戦争前はピリピリするよね……普通は
部隊の所まで走っていきます!
俺とソルさんは武器屋街から急いで部隊の訓練場に走っていった。
まぁギターを背負ったりエフェクターボードを持ったりしているからソルさんに比べるとだいぶ遅いけど。
「カミシロさん。先に行ってますね」
そう言ってソルさんは……もう見えなくなってしまった。
まぁ変に待ってもらうよりいいかなぁ。
それにしても……気味が悪いぐらいに静かだなぁ。
まだ滞在時間は短いけどさ、この時間なら飲食店とかに人がいっぱいいるのになぁ。
なにか……本当に良くないことの前触れって感じだよなぁ。
俺も急ごっと。
俺は急ぎ足で部隊の訓練所まで行った。
「遅かったですね」
訓練所の外にはソルさんとラルがいた。
「カミシロ先輩! ならそろそろ雑貨街の配置について教えるっすよ!」
ラルは更衣室の中に入っていく。
……てかあそこってもしかして更衣室ではなかったのかなぁ。
更衣室の中にはメルさんとフィル、それとラルとソルさんがいた。
やっぱり……これだけの人数であそこを守るのかなぁ。
「それでは……っとまだ一人来ていませんね」
「あれ? 雑貨街を守るのってこのメンバーだけじゃ?」
「いえ、私もいますよ」
俺の後ろから……銀色の長い髪をした女性が入ってくる。
「あ、母様!」
フィルのお母さんのマランさんが更衣室に入ってきた。
「マラン様がいるんだったら安心っすね!」
確かになぁ。
実際の強さを知っている訳じゃないけど……この町を守ってるんだったら強いんじゃないかなぁ。
「さて、それではこの地図を見てください」
ソルさんがこの町の地図を広げた。
こう改めて見ると……円卓みたいに丸いんだなぁ。
それと東西南北にそれぞれ線が伸びていて……コンパスみたいだなぁ。
「まず、僕達が守るエリアは雑貨街で……場所はここになります」
ソルさんはそう言って東側の所に石を置いた。
「ちなみにカミシロ先輩! 自分たちがいる所は北側になるっすよ! それで西側が武器屋街、南側が門がある所っす!」
へー、こうして地図で見てみると部隊の訓練所って広いんだなぁ。
「それでは、守る方法ですが……相手は北側から攻めてきます。なので私達は北東と町の中に残るものと別れなければなりません」
ここからも別れるのか。
全員で守ったりした方が良さそうだけどなぁ。
こういう時に戦術書とか前世に読んでおくべきだったなぁ。
「北東の方は傭兵の方々もいるのであまり多くこちらから出す必要はありませんが……」
「そうですね。ここは私が行きましょうか?」
「マラン様ですか……なら私も行きましょう」
そう言って文字が書かれた石を北東の所に置く。
文字が読めないので断定は出来ないけど……多分"マラン"と"ソル"って書いてあるんだろうなぁ。
ってか部隊の隊長がここを離れていいのだろうか。
「そうすると町の中は自分とカミシロ先輩と、メルさんとフィル様だけなんすね」
……人数的にもちょっと心細いなぁ。
「まぁほとんどの敵は北東で撃退するので中の方が逆に安心だと思いますよ」
ソルさんが俺に笑いをかけてくる。
まるで心の中を見透かされてるようだなぁ。
「ならカミシロ先輩達! 早速雑貨街の方の地形を覚えに行くっすよ!」
ラルはそう言って更衣室を飛び出した。
「……地図で覚えた方が早そうなのに」
「まぁメルさん。そう言わずに」
「別に……嫌だとは言ってないです」
メルさんも更衣室の外に出ていった。
「それじゃあ母様! 私も行ってくるね!」
「フィル……気をつけてね」
マランさんはフィルのことを心配そうに見つめている。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ! じゃあね!」
まるで初めて小学校に通う家族のワンシーンのようだった。
「それではカミシロさん。私は傭兵ギルドの方に行かなくてはならないので、まぁ死なないと思うので気楽にいきましよう」
……戦争って、こんな感じなのか?
やっぱりここら辺は前世と違う所だよなぁ。
「カミシロ」
……声質が似てるから一瞬フィルに呼ばれたと思ったけど。
「なんですか? マランさん……一応ギターは町で使ってないですよ」
「いえ……その、フィルをよろしくお願いします」
やっぱり……心配だよなぁ。
ってかよく戦争に参加するのを許したよな。
「はい、任せてください」
俺はそう言って更衣室を後にした。




