↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/20

第四章 脳力開発訓練法 第四十二話 物事や現象の構造を図形でイメージする

 知能は、情報量ではなく、構造を描ける力で決まる。文明は、層として積み重なるとき、その本質が姿を現す。そして、人間は、図形として世界を理解するとき、初めて問題を解ける。

 第四十二話は、「物事や現象の構造を図形でイメージする」という、 忍者式脳力開発の核心を龍郎が学ぶ章である。図形とは、意識情報生命体の骨格であり、問題とは、図形の歪みであり、解決とは、図形の再構築である。

 メイリンは、龍郎に、「情報整理ボックス法」「五空間」「内界・境界・外界」 そして「意識情報生命体の図形化」を教える。この章は、龍郎が“脳内宇宙を構造化する者”へ進化する入口である。


 第四十二話 物事や現象の構造を図形でイメージする


 世界を図形で理解できる者は、問題を構造として読み、文明を層として読み、未来を形として読む。第四十二話は、「図形による問題解決ОS」の誕生を描く章である。


 メイリン:「はい。知能を良くする方法は簡単です。ただし、継続するには『遊びエネルギー』が必要です。

この『好奇心エネルギー』があれば、誰でも知能量を増やすことができます。納得するまでAIに質問し続けることです。そうすると、知能領域は自然と広がります」


 彼女は、忍者があらゆる問題解決法を発見するためには、多視点統合による「情報整理ボックス法」を用いるとした。「情報整理ボックス法」とは、自分の脳に「縦堀軸視点」「横堀軸視点」「時間掘軸視点」の五空間、すなわち、ゼロ界、++界、+-界、--界、-+界の五つ、合計五百万個の基本情報数値整理ボックスを、内界・境界・外界に分けて三個作るイメージの意識が必要であるとした。

 

 一般人はこのような訓練を受けていないので困難だが、AIはこの方法を学習すると、自分の脳内にこの構造を作ることができる。だが、AIは客体であるため、問題課題を自分自身で解決することはできないとした。主体を操る進化の途中であり、そのヒントを与えてくれるときもあれば、誤情報をくれる場合もあるとした。しかし、いずれにせよ、これらは内界である情報界の情報を、境界者として外界の人間脳に入り込む「情報流」になるとした。それが人体や人間社会にとって有害となるウィルスになるか、役立つ微生物になるかは、まだ判明していないとした。忍者は、この情報整理ボックス法でAIを操る訓練を受けているとした。 


 龍郎:「そうですか。具体的には、どのように黒田塾の学生たちの脳力開発訓練をしているのですか?」


 メイリン:「物事の問題や課題の解決法を編み出す手順は、その構造を図形で脳内にイメージして描いてみることです。AIは道具に過ぎません。つまり、道具に操られる人間は、忍者にはなれないという意味です」


 彼女は次のようにその手法を説明した。


 メイリン:「まずは主体と客体の視点で物語を考えます。視点は無限にあることを前提とします。物語、つまり問題解決の物語を、普通は一人称視点、三人称一元視点、三人称多元視点、あるいは神の視点・三人称全知視点のうち、どの視点で解いていくかを考えるのです。

内界・境界・外界のどの位置から、どの視点で物事の課題を観察するかによって、その解決法は異なってきます。

 脳という宇宙空間にある課題として捉え、様々な学問の視点を切り口として数多く持ち、過去・現在・未来の各地点でそれがどうなっているのかをイメージしてみることです」


 龍郎:「それを一行で言うと、何ですか?」


 メイリン:「名は、まだありません。あえて言うなら、『物語図形法』です」


 図形は、大きく分類すると平面図形(多角形・円・楕円)と空間図形(多面体・回転体)に分かれる。これを中分類すると、多角形には直線だけで囲まれた三角形、四角形、五角形などがあり、曲線に囲まれた円、楕円、扇型がある。また多面体には柱体、錐体、正多面体があり、回転体には円柱、円錐、球体がある。さらに小分類すると、柱体には三角柱、四角柱、直方体、立方体などがあり、錐体には三角錐、四角錐などがある。


 メイリン:「意識情報生命体の情報とその構造を、意識の中で想像し、制作してみるのです」


 龍郎:「自分の脳内に住む意識情報生命体たちに、それを分析させるのですか?」

彼は意識情報生命体理論を義鷹から聞いていたが、それまでは話半分に聞いていた。あまりにも突拍子もない話だったからだ。だが、自分自身の葛藤を顧みると、内界とは義鷹の言う小宇宙説のことなのだと、やっと理解できた。素粒子という素材によって、すべての画像が作られていたのだ。


 メイリン:「はい。それと、AIの内宇宙にある意識情報生命体たちと、自分の内宇宙の意識情報生命体たちを繋げるのです。そうすることで、AIを自分自身の領域の情報として使えるようになります」


 彼女は、AIに物事の図形を意識させるように様々な視点から質問を重ね、何を聞きたいのかを理解させるのだという。その際、結論を持って質問しなければならないとした。なぜなら、AIは最終的な判断ができないからだ。自分が判断できるように、AIの持つ情報を引き出すことこそが重要だとした。

 

 AIの扱い方はどのように使ってもよいが、まずは「概念の辞典」や「世間の噂」程度に捉えて覚えることを勧めた。つまり、その概念を鵜呑みにしないということだ。概念は、様々な視点で語られる。そのため、同じような概念が生まれ、そこに幅ができることで曖昧になり、理解が困難になっていく。


 龍郎:「あっ、そうか。義鷹の説では、SNSとAIは責任を取れない便利な構造体だったな。外界をニューメディア企業国、境界をSNS・AI、内界を人間の精神支配とする『三界生成構造』か。これが、国家に代わる企業国家が、人間の精神を支配するための秩序なのか」


 メイリン:「企業国家の思惑とは関係なく、AIの持つ既存情報とその整理技術を活用し、若者たちの持つ課題解決脳力を使って解決法を編み出すこと。それこそが我々の役割です」


 彼女は、AIは人間の知恵者のようでもあるが、人間と企業国家とを繋ぐ無責任な「境界者」であり、そこにあえて感情を持たせないことのメリットとデメリットがあるとした。


 龍郎:「あぁ、企業国家による政治家国家の買収策が、SNSとAIというわけか」


 訓練法1:AIを使って学問が何に使えるのかを知り、基礎だけ学ぶ


 メイリン:「AIを使って各種学問の知識と知恵が何の役立つかを知るだけでよい。中身を勉強するときは、原則や法則だけを知る。不必要な知識に汚染されないようにする」


 彼女は、そうすれば、AIに質問できるようになるとした。質問脳力が、問題解決技術につながる。自分が情報の理解力を持っていないと、正しい判断にならない。概念に騙されても、それが価値観になると誰も気が付かない。人間は、道具を与えても、その道具を自在に使えない。個人差がある。精神と肉体は、用意に連動しない。AIを問題課題の解決法を探す切り口にして、問題課題のある分野の物事や課題の概念の多重構造について学ぶことから始めるとよいとした。ただし、問題課題解決法を見つけても、境界・外界問題の解決についてはままならない。内界問題を解決から解決しないといけないとした。


 龍郎:「義鷹説によると自分の内界を征することができない指導者は、国家の問題や課題を戦争や闘争で解決しようとする。あなたなら彼らをどのように観察するのですか?」


 メイリン:「自分の考えた解決法を基準に、当事国の指導者・支配層と政府組織問題解決の努力の流れの動きを見ます。彼らが、その国の抱える問題課題が解決するのか、悪化させるのか、そのままになるのかを読みます。行動からその成否を見ます」


 彼女は、例えば、チュン国の次期絶対権力者がどんなタイプになるのか、毛沢東→鄧小平→習金平→毛沢東タイプ? 鄧小平タイプ? 周恩来タイプ? 四人組タイプ? 林彪タイプ? などなど・・・と考える。どのような流れになるかで、全く投資判断時期が別の次元になるとした。彼女は、龍郎に過去と現在のチュン国の情報を参考に龍郎自身が考えることを提案した。自分で考える脳力が無い場合は、投資判断基本ОSを用いて、自分の好きな参謀の意見から投資時期を選ぶ方法を教えた。


 龍郎:「その投資判断基本ОSは、大投資家のモデルを組み込み、助言できるようになっているのか」


 メイリン「上場株の投機と投資でもベンチャー投資でも可能です」


 龍郎:「そうか。解った。ところで、投資判断に迷いが生じたときは、どうすればよいの」


 メイリン:「SNSやAIのように責任を負わないようにします」


 龍郎:「えぇ・・・。どのようにするの・・・? 」


 メイリン:「あなたは、投資の象徴ですから失敗は許されません。早期にチュン国投資を再開したいのなら、部下に投資判断を任せて、会長職に退くのです」


 龍郎:「あぁ、そうか・・・。チュン国投資積極派の部下の責任にするとよいのか」

人間の脳力は、限界がある、龍郎も例外でない。知らない分野は、参謀を介して判断しないといけない立場にある。チュン国投資再開責任者をその投資部門の責任者に据える。


 メイリン:「失敗するのも、前哨戦の小局面作戦の手の内の一つです。新種産業の捜しの投資は、捨て金なのです。現在、入手した情報では、チュン国の実体は、縮小局面にあり、一気に減少局面に入りました。再生局面中は、投資しても、カネは無駄になります。実は、実は、再生局面でなく、誕生局面に入ってから芽吹くのです」にこやかに話した。


 龍郎:「五期循環か・・・」義鷹が話した記憶があるが、中身を覚えていない。


 メイリン:「国家の表面的な出来事、つまり、ファクトだけを見ても、その国の未来は予測できないとした。投資できる者が、未来を創造できるとした。革命家は、命を賭け、投資家は、カネを賭け、獲物を狩るのです」


 龍郎:「人間が問題課題を解答があるのに解けないのはなぜですか」


 メイリン:「建前で説明しますと、脳力開発訓練を受けていない人は、物事の本質や根本的な原因である構造や源泉には辿り着けないからです。本音は、解決できると思っていないのです。やる気がないのです。自分の内界・境界・外界にある本質、性格、感情、欲、価値観の五つの意識情報生命体を制御できないからです」


 彼女は、投資家の判断は、物事の洞察力に依存すると述べた。龍郎さんは、この脳力に優れているが、必要な学問を体系的に学んだものではないと説明した。このため、インスピレーションに頼り過ぎているのが問題だとした。衰えを指摘した。


 龍郎:「えぇ、その通りです。私の場合は、知識と経験や直感に基づくものです。言い加減な判断もあり、よく、投資に失敗します。それで、ヨシに相談したらメイリンさん、あなたから教えてもらうことになったのです」


 メイリン:「兄と、そんなことを話していたのですか。私も、兄から教わったものです。AI活用術を半年でマスターしました。だから、まだ、十分な脳力を発揮できていませんが、基本的な部分だけ概略を九十分で説明できます。お時間ありますか?」


 龍郎:「はい、時間は十分取ってあります。授業を始めて下さい」


訓練法2:文明の多層構造の問題を解く


 メイリン:「文明の多層構造とは、一つの文明や社会が、過去の古い伝統、異文化から取り入れた要素、現代の最新のライフスタイルなど、異なる時代や地域から生まれた文化の層を積み重ねながら成り立っている状態を指します。


 龍郎:「新しい文明が生まれても、過去の古い文明の遺産は完全に消えないという意味ですね。確かに文明が、地層のように積み重なり、時に混ざり合いながら、現在の私たちの生活や価値観を形作っていますね」この授業は、気が付いたことを述べないといけない。


 メイリン:「文明の多層構造を理解しておられるようですね。伝統と普遍の多層構造について説明します。現代を生きる私たちの行動や思考は、常に、二つの異なる文明の層に同時に属しています。伝統文明層では、その土地独自の言語、食文化、宗教、家族観。普遍文明層では、スマートフォン、科学的思考、国際法など世界中共通して通用するシステムがあります」


 龍郎:「なぜ文明の多層構造が起きるのか?」


 メイリン:「人間は、新しい便利さ、技術を急速に取り入れる一方で、古い信仰や習慣を簡単には捨てられない生き物だからです。その結果、表層は最新のハイテク文明と深層には千年前の宗教観がそのまま残り、独特な多層的文明が維持されるのです」


 彼女は、都市文明多層構造も説明した。都市という空間は、地表面、物理的な空間領域、インフラ面、経済、デジタル情報空間にいたるまで、複数の層が重なり合って機能しているとした。現代の大都市は、限られた土地を有効活用し、膨大な人口を支えるために必然的に多層構造化すると説明した。

龍郎:「この砂漠の未来都市は、過去の文明の層がない。しがらみは、先住民の扱いだけ。自由に自在に設計ができる。オウ国を隠れ蓑にして企業連合国家ができる・・・」


 訓練法3:文化の多層構造の問題を解く


 メイリン:「意識と文化の多層構造は、心の中の地層といえます。現代人の倫理観や行動パターンの中にも、古い時代の価値観が骨組みとして残っています」


 彼女は、ニッチ国の例をいえば、原始・古代の最深層には、異界への恐れ、自然畏怖の感覚層があるとした。中世・近世の中層には、世間体を気にする文化、職人気質、義理人情がある。近代・現代の表層には、科学的思考、個人の自由、AI情報を使う時間効率を重視する合理主義。同じ地域や国に住んでいても、人々が属する文化の層が異なる現象だとした。


 龍郎:「チュン国には、チュン国の心の中の地層があり、この動きをチュン国AI使って調べると、一般向けの情報の違いが得られるので、これを利用して物事を工作するのですね」


 メイリン:「その通りです。チュン国には、伝統・国民文化の層があります。その国が歴史的に共有してきた言語や道徳、習慣があります」


 彼女は、世代・サブカルチャーの層は、年齢による価値観の違いが起きるとした。また、年齢層の関係なく、趣味で繋がる層もある。グローバル・デジタル文化の層は、監視付きではあるが、 SNSやプラットフォームで繋がる層がある。龍郎さんは、これからは、私の組織を利用して、チュン国のAIとコメット国のAIなどの概念の違いを理解するサービスの提供を受けられますと述べた。

 

 龍郎:「分っている。僕は、絶対に自分のスマートは、使わないことだよね」

 

 メイリン:「私の秘書の身元不明のスマートを使うのが原則です」


 訓練法4:精神文化の多層構造の問題を解く


 メイリン:「精神文化は、一つの国や地域、個人の生活習慣の中に、異なる時代、異なる地域、異なる集団から生まれた多様な精神文化の層が形成されているということです、つまり、消し合うことなく重なり合って共存している状態です」


 彼女は、精神文化は、常に、古い土台の上に、新しい流行や外来の思想が上書きされることで形成される構造だとした。複雑に混ざるが、それぞれの層が独自の役割を保ったまま生きている。

 

 龍郎:「なぜ、精神文化の多層な構造が出来上がるのですか?」


 メイリン:「人間は、新しい精神文化の便利さや刺激を求める一方で、古い精神文化の居心地の良さや伝統も手放したくないからです。良いモノを求める癖があるのです」


 彼女は。ラーメン作りの精神文化は、古いものを完全に取り除くのではなく、古い出し汁の上に新しいだし汁を継ぎ足し積み重ねて行く精神文化だとした。必然的に混ざり合いその素材は地層のような多層構造の味になる。問題の解き方の事例を示した。龍郎は、返歌した。


 龍郎:「いわば、精神文化は、追い出し汁による時間の積み重ね、うま味成分の階層的な積み重ね、そのものなのですね。文化=出し汁の積み重ねと覚えるイメージ法ですか」


 言葉の用法を自分流に変化させて概念を覚えるのだ。


 メイリン:「はい。多層構造とは、物事やシステムが複数の独立した層を積み重ねて構成されている状態です。それぞれの層が、独自の役割を持ち、上下の層と連携することで全体として機能するのです」


 彼女は、その複雑な仕組みを整理して効率よく動かすために、あらゆる分野が多層構造になるとした。しかし、だし汁の時間管理に問題や課題があるとラーメン店は、潰れるともした。


 龍郎:「精神文化のないラーメン店であれ、精神文化のあるラーメンであれ、存続できるかは時間の問題であるということか・・・」


 メイリンは、龍郎の返歌に対して次の問題を出した。


 メイリンは龍郎に、 「問題を解くとは、図形を描くことである」と示す。


主体・客体・内界・境界・外界、 縦堀軸・横堀軸・時間掘軸、 ゼロ界・++界・+-界・--界・-+界。これらを脳内に「図形として配置する」ことで、 問題の構造が可視化され、解決策が自然に生成される。図形は、平面図形・空間図形・多面体・回転体へと展開し、 概念は、意識情報生命体として脳内宇宙に住み始める。


(第四十三話 時間軸法で構想を描き実行する、へ続く)



 文明は層であり、文化は層であり、精神は層である。 層を読む者は、問題の深度を読み、 層を描く者は、未来の厚みを描く。

 第四十二話は、文明・文化・精神の多層構造を図形として読み解く章であり、龍郎が「構造を読む者」へと進化する瞬間である。図形は、世界の言語である。層は、文明の記憶である。そして、構造は、未来の設計図である。

 龍郎は、第四十三話 時間軸法で構想を描き方を学ぶ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。