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W・M・S (Warlock Magus System)  作者: 渡野さら
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第62話 リーリアと、視察と

 


 夕食の後は、俺の自室の居間でワインを飲みながら談笑して過ごしていた。

 全員が本当に楽しそうな笑顔でほっとする。

 サリーニャも苦労掛けて申し訳無いが、笑顔を見れると安堵あんどするよ。


「ああ、勝手に決めて悪いのだが、明後日は朝から服飾店を呼んで有る。

 皆のドレスでも何でも全て新調してくれ。有って困らないから多目にな。

 サリーニャもだぞ?それから、侍女も。使用人のメイド服や調理服、作業着

 その辺りの型も皆で選んで決めてくれ。アウラ、ベルナーラのもだぞ?

 それと家族とサリーニャ、侍女達は身に着ける小物も有るだろう?それ等もだ。

 取り敢えず年内は、家の事に公金は使わない。俺の私財で賄う。

 心配しなくても、俺の財産は我が国を買い取れる位に有るから安心しろ。

 自分の家族や家臣に貧しい想いはさせん。特に女だからな。ちゃんと着飾れ」


「「「有難う御座います。旦那様」」」「「有難う御座います。城主様」」

「とうしゃま、しゅき~」

「ああ、俺もだベルナーラ。皆もな」



 その後も雑談しながらワインを楽しみ、午後9時には解散した。

 フローネは、酒が初めてだったらしく、うとうと始まったのでベッドに運び

 侍女に任せたが、リーリアが話が有ると言うので戻ってきた。




「どうしたんだ?悩み事か?」

「はい。いえ、お昼の正妻様からの側室提案です。御受けしたいと思います」



「そうか。俺は無理強いはしないぞ?保護はするし、自分の意志が重要だ」

「………ちゃんと考えました。やはり私達の立場で城主様の妻以上に良い嫁ぎ先は

 無いと思います。ならば迷う事は無いかと。元々、嫌とかでは無くて、

 少し時間を掛けて、お互いを知りたい。知って頂きたいと思っていただけです。

 誠実なお方ですから。不束者ふつつかでは有りますが、可愛がって下さいませ、旦那様」


「うむ、こちらも、宜しく頼む。大切にすると約束する。もう少し飲むか?」

「…………頂きます。お話も、触れ合いも、したいです。素敵ですから」



「ん?それはリーリアだろう?若く、見目も良く、上品で、つつまし気だ。

 今迄に縁談は多かったのでは無いのか?もう、他に渡さんがな」

「あ、いえ、褒めて頂けるのは嬉しいです。誰にも渡さないで下さいませ。

 縁談は多くは有りません。残念ですが、ロマーノ王族は内外問わず評判が悪く

 望んで頂けないし、此方こちらからだと敬遠されるのです。私自信も遠い異国に

 嫌々めとって頂いて、扱いも悪いなら、行きたくは有りませんでしたから」


「女性も大変なのだな。王族でも手放しで喜べんか。だが、どうする気だった?」

「はい。焦ってはいました。でも、国内の下級貴族は王家が許しませんし、他国

 はメリットが無いと行けません。女が単身出奔しゅっぽんなど自殺より酷い目に遭います

 最悪は、城の奥で行かず後家ごけですわ。一か八かで伝手つてを頼りに田舎に隠れ、

 ほとぼりが冷めてから町娘としてストラスバルト王国に移住も考えてました」


「それは危険だ」

「でも出たかったのです。腐ってましたから。旦那様に拾って頂けて幸運です。

 大陸最強で大国の上級貴族ですから、女で有れば必ず話を耳にします。

 憧れは有りましたわ。女ですからね。でも、ここの王族ですから諦めてました。

 聞き伝わるお話が本当なら御会いしたい。御話したいと、思ってはいました。

 ロマーノ王族な時点で、無理な事だとは思ってましたから、嬉しかったのです」


「そんなに俺は優良物件とも思えんが。リーリアもラティーナも美しいぞ?

