。サリーニャや君達もだぞ?」


「「「「「「「「「「「有難う御座います」」」」」」」」」」」


「とうしゃま、べるにゃは~?」

「勿論、お姫様だぞ?」

「わ~い!とうしゃま、しゅき~」




「では、行こう。全員集まって」


 皆を一集めに塊って貰って


「真神力【真神多以霊分】」


 5人に分裂した俺が皆を囲み霊波移動を発動して王都の屋敷に飛ぶ!



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