第66話 其々の鍵2
屋敷に居る俺は、皆に事情を簡単に説明してガイアに頼む。
「任せて、あなた!【大地母神障壁】」
「うむ。では、俺も行く」
ガイアの障壁を見届けて霊波移動で飛ぶ!
王都以上を包んでいる。やはり”地上の鍵はガイア”だな
街道整備をしていた俺は、急ぎ雷帝宮に飛び、チビムートを抱いて
王都の外に飛ぶ!
「頼むな、バハムート!」
「きゅきゅい~」
みるみるうちに元の巨大サイズになるバハムートを見て、合流地点に飛ぶ!
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王都から北に3キロ地点
「来たか」
「わあぁ!旦那様3人カトリーヌで独り占めちゃいます!」
「そうしてやりたいがな」
「カトリーヌは余裕だな」
「いえ、3人でわたしを離さないでください」
「今度な。さて、群れの中に魔法を打ち込んで、残りを殲滅だな」
「だな」
「バジリスクやコカトリスでも出て来ればな」
「全くだ。では打つ。”銀弾”」
ヒュ―――――――――――ン ピカッ ドゴォォォォォォオンン!!!
極小の”銀弾”が、群れの中央に着弾し閃光と共に大地と魔物が弾け飛ぶ!
直径300程の範囲で、土砂とゴブリンやコボルトぼ弾けた肉片が舞い上がり
腕や頭、内臓が空中を舞っている。汚いな
「これはカトリーヌを見て癒したい光景だな」
「ああ、汚いな。カトリーヌを見ていよう」
「本当に汚いな。カトリーヌ、お前を愛でる」
「え?ぃや、うぅ。恥ずかしぃ。でも、嬉しぃ」
「愛い奴め。そんな処もかわいいがな」
「うむ。そろそろ収まったか?」
「では、皆殺しに行くか」
「はい!頑張ってご褒美貰いたいです!」
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王都の東大正門では
「ニルヴァーナの妻です。王都の北に魔物の群れが出ました警報を!
旦那様とカトリーヌが迎撃に出ましたが、数が多いので警戒を!
ワイバーンも数百出たらしいのです!早く!」
「え?え?英雄様の奥方様?え?魔物?」
「おい!冒険者の”草原の風”だ!いいから早くしろ!魔人様に言われてんだ!
俺らも警戒に大防壁の外に出る!早く警報をだせっ!!」
「ああ!上を!雷帝竜様が守護に来られましたわ!守衛さん!警報を!」
「あ、あわわ!何だありゃあ~!」
「雷帝竜様は旦那様の僕です!安心だから警報!」
「あ!ワイバーンがもう来てる!早く警報を出しなさい!!」
「隊長は居ないの!早く警報を!貴方、それでも守備隊なの!?問題よ!」
「け、けけ、警報を!警報を!鳴らせ!早く!急げ!ワイバーンだ!」
直後、王都全域に魔道具からけたたましい音が鳴り響く!
上空に飛来するワイバーンとバハムートの姿に王都民はパニックを引き起こし、
転ぶ者、逃げ惑う者、泣き叫ぶ者、様々で、そんな中を守備隊や騎士団が
大声で警戒と”英雄様”の出撃を叫んで回る!
そんな時、人々の頭に”声が響いた”
{鎮まれ!!鎮まらぬか!矮小なる存在よ!我は上を飛ぶ雷帝竜也!
我が盟友であるメルツェリン・ニルヴァーナにより、此処を守護する!
嫁のガイアも王都に障壁を張った故に大人しくしておれ!愚か者!}
皆が空を見上げて口を開け、呆然と、その”声”と宙を舞う、巨大な姿を
ぼんやりと見つめて、放心していた。
その頃バハムートは………
{ちょろちょろと、小賢しい!まあ、口を開けるだけだが、面倒だ}
飛びながら、食べてました。
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王都北大正門では
「報告しますっ!上空にワイバーンの群れと地上に魔物の群れを発見!
こちらに向かってます!警報を!!大量です!」
「なにぃ!!大量とは!」
「ワイバーンは200前後!魔物は数千に上ります!」
「おい!警報をだせ!早く!防衛に移るぞ!」
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大防壁の外・中央軍、聖騎士団の訓練場・屯所
「おい!ワイバーンの群れが!!巨大な竜だ!」
「な、何だあれは!」
「王都の警報が鳴ったぞ!!急げ!防衛隊は中へ!迎撃隊は北だ!」
「早くしろ!間に合わんぞ!急げ急げ!」
「巨竜がワイバーンを食べてるぞ!」
突然の警報と急襲に戸惑いつつも、何とか隊を纏めて行動に移っていた。
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王宮・エリダヌスの執務室
「エリダヌス様!」
「姉上!何をのんびりと!」
「お嬢!避難を!」
「ふぅ。貴方達、此処は淑女の部屋よ?ノックもしないのかしら?」
「何をそんなに呑気な事を!警報が全域に!ワイバーンも目視しました!」
「姉上!お早く避難を!母上と!」
「あのね?我が旦那様が王都にいらっしゃるのに、何も手を打たないと?