 アウラとフローネもな。心根が良い。俺が当たりを引いた様なものだが?」

「言い過ぎです!旦那様は、素敵ですから。お立場を御理解してくださいませ。

 …………あ、あの、酔ったみたいで、えっと、湯に、当ろうかと…………」



「うむ…………共に入るか?」

「はぃ」



 俺はその場でテントを居間の隅に出し、リーリアを抱いてテントに入る。

 彼女は内部を見てかなり驚いていたが、浴室に行き、更に驚いていた。

 お互い裸になり、浴室に入る。真っ赤になり手で隠していたが、問答無用で

 抱き締めて、口付けを交わす。ショック療法だ。






 目覚めると朝5時。右腕にはリーリアが寝ている。

 お腹に手を当て治癒を掛けて、寝顔を見る。


 長く綺麗な金髪に低い身長、細身。真面目な性格で損をする性質か。

 裁縫や服飾が好きで自身も編み物や刺繍、洋服作りが趣味。

 料理も好きだが、立場上好きにやらせて貰えなかった。

 部屋の棚には、自分が纏めた裁縫のメモ紙を本に束ねているらしい。凄いな。


 話を聞いて思ったが、彼女は真面目で慎重。コツコツ努力する性格の様だな。

 ロマーノ王族と言う事で、諦観ていかんが強かった。

 危険な出奔を実行に移そうとする程

 自分の血と王族の腐敗が嫌だったのだろう。ん?起こしたか?



「…………ん……おはよう御座います、旦那様。お勤めは果たせたでしょうか…………

 その、初めてで。分りませんから…………満足される迄頑張ります。

 どの様にすれば喜ばれるのでしょうか。努力致しますので」


「大丈夫だ。不満は無い。リーリアはどうなのだ?身体は大丈夫か?」

「はい。よ、良かった、です。気持ちいい、です。お優しくて、幸せです」


「ならいい。起きるには少し早いぞ?寝ておけ」

「…………いえ、勿体無いです。触れ合いたいのですが、触れても良いでしょうか?」


「構わない。夫婦だ、遠慮するな」




 暫く2人で、お互いに触れながら雑談をして、身体を流しに風呂に入った。

 少しは羞恥が薄まったが、まあ追々慣れるだろう。

 髪の毛を乾かすまではしたが、あとは侍女頼みだ。だが、

 ここでは侍女も来ないし、着替えも無いので、抱いて霊波移動で飛んだ。

 リーリアは凄く驚いていたが、慣れろと言っておいた。




 食後はフローネを部屋に送り、治癒を掛けてから執務室に行く。

 政務官達を呼んで、自分達の希望を聞いてみた。

 全員が、勤務地は何処でもいい。家臣として、ニルヴァーナ家の一員として

 仕事に励みたい。それが自分の向上心に繋がると。凄い奴等が来てくれた!

 なので、半年後に全員に準男爵を授け、年金と職能手当、遠隔地手当、家族手当

 を付ける事にした。妻子持ちが6名居たからだ。落ち着けば呼び寄せる事に。


 10時にアウラとベルナーラが菓子持参で来て、お茶を一緒にした。

 アウラとベルナーラはそのままソファーでお話している。

 偶にこっちに来てちょっかい掛けて来る程度で、良い子にしている。

 リーリアも来て、アウラと話ながらベルナーラの面倒を見ている。

 書類に目を通していたら、視線を感じたので顔を上げると3人が視ている。

 なので、笑顔で応えておいた。正解だと思いたい。


 昼前にラティーナが来たので、ベルナーラを抱っこしてフローネの部屋に。

 胸に手を当てて治癒を掛けてから、移動椅子に乗せて食堂に行く。




 食後は全員が化粧室に集まって身支度を整えるようだな。侍女も行く訳だし。

 俺はその間、執務室に戻って報告書の確認だな。あ、スーツを着替えるか。

 左右腰にも剣帯しておく。ニルヴァーナ家の家紋が入ったコート。

 廊下に出ると近衛の連中が待っていたから、一緒に化粧室の前で待機しよう。

 準備中の女性を邪魔してはいけない。急かしてはならない。ただ、無心で待つ。



 10分後に全員が着飾って出て来たけど…………富裕な町娘な感じにしたのね?


