# 第二話 ## 「エルフ少女、人生初のかき氷を食べる」
# 第二話
## 「エルフ少女、人生初のかき氷を食べる」
翌朝。
悠人は市場の隅で腕を組んでいた。
「問題は……どうやって作るかだな。」
かき氷を売ると言ったものの、道具がない。
氷を削る機械もない。
お金もない。
異世界に来て二日目の少年にあるのは、知識だけだった。
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「おはようございます!」
元気な声が聞こえる。
ルナだった。
今日も銀髪が朝日に輝いている。
「おう。」
「本当にやるんですね?」
「もちろん。」
「かきごおり屋さん!」
ルナはなぜか楽しそうだった。
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二人は昨日の老人を探した。
市場の奥。
魔法で氷を作っていた老人だ。
「じいさん!」
「誰がじいさんじゃ。」
老人は眉をひそめる。
「ワシにはエルドという立派な名前がある。」
「ごめん。」
「まあよい。」
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悠人は頭を下げた。
「氷を分けてください!」
「断る。」
即答だった。
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「早っ!」
「氷は貴重品じゃ。」
「ですよね……」
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するとルナが前に出た。
「エルドさん。」
「なんじゃ。」
「お願いです。」
ぺこり。
深く頭を下げる。
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老人は困った顔をした。
「お前さんには弱いんじゃよ……」
どうやら知り合いらしい。
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結局。
小さな氷の塊をもらうことができた。
「ありがとう!」
「失敗したら返せ。」
「無理だろ。」
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広場の隅。
悠人はナイフを取り出した。
氷を削る。
ガリ。
ガリ。
ガリ。
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ルナが不安そうに見ている。
「それで何になるんです?」
「見てろ。」
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氷が山のように積み上がる。
そこへ市場で買った果実を絞る。
赤い果汁。
甘い香り。
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ルナの鼻がぴくりと動いた。
「いい匂い……」
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完成。
異世界初のかき氷だった。
「できた。」
悠人は胸を張る。
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ルナは首を傾げる。
「これが……かきごおり?」
「そう。」
「雪みたい。」
「食べてみろ。」
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木のスプーンを渡す。
ルナは恐る恐る一口。
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シャリ。
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その瞬間。
目が丸くなった。
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「え?」
もう一口。
シャリ。
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「えええっ!?」
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三口目。
シャリシャリ。
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「冷たい!」
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四口目。
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「甘い!」
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五口目。
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「おいしい!!」
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ルナは立ち上がった。
「なにこれ!?」
「かき氷。」
「すごい!」
「だろ?」
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ルナは夢中で食べる。
止まらない。
止まらない。
本当に止まらない。
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そして。
事件が起きた。
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「いたっ!」
頭を押さえる。
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「どうした!?」
「頭がキーンってしました!」
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悠人は大笑いした。
「それがかき氷だ!」
「痛いです!」
「みんなそうなる!」
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ルナは涙目だった。
それでも笑っている。
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「それでもおいしいです!」
「だろ?」
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すると。
近くにいた子供が見ていた。
「なあ、それ何?」
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続いて母親。
「見たことない食べ物ね。」
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さらに商人。
「冷たいのか?」
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気付けば。
人が集まっていた。
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ルナは興奮して叫ぶ。
「みなさん!」
「?」
「これ、すっごくおいしいですよ!」
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悠人は思った。
(宣伝うまいな。)
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そして。
集まった人々が最初の客になる。
まだ二人は知らない。
この小さな一杯が、
王国中を巻き込む大ブームの始まりだということを。
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### 第二話 終わり
### 次回予告
**第三話「初めてのお客さんと銀貨一枚」**
「うまい!」
「もう一杯くれ!」
「これ、本当に売れるぞ!」
悠人とルナ、異世界初のかき氷屋開店!