スフィアで確認………お忙しいかも。ガイアさんかしら?…………
あ、ガイアさん。状況はどうなってるか御存知?ええ―――そう。―――はい
では、問題は無しなのね?―――分かったわ。それに合わせた軍部の指示ね?
ええ。有難う。では後少しお願いします。
先ず落ち着きなさい。座って、お茶を貰えるかしら?
では説明します。本日、冒険者学校の訓練に出ていた帰り道で”異形”と魔物を
感知したらしいのね。生徒を返し、連絡させつつ、カトリーヌさんと現地で迎撃
ガイアさんは王都全域に障壁を張って居るそうよ?雷帝竜様を御呼びして
空中の駆逐はお任せしたらしいから、地上の群れの打ち漏らし程度しか、
王都まで届かないそうよ。旦那様の会敵地点は北大正門から3キロ」
「ぐふ~そうでしたか。肩の荷が下りました」
「はぁ~ギックリ腰になる所じゃったわい」
「な、なんとか回避出来ましたか。肝が冷えました。流石です」
「そうね?流石は旦那様です。皆も落ち着いて、指示と収集を図りなさい。
ほら、サッと飲んで動きなさい?」
「「「はい!」」」
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メル×3とカトリーヌは
4人で皆殺しに勤しんでいた。
「う~~ったぁ~や!は!え~い!あ、えっちぃ!この!この!」
「ふん」
「そらっ」
「とりゃ!」
「旦那様ぁ~何か多くないですか?」
「だな。”渦”が閉じて無いのか?」
「かも知れん」
「では閉じてくる。はっ!」
「あ、行っちゃいました。独り占め計画が」
「なら、閉じて挟み打ちだな」
「真ん中に”シルス”を打つ」
又しても閃光と爆炎が上がり、魔物が千切れ、もがれ、微塵になり、体液と肉を
空中に撒き散らしながら、爆散していく。きたない。
「うわわ~気持ち悪いですぅ」
「済まんなカトリーヌ。お前で癒す」
「同じくだ。美しいお前が居て良かった」
「うにゅ~嬉しいです、けど、はじゅかしぃ」
「よし、再開だ」
ふむ。カトリーヌの成長が凄いな!やはり”混沌の者”を集中して倒した
経験値が効いているな?霊力操作に長けてくれば、まず問題無い。
後は経験だな。こればかりは自分で積むしか無い。
これは…………”鍵はカトリーヌ”だな。
”渦”を閉じた俺が、向こう側から殲滅を始めていて、”混沌の者”は
かなり減っている。ならば、こちら側の魔物に専念出来るな。
俺とカトリーヌが突っ込んで殲滅する傍らで、もう1人の俺は、後ろから
錬金で鉄の矢や、氷の槍を降らせて、集団になってる場所を潰している。
バハムートも”食い終わって”空中で停滞して監視している。
カトリーヌも慣れて来たのか、レイピア2刀で踊る様に切り倒しながら、
合間で魔法攻撃も行っている。凄いセンスだな。と、感心してしまった。
かなり少なくなった頃に、後ろから軍と騎士団が騎兵で2千程掛けて来る。
「ニルヴァーナ卿!遅くなりました!お任せを!者共!敵を殲滅するぞ!!」
「そうだな。カトリーヌ?後は任せよう」
「はい、だんな様。お風呂で癒してあげますね?」
「そいつは嬉しいな。期待しておこう。一度”合一”しよう」
”合一”した俺は、カトリーヌと2人、後ろに下がり、果実水を飲みながら休憩。
軍と騎士団の戦いを、見ていたが
「カトリーヌどう思う」
「はい。純粋に歩兵の練度が低過ぎます。体力も、身の捌きも、剣技も、連携も」
「だな。勝てはするが、無駄な負傷が出るし、数の有利を使っていない。
そもそも”崩し”が出来ていないから、真正面からの総当たりになるんだよ
大体が、警報の鐘の音が鳴るのが遅すぎる。王都上空で鳴っていた。駄目だな」
「デッカーさん達に鍛えて貰ったらいいのにぃ。
あ、だんな様?わたし、女の魅力が出て来ましたかぁ?頑張ってるんですよ?」
「ああ。この2ヶ月で凄い成長だ。美しくなったし、身体も素晴らしいよ。
とても女性らしくなった。周りが振り返る程だ。俺の女だから離さんがな」
「嬉しいです。いっぱい可愛くなりたいです。だんな様の為に」
「今でも十分可愛いが、頼むな?」
「はぃ。頑張りますぅ」
その後は殲滅完了までを見届けて、軍の師団長と大隊長、聖騎士団の副団長らと
軽く報告会をしてから、処理を任せて、クリスティとジェシカの待つ学校へと
霊波移動で飛んで、合流した。ダンカンにはクリスティが事情説明を済ました
らしく、手間が省けた。
”霊分”で元に分裂して、1人はクリスティと別宅に帰る。
俺はカトリーヌとジェシカと屋敷に帰る。最後の俺は王宮に飛び説明。
屋敷の司令塔の俺が30分措きに霊波通信で補完してるから事情は全て
全員の俺が承知済みだ。
屋敷に飛んで帰ると、働いたガイアはご褒美で甘えていたが、カトリーヌと
ジェシカにご褒美すると、不満が出そうなので、更に分裂して全員甘やかす。
すると、王宮から馬車で俺と帰ったエリダは呆れていたが、自分も仲間に入る。
全く。困った可愛い妻達だな。平和だよな~
アーシャも、向こうの俺と頑張っているみたいだし。
ま、色々有っても猶予が数年有るのが救いだな。
チビムートもテーブルの上のステーキに齧り付いてる。こんな時間が幸せだ。
その後は言うまでもなく、風呂も就寝も1対1のままで相手をさせられたのだが。
皆が満足だから言うまい。偶には必要なのかもな。
翌朝は普通に戻し、屋敷で待機の司令塔の俺。商会、雷帝宮、街道、聖域
の5人で頑張ってますよ………まあ、王都はまた大騒ぎだがね?
そりゃあ、昨日のあらましが朝から中央広場で発表されてるからな。
余り大騒ぎして欲しくないのだが………カトリーヌとガイアもだからな。
ガイアはオストラバ地区平定作戦にも聖女で参加してるからか、
【大地母神の聖女】とか【地母の女神】とか色々だ。
カトリーヌも同じくで【魔人戦姫】だ【戦乙女】とか【灰姫】とか。酷いのは
”天然姫”や”おっぱいちゃん”とか”騎士姫”も、もう渾名では無いものも有る。
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王都から南に150キロ・新設街道
今日も街道と宿場町の敷設に来ているが、ミュルツ河迄来たので橋を渡す。
王都に向け北上では無く、東の自領へ向け延ばす。場所はナーフェルベント。
橋の橋脚を先に建て、道になる部分を板状に錬金して乗せる。
これを繰り返して対岸迄作ってから、両側の防壁を立てる。
此処は山脈からの川で、王都貫通して流れる大きな河川だから苦労するな。
よし。岸に到達したから、真っすぐ東に30キロだ。
その前に、ここに宿場町予定の防壁と石畳と宿舎の外壁だけは建てる。
ナーフェルベントから南のアルテンメルンに向け後は延ばすだけだな。
途中に宿場町は作らない。アルンとメルンの街が有るからだ。馬車駅だけ。
何とかアルテンメルンに繋がったから、ジェームズに会いに行く。
「御当主様、お帰りなさいませ」
「ジェームズもお疲れ様。街道を繋げたから寄ってみた。
ボルドーのナッシュから東に向かってミュルツ河を越えナーフェルベントに。
そこから下って此処だな。明日以降はミュルツ河沿いを王都に向けてだな」
「おお!便利になりますな!では、領内の予定地には宿場の建設も手配します」
「ああ、頼むよ。一月以内には酒の輸送も可能になる筈だし、領軍も幾らかは
此方に派遣して、街道の巡回をさせようと考えてるんだ」
「さすれば商隊護衛が要らないと。流石です」
「まあ、万が一には居た方が良いけどな。で、新街道に入る時に通行料を貰う」
「ふむ。では料金所も必要ですな。手配しましょう」
「ああ、頼むよ、今日は戻る。ではな」
「畏まりました」
霊波移動で雷帝宮に飛び、一度合一する。
執務室で書類に目を通したいると、アウラとベルナーラが入って来たので
2人を抱き締め口付けで迎える。
「旦那様……いつも嬉しいです」
「とうしゃま、しゅき!」
「ん?それは、妻と娘だから当然だ。夕食かい?」
「はい。フローネさんは「いや、俺が押す。さ、フローネ」」
そう言って分裂してもう1人の俺がフローネの移動椅子を押し
ベルナーラを抱き上げる。
「旦那様、済みません」
「これも、夫なら当然だな」
「私達の旦那様はお優しいお方ですわね」
「ええ。甘えてしまいます」
「俺もお前達に甘えているがな」
「「はい。甘えて下さいませ」」
「とうしゃまに、あま~」
食堂に向かいながら、ベルナーラが抱き着き、アウラが左腕を確り抱き締め
甘えて来る。不安なのか、只の甘えか。構ってやらんとな。