「ほう。全員、可愛らしいではないか。ドレスは辞めたのだな」

「はい。街の民達と同じ目線ですから。偶にでいいか。と、なりました」

「これは、これで、新鮮ですわ」

「ええ。ドキドキしますわね!」

「初めてばかりで楽しみです」

「どんな世界なのかしらね!」

「とうしゃま!べるにゃ、かあいい?」

「ああ。お姫様だぞ?ベルナーラは。なあ?」

「「「「「「「「「「はいっ!姫様!」」」」」」」」」」


「やった~!だっこ~」

「うむ。それ!フローネは俺が押す。では行こう」




 大型馬車に乗り込み、もう一台に侍女が乗る。其々に近衛が10人づつ掴まり

 護衛して、街の守備隊と南方軍が20名づつ周りを警戒する。


 先ずはバハムート通りとバハムート広場に行き、ゆっくり移動しながら

 気になる物や店が有れば、降りて見てみる。

 因みに俺とバハムートが乗り込んだので、通りと広場の名前が付いたそうだ。


 皆が興味津々で彼方此方あちらこちら見ているが…………ふむ。


「ここで止まってくれ。よし、少し降りて見てみよう」



 皆の手を取って馬車から降ろし、移動椅子を出して最後にフローネを降ろす。

 後ろの侍女達が降りたのを確認して椅子を押しながら歩き始める。

 石畳みの道をゆっくり、一軒一軒見て行き、気になれば直ぐ入る。を繰り返す。


 周りにかなりな人だかりが出来ているが、近衛や軍も居るし、皆。顔を見にとか

 様子を見に来たとか、そんな感じだな。女性の見物人が多いな。子連れも。

 まあ、騒がないだけ行儀がいいな。

 そんな時、”くれーぷ屋”を見つけた。ここも出店してたか。



「お前達、これを貰ってみなさい。”くれーぷ”と言って、中々に美味しい甘味だ。

 店主、済まないが全員分もらえるか?味は適当に分けてくれ」


「旦那様?甘いのですか?良い香りが致します」

「それ、受け取って。味付けが色々と有るから楽しめるぞ?あ、そのまま口に」

「あ、有難う。これを?このまま…………はむっ!!ん~甘くておいしいわ!」

「あむっ。………ええ、本当に!不思議な感じね?」



 勧めて正解だったようだ。ハズレなら冷や汗ものだからな。

 侍女達も戸惑い気味ながら、美味しそうだ。するとベルナーラが



「とうしゃま~。あ~ん」

「ん?有難うベルナーラ。あむ。美味いな」

「旦那様、私のも一口どうぞ。味が違うのです」

「ん、ぱく。うん、チョコと言うモノだな?」


 母娘の”あ~ん”攻撃が嬉しいが、観衆が笑っているぞ?どうした?


