そんな大層な物は無かった
「ちなみに作った目的とか無いからね、偶然出来た物だし君たち…」
「レポートとか結構適当な感じだった気がしたかもしかして研修に私達使ったの?」
「いや、それは無いが比較的新人を使ったのは間違いないね、そこの首と胴体が離れてるのとかも比較的新人だったしね…、そんなことより知りたいのはなぜ監視していたか、でいいかな?」
「一応部下何でしょ、扱いが雑なのね、知りたい事はそれで合っているわ」
「そうだね、簡単にいえばこの国の脅威の監視さ、この国の脅威に成り得るであろうものは全部かな、今の所脅威ではないけど簡単に騙されそうだよね、2人とも」
「否定しきれないのは悔しいですね」
人の区別が全くつかないため、肩書きを名乗られてしまえば多少口調や語尾が変でもシスターさんにはそれを完全に否定することはできない。
「だから監視要員を置いていたのさ、幸い君が常に修道服を着ていたおかげで反国家組織と接触はなかったようだがね、普段着など買うための資金もあったはずだが、どうやらそっちに流れてしまっているようだね」
修道服のシスターさんの横にいるカザリに視線が行く。
カザリはもともと貴族の人だった事もあり、興味が出る衣類は必然と高い物になってくる、カザリ曰く「安物は見ればだいたいですが解りますわ」だそうで自然と手に取るものは高かったりしている。
「つまり私たちを監視しつつ適度にお金与えて泳がされていたわけね?」
「うーん、まぁそんな感じだね…でも君が依頼をいくつかこなしてくれているおかげで人的被害が少なる住んでいるのは事実なんだ、本来なら傭兵に任せる仕事で教会の人間に基本的に任せる事は無いがね」
「一つ……良いでしょうか?」
「一つでなくてもいくらでも答えるよ、もちろん答えられない物もあるがね」
「私が以前派遣されていた教会に魔族を送ったのはあなた達ですか?」
「あなた達、ではそうとも言えるがそうとも言えないな、少なくても私や私の部下は指示などはしていない、これは神に誓える」
シスターさんが拳を固く握る、近くにカザリがいるおかげでまだ理性で抑える事ができている。
「では、だれが…」
「敵を討ちたいのならそれはできないよ、すでに肉体も魂も消滅済みさ」
「それは…本当なのですか…」
「あぁ、消えたフリなんてできないさ、私達が犯人のせいで乱れた地脈を修復するために生贄にしたからね、乱した本人を素材に使用すれば他に一切の触媒がいらないからね、間違いなく本人だよ…君が敵討ちしたいとは思っていなかったからね、特にここ最近の報告を読む限りではね」
「それは…」
たしかにカザリをお世話するようになってから仕事も人から感謝される事が多くなり、毎日がいつまにか充実していた。
実際にカザリが乗り込もうと提案していなければ自分から帝国に行こうとは、少なくとも最近では考えもしなかっただろう。
「どうやら思い当たる節があるようだね、ところでどうだね君たちも正式に裏の仕事をしてみないかね?」
「子供のお世話がしたいです」
「面倒」
「そうやってブレないのは良いと思うよ、断られちゃったら仕方ないね意思は尊重したいし反国家思想とかも大丈夫だろうし、私は人事とかはやってないからその辺は良く解らないけれないけど口出しだけはしておくよ、あとは君の頑張り次第じゃないかな」
「わたりました、それでは失礼します」
「あぁそれの処理なら任せてくれ、一応こちらはそういうのもやっているからね」
「なんだか腑に落ちませんがどうしょうもないですよね」
「他にやってもただの八つ当たりだよね」
重くなった気分を引きづりながら自分たちが拠点にしている教会に帰っていった。
「いいんですか、このまま帰らせて…?」
「いやだって痛いのやだし」
「やだしって、あれ見た感じどんどん使い物にならなくなりますよ」
「もともと降って沸いた物だしね、耐久はいまいちそうじゃん」
「じゃあ、次は取りやめにします?」
「いやいや、次は耐久マシマシで行こうよ」
「……じゃあ次は耐久マシマシで、っと、アレは結局どうするのですか?」
「支援自体は少し減らして続けて行く感じかなぁ、とりあえず仕事はボチボチ回しておけば勝手に生きるでしょ」
「勝手に生きるってあのパターンで3年生き残ったのはいないくせに……」
閲覧ありがとうございました。
何故かこの話だけが浮かばなくなり、投稿間隔も長くなってしまいましたので区切りとして一旦完結といたします。
気が向いたら番外編として投稿します。




