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eye  作者: いるか
8/10

私は、自分でも気づかないうちに、彼の目、だけでなく、彼も好きになってしまったようだった。

彼が目をつむっていても、彼を愛しいと感じたときから、私の心には動揺が走った。

寝顔を見て、この人をずっと見ていたいと思ったときから、私は自分が壊れていくような感じがした。


それと同時に。


私が彼の目が大好きだという事実もまた、大きく膨らんでいた。


どちらか一方だけならば、

私は悩まなかったのだろうか。


疑問ばかり募らせて、思考を止めることばかり繰り返してしまう。



私の目の前に彼がいる。

まな板に寝かされたさかなよろしく、まったく無抵抗な格好で。


私はすでに何度か、彼にたいしてスプーンを振りかざしていた。


それは決まって、彼が寝ているときだ。


彼が起きているときは、彼が好きな気持ちと、彼の目を好きな気持ちがつり合って、どうにか理性を保っていられた。彼が目をなめさせてくれたのも、歯止めになっていたのかもしれない。


けれど、彼が寝てしまうと、もうだめだった。


どうしようもなく、目を取り出したくなってしまうのだ。


私は何度もスプーンを持つ手に力をいれ、緩めることを繰り返す。


とても苦しかった。


彼を好きだから、彼が痛がることはしたくなかった。

彼は先端が嫌いだから、できれば向けることもしたくなかった。

そっと頭を撫でるだけにしておきたかった。


目を奪えば、彼は元通りの生活を送ることはできないだろう。

もしかしたら、痛みのショックで死んでしまうかもしれない。


彼が死ぬのは嫌だった。

彼と一緒に今まで通り生活できないのも嫌だった。


でも、どうしようもなく恋い焦がれてしまうのだ。


彼の目を抉り、口に含む。


魚臭さのない、独特の塩見が口に広がる。

少したって、鉄の味がする。


そう、想像するだけで、わたしは。

私は自分のことで精一杯だった。

だから。


最近、なぜ彼が、私の前で、睡眠をとるのか、理解できていなかった。



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