「旦那様?頬に”チョコ”が付いて。お拭きしますわ」

「ああ、済まないなアウラ」



 ふむ。これが家族の構図か?良いじゃないか。嬉しいものだな。

 既にラティーナは隣の小物屋を見ている。買いなさい。



「買ってみたらどうだ?店主、済まんが色違いで包んでくれるか?」

「え?良いのですか?」

「可愛らしいぞ?皆に買ってみれば良い。次はアレを見るか?」


 次々と店を冷やかし、気になれば買う。を繰り返し、観衆も着いて来る。

 お前え達は暇人なのか?頃合いを見て、あそこに行こう。ここなら歩いて直ぐだ。





 角を曲がり直ぐに高級店になるが、その5軒目。

 昨日見た宝石店だ。これ位は買ってやらないとな。夫婦だし。結婚指輪は

 俺、特製の物を後日渡すつもりだが、早い方がいいな。


「ここに入るぞ?さあ」




「うわ~!高級品です!」

「良いのですか?」

「着飾れと言った。妻達だから安い物だ。クラウディアもな好きに選べ。

 サリーニャと侍女達もだぞ?値は気にせず欲しい物にしろ」


 皆が凄い笑顔と瞳を輝かせて見ている。俺はフローネの言うままに動かしてる。

 指輪やネックレスが良いみたいだな。


「好きに買えよフローネ。これと、これと、あれも見ていたろう?これはどうだ?

 確かに品が良いな。呼んだ方が良いのかもな。店主は?」


「はい、御呼びで御座いましょうか、総領様」


「うむ。次回から、雷帝宮らいていぐうまで来て貰えるか?最低月に一度は」

「!有難う御座います。是非とも、上らせて頂きます」

「皆、身の回り一式は必ず買っておきなさい」


「「「「「「「「「「有難う御座います」」」」」」」」」」


「とうしゃま~!べるにゃ、これ~」

「うむ。いいぞ。可愛らしい姫だからな。済まんがティアラを娘に合わせてくれ」

「旦那様……ベルナーラに迄。もうし「感謝なら聞く。女は幾つ持っていても

 足りないのだろう?家や社交時は着飾って美しいお前達を見せて欲しいがな。

 皆に言ってるのだぞ?さ、姫はどうだ?」


「きれい~とうしゃま、あいがとうなの!」

「ああ。さ、フローネも選んで」


 大騒ぎしながら選んでいたが、何とか纏まったようだ。

 皆が満足そうな笑顔で良かった。

 最後に行くのは屋台商店街だ。あの活気を見せておきたい


「フローネは大丈夫か次で最後だ。治癒を掛ける」




 守備隊と軍の別動隊が既に先回りしてるから安心だ。

 馬車で近くに移動して、ゆっくりと進む。

 皆は独特の熱気と活気と喧騒に、驚いているみたいだ。



「わわわ~とうしゃましゅごい!」

「だ、旦那様、ちょっと、こわい。です」

「気のいい街の連中だ」



「「「「「「「「「「総領様!奥様方!お待ちしてました!」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「「「「総領様~!!これから頼むよ~」」」」」」」」」」

「「「「「「「「奥様きれい~!!きゃ~こっち見てくれた~!」」」」」」」」

「あい!何時でも来てよ!安くすっからね!!」

「総領様!ゴロツキも頼んまさ~」

「奥様~こっち向いて~キャー!!」

「あんなに綺麗になりたいわ~」

「へいよ!串焼きかじりな!」

「奥様~果物も新鮮だよ~見てって~」

「あいよっ!肉!安くて旨いよ!新鮮だぜ!!」


「旦那様のお人気が凄いです!あ、有難う」

「皆が旦那様に期待をしているのでしょうね。凄いです」

「あ、あ、え、私?あ、頑張って!」

「凄い熱気ですわ。旦那様が来た理由が分ります。来る価値有りますわ」

「とうしゃま~だっこちて~」



 大喧噪の屋台商店街を無事に抜け、馬車に乗り込み帰路に着く。


 バハムート通りを抜けて貴族街も。終点の雷帝宮に到着。


「皆のお陰で無事に妻達の視察が終わった!尽力に感謝する!今後も頼むぞ!」


「「「「「「「「「「「「了解です!城主様!!」」」」」」」」」」」」




 帰ると食事の用意がもう直ぐ終わるらしいので、食堂に行く事に。

 席に着くと、直ぐに料理が運ばれて来たから丁度良かった。

 食事中は余り話さず静かに。ベルナーラも頑張って食べている。


 食後は今日の感想を聞く為に俺の自室の居間に集まりお茶を飲みながらだ。



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