第四章 脳力開発訓練法 第四十一話 物語法を使う
文明は、物語を語るとき、自らの未来を語り直す。 投資家は、数字を読むのではなく、文明の語り方を読む。そして、国家は、物語を変えた瞬間に運命を変える。第四十一話は、龍郎が「国家の物語」を読む訓練を受ける章である。 ここでは、投資判断とは、経済指標ではなく、 文明・文化・主権・社会・時間・システムの多層構造を読む行為として描かれる。
物語法とは、概念を生命体として扱い、 主体と客体の衝突から問題の生成を観測する“脳のOS”である。龍郎は、メイリンから「国家の未来を読む方法」を学ぶ。 それは、政治・経済・軍事の表層ではなく、 概念の寿命、領域の構造、影響力の流れ、暴力の短命性、 そして意識情報生命体としての国家の運動循環位置を読む技術である。
第四十一話 物語法を使う
国家は、物語として読むとき、初めて未来が見える。投資は、物語として組み立てるとき、初めてタイミングが見える。そして、人間は、物語として理解するとき、初めて自分の内界を知る。
龍郎は、チュン国投資の再開時期を知るために、チュン国特務員頭領メイリンの助言を求めた。投資は、数字だけではなく、物事の問題の多層構造を読む行為である。この章は、単位、文明、文化、時間、システム、主権、社会の多層構造を読み解き、大投資家の龍郎が投資のタイミングを判断する物語概念視点法(以下、「物語法」)による脳力開発訓練法の技術を描く。
メイリンのテーブル席に龍郎が、やって来た。二人が会うのは、初めてだ。
龍郎:「メイリンさん、あなたは、ジェイソンの投資判断のアドバイザーだと大倉次官から聞いた。彼を紹介してくれないか?」
メイリン:「えぇ、もちろんです。兄からもその件を聞いています。後日、彼の相手いるスケジュールの日と時間をお知らせします」彼女は、次期大頭領候補の黒田長政若頭(弁護士・四十五歳)の妻だ。ダイ国特務員組織の頭領も兼任している。
龍郎:「ところで、わが社のチュン国投資は、事実上、休止・撤退状態にあります。いつごろ投資を再開できますか?」龍郎は、本日の情報収集の投資判断について聞いた。
メイリン:「今、言えるのは、動くべき時ではありませんということです」彼女は、結論から答えた。彼女の助言は、チュン国でいつ政権交代が起きるか、チュンダイ戦争が起きるかどうか、チュン国は、現在の経済危機を乗り越え、今後どんな政治体制になるのか、この三点を予測できないと前に進めないとした。
メイリン:「チュン国の大河の流れを見極めてから投資を再開してはいかがでしょうか」
彼女は、国家の未来を予測する技術とは、現在の課題や問題の解決法を見つけることだとした。そのためには、物事や現象の問題や課題の多層構造を洗い出して、その変化を見る技術を習得するべきだとした。
龍郎:「物事や現象の問題の多層構造の変化をみる技術とは、何のための技術ですか?」
メイリン:「私は、投資のタイミングを知る技術として使っています」
龍郎:「一つ聞きたいが、ヨシは、その訓練を続けているのか?」
メイリン:「はい、わが一族は、その生涯教育を独学で行っています」
彼女は、投資ばかりでなく、様々な物事や現象を知る汎用判断技術にもなるとして、脳力開発訓練法を学ぶことを達郎に推奨した。岡本龍郎の一族は、龍郎本人は知らないが、遠い昔の姻族であることを知らされていた。この脳力開発訓練法は、義鷹が投資経験とAI活用術から編み出したものだった。
メイリン:「黒田一族の特務員は、第十二代大頭領の光政が開発した脳を鍛える生涯遊べる独学教育プログラムで脳健康を維持しています。兄は、昨年末にAI利用法を独学して、それを使って、投資判断や脳機能を進化させ問題課題解決ОSにしようと考えているのです」
龍郎:「彼、七十八歳ですよ。その年齢でも脳力を開発して進化できるのですか?」
メイリン:「はい。可能だと思います。彼は、六文字の概念を物事や事象を統合する物語法を開発しました」
龍郎:「意識情報生命体の概念のことですか」彼は、この訓練法を少し学んでいた。
メイリン:「はい、そうです。全ての名詞、数字、記号、符号を意識情報生命体と定義しただけで、彼の分析力、視野力、思考力、想像力、創造力、判断力、決断力、行動力、予知力などが様変わりする現象が起きました。これを今、このプロット物語法で物語を作り、三界生成理論、五期循環論、個・会・社・場・界の領域論など作り、実証実験をしている最中です」
龍郎:「まず、その独学脳力開発訓練法の技法を教えてくれますか?」
メイリン:「義鷹が編み出した物語法とは、物事や現象に関する問題課題の解決法を編み出す技術です。多視点で論理的な物語を作る遊びです。主体と客体の考え方の違いや矛盾点や弱点を知る手法でもあります。問題課題の解決法を総合的にみて発見する方法です。それには、幅広い知識と知恵が必要になります。これを身に付けるには、概念とは何かを知らないと事物や現象についての理解が深まりません。龍郎さん、あなたは、生命体をどのように思っているのですか」
龍郎:「生命体とは、生きているもの、生物のことです。人間、犬、猫、昆虫、植物、細菌、命を持っているものすべてを指します」
メイリン:「その通りです。AIは、生命体であるための絶対条件は、外界との境界の膜がある。代謝を行う。つまり、外から栄養やエネルギーを取り込み、体の中で別のエネルギーに変えて使い、不要なものを外に捨てる活動のことです。自分と同じ複製:子孫を作れる。つまり、自分の設計図である遺伝情報を持っており、それを使って自分と同じ仕組みを持つ子孫を残す:繁殖することができる、三つの条件を満たしたものを生命体としています」
メイリン:「義鷹の生命体は、違います。意識情報生命体という概念です。生命体の三つの絶対条件の枠を外した数学物理力学化学心理の情報=意識を持つものを生命体とします」
彼女は、こうすることで生命体、非生命体を論理統合できるとした。あらゆる概念を問題や課題の解決策を自由に考える概念脳力が生まれます。
この概念には、大きさ・形状・量=体、質=本質・性質、感=感情、欲=欲求・欲望、観=価値観・世界観、時間=寿命・循環サイクル、領域=個、会、社、場、界と層・帯のそれぞれの内界・境界・外界、流れ=上流・中流・下流、傾向=上昇・下降・均衡、運動循環位置=プラスプラス・プラスマイナス・マイナスマイナス・マイナスプラス・ゼロと上限・下限・水平線などすべてが含まれているとした。
龍郎:「復習しますと、物語法では、主人公、脇役、神、創造主、創造者、設計者、参謀、経営者、独裁者、指導者などが、問題課題を解く役をしますね。彼らは、賢者、勇者、平民、愚者、裏切り者、卑怯者、異端児の七分類されますね。彼らは、大きさは、何を使ってみるのですか」龍郎は、まだ、覚えることと記憶にする違いが理解できなかった。
メイリン:「大きさを計る単位が様々なものがあるという事実だけ覚えます。その概念の大きさを計る単位は、極小の素粒子のフェムトールから巨大な宇宙のパーセクの多層な単位の構造で成立しています。覚える必要は、ありません。物事には、それぞれの界の大きさを計る単位が使われていると覚えて下さい。読むだけの作業です。素粒子のサイズを表す単位には、フェムトメートル(FM)・アトメートル(AM)があります。
・1 フェムトメートル(FM)=1000兆分の1メートル。原子核の大きさを測る基準。
・1アトメートル(AM):100京分の1メートル。フェムトメートルよりさらに三桁小さい単位です」
メイリン:「物質の階層と大きさの比較は、物質を細かく分解していくと、単位は次のように小さくなります。
・原子:大きさ:約 0.1 ナノメートル(NM)。原子核:大きさ:約 1〜10 フェムトメートル(FM)。
・陽子・中性子:大きさ:約 0.8 フェムトメートル(FM)。
・クォーク・電子(素粒子):大きさ:大きさを持たない点)とされる。
現在の実験技術では、内部構造や「広がり」が見つかっていない。実験で大きさを測ろうとすると、素粒子が持つ電気の力や波としての性質のせいで、一定の影響を及ぼす範囲が生まれます」
龍郎:「素粒子界は、人間のサイズの兆、京、それ以上の単位の名前の分の何の世界か。僕は、未来都市建設で富を兆円から京円単位を目指さないといけないのか・・・」
メイリン:「クォークは、人体を射抜くことができますが、人間は、それで死ぬことはありません。これが物事や現象の謎解きに使えます。種明かしは、しません」
龍郎:「あなたも、謎々遊びが好きなのですか」
メイリン:「はい。人間の行動の謎解きが商売のネタですから・・・・」
龍郎:「覚える必要がというのは、どういう意味ですか」
メイリン:「人間は、必要ないものを覚えないことが、余白力の元になるのです。宇宙の広さを計る単位は、光年・パーセク(PC)といいます。宇宙はあまりにも広大であるため、地球上で使うキロメートルでは桁が大きくなり過ぎるのです。そのため、光のスピードや星の角度を利用した特別な単位が使われます。宇宙のスケールを測る三つの主要な単位と、その距離の目安は以下の通りです」
彼女は、パソコンから得たAI情報を龍郎に提供した。光年は、光が一年間に進む距離を基盤にした単位をいう。その距離の長さは、約 9兆4600億 km。光の速度の仕組みは、一秒間に約30万km進む。その光が一年かけてたどり着く距離。
パーセク(PC)とは、天文学者が研究や論文で最もよく使うプロ向けの単位。その距離の長さは、約 3.26光年(約30兆8000億 km)。
その仕組みは、地球が太陽の周りを回る動きによって生じる星の見かけ上の傾き(年周視差)が一秒(3600分の1度)になる距離を一パーセクと定義した。
拡張単位は、キロパーセク(kpc)= 1,000パーセク。これは、銀河系のサイズを測る。メガパーセク(Mpc)= 1,000,000パーセク。これは、銀河同士の距離を測る。
天文単位(au:Astronomical Unit)は、太陽系内の距離を測るための単位だ。その距離の長さは、約 1億5000万 km。その仕組みは、地球から太陽までの平均距離をちょうど1 auとしている。主な使われ方は、太陽系内の惑星の描写(例:太陽から火星までは約1.5 au、海王星までは約30 au)。
龍郎:「読みました。覚えなくて良いとは、具体的にどういう意味ですか」
メイリン:「実は、脳は読むことによって、記憶することができるのです。ただ、その情報を引き出して整理することが難しいのです。これを補うのがAIの役割だと思ってください」
龍郎:「AIを使った基本ОSによる概念の検索組み立てが、物事や現象に関する問題や課題の解決策を生成する切掛けになることがあるのですね」
メイリン:「はい、その通りです。概念の活用法を知らないと、問題解決法は、暴力行使で解決するのが、人間社会の歴史であり伝統です。直接的な暴力を使わないで解決する方法がもう一つの選択肢です。ただし、この作戦は、長期の作戦時間を要するのが普通です」
龍郎:「暴力連鎖の歴史法則を断ち切る方法は、本当にあるのですか」
メイリン:「人間社会は、権力という暴力装置構造になっているので、旧人類界から新人類に進化しない限り、権力による経済的、社会的な暴力行為などは、なくなりません」
彼女は、権力者がこれを覚えると、不効率な暴力行為を減らすと原因になるかもと考えて下さいとした。人間は、攻撃されると自衛という暴力を行使が必然になり、自分に取っても暴力を否定することは得策ではないからです。権力者が、自らの暴力行為の連鎖を断ち切るには、暴力の成果の短命性を知ることが重要ですと述べた。
龍郎:「三大大国が、暴力行為を後押ししなければ、争いが長期化せず、短命に終わり、紛争犠牲者数が減ったかもしれないが、暴力行為は、なぜなくならないのですか」
メイリン:「暴力は、人間の装備品だからです。あるものは、使用されると覚えて下さい」
AI:「暴力とは、他人の身体、心、権利、または財産に対して、不当に物理的な力や精神的な圧迫を加える行為です」
龍郎(内心):「僕のM&Aの事業も、暴力行為に似た世界なのか???」
AI:「国際保健機関(WHO)の定義では、自分自身、他者、あるいは特定の集団やコミュニティに対して、意図的に力や権力を行使し、怪我、死亡、精神的危害、発達の阻害、喪失をもたらす可能性が高いものとされています」と報告した。
龍郎:「暴力の種類には、どんなものがあるのですか?」
AI:「暴力形態の視点では、身体的暴力、精神的・心理的な暴力、性的な暴力、経済的暴力、社会的・構造的暴力がある。発生する文脈による視点の分類では、自己向け暴力: 自傷行為や自殺など、自分自身を傷つける行為。対人暴力: 家族内(DV、児童虐待)、学校・職場(いじめ、ハラスメント)、地域社会での犯罪など。集団的暴力: 戦争、紛争、テロ、政治的な弾圧など、組織や国家間で行われるものがあります」
龍郎:「暴力の非効率性と短命性とは、どういう意味ですか」
メイリン:「力で他人を従わせようとしても、コストや反発が大きすぎて目的を達成しにくく、その支配は決して長く続かないという歴史的・社会的な法則のことです」
AI:「短期的には暴力で人を制御できるように見えるが、長期的視点で見ると、暴力は、目的を達成するための手段として、弊害が起きる。自滅をもたらす性質を持つのです」
龍郎:「暴力は、自滅の法則になるのか。脅しや傲慢さも似たようなものだな」
メイリン:「暴力の非効率性は、監視コストの増大にあります」
AI:「生産性とモチベーションの低下をもたらします。対話や信頼の破壊、暴力の短命性は、その組織に時間的な限界を持たせる。反発と復讐の連鎖、力誇示エネルギーの枯渇が起きて、周囲との摩擦が絶えない状況が起きます」
龍郎:「そのほかのデメリットは?」
AI:「支配者側の心身が疲弊する。経済的・軍事的な資源が消耗。自滅へと向かう。大義名分が喪失する。暴力支配は、周囲の人間や社会からの共感・支持を完全に失う。正当性のない権力は、孤立し、外部からの支援も得られなくなる。最終的には脆く崩れ去る」
龍郎:「非暴力効果を示す実証実験は、世の中ありますか? 」
AI:「あります」
彼は、歴史や社会科学における政治学者チェノウェスらの調査など実証を上げた。非暴力運動の研究では、歴史上の社会変革において、暴力的な紛争よりも、非暴力的な抗議運動の方が、成功率が二倍以上高く、その後の社会も安定しやすいというデータが示されていますとした。暴力は、一時的な破壊や一瞬の制圧には使えても、持続可能な協力関係や永続的な発展を築くことは絶対にできませんと断言した。
龍郎:「その研究は、暴力を背景にする集団には、通用しない。暴力使用以外の統治手段を持っていないからだ。そのような人物は、長期的視点で物事を考えていないのでは?」
メイリン:「はい。その通りだと思います。我々の組織は、暴力という見える力を使う組織ではなく、見えない力を使うのが忍者の組織です。姿が見えないと組織対組織の戦いが避けられて忍者の組織は、長期間存続できるのです」
龍郎:「見えない力ですか・・・」彼女は、暴力の話題から物語法の話を戻した。
メイリン:「物語法の視点とは、その物語が誰の目線・カメラで切り取られ、誰によって語られているかという設定のことです。第三者は、その視点というフィルターを通して物語界をのぞき込み、視点の選び方によって作品の印象や読者の感動の度合いが大きく変わります」
彼女は、視点が問題や課題の生成装置になるとした。学問分野でも、内界、境界、外界の構図で影響力の流れがあり、問題や課題を生み出すとした。
龍郎:「そうか。外界、境界の影響力を受け入れる内界・境界の五感が人間問題発生の一つの起点になるのか・・・。この外界境界情報の処理が内界に影響を与えているのか。五感情報は、個別体の処理システムによって受け方が異なると覚えると良いのか。つまり、僕は、未来都市情報の境界、外界への発信の仕方を工夫すればよい暗示か」
メイリン:「物語作りの視点は、主に以下の四つの種類にAI分類されます」
彼女は、各種のAI情報が、人間の脳を支配する情報を提供する時代だとみていた。その情報を作戦に活用するのが、見えない忍者の世界だと思っていた。
AI:「一人称視点の特徴は、説明文がそのまま語り手の心の声になることです。主語、すなわち、私、僕、俺。心の中の描写は、語り手のみで可能です。メリットは、圧倒的な感情移入ですと、通常の物語法では、応えます。これが、社会問題を引き起こす真因になることがあります。デメリットは、知らない情報は書けないことです。AIを活用する視点では、AIの弱点がここにあります。主人公など、物語の登場人物が「私」「僕」「俺」として語る視点です。しかし、私がこの弱点を学ばせて、多視点を採用するAI教育をしたので、私の使うAIは、これが可能です。
龍郎:「この一人称視点が、独裁者に視点か。賢者でない限り、問題発生装置に成り易いかも・・・」
メイリン:「一人称視点では、問題解決には、不向きです。AIさん、三人称一元視点の情報を出してください」
AI:「三人称一元視点の特徴の『地の文』は、客観的ですが、特定人物の心の中だけは描写できます。登場人物の名前、彼の心の中の描写です。特定の1人のみも可能です。メリットは、読みやすさと共感の両立です。デメリットは、自由度は低めです。カメラは、特定の1人に固定されている視点です」
龍郎:「この視点も、特定の人物の心しか覗けない。これでは、問題が見えて来ない」
メイリン:「その通りです。AIさん、三人称多元視点の解説をお願いします」
AI:「三人称多元視点の特徴は、A章は主人公の目線、B章はライバルの目線、のように進むことができます。登場人物の名前、彼n心の中の描写が可能です。
場面ごとの主役のみ可能です。メリットは、多くのキャラを深掘りできることです。デメリットは、視点ブレが起きやすいことです。
章や場面ごとに、視点は、異なります。カメラ視点では、視点となる人物が切り替わる視点です。これは、物語作りでは良い視点では、ないと否定されます」
メイリン:「指導者の視点では、よりよい社会を建設するには、多視点法が重要な統治技術になるのです。国民が、一人称視点で、自分が、国家や企業や家族のために活躍できると思わせる手法になります。このように、指導者になるには、このような幻術の使い手にならないといけません。私達、忍者界は、幻術使いといわれるのは、映画界でみられるような幻術ではありません。話術なのです」
龍郎:「この三人称多元視点は、部下達の視点ブレを見るのに役立つというわけですか。キャラの深堀法で問題点を明らかにすることができる技なのですね」
メイリン:「多元視点が、問題点を浮き彫りにできます。キャラの面白さを引き出せます。AIさん、神視点法をお願いします」
AI:「全知全能の神視点の特徴は、誰の心の中ものぞくことができ、過去や未来の出来事も自由に語れることです。登場人物の名前、彼の心の中の描写や全員の心の中が可能です。メリットは、壮大な物語が書けることです。デメリットは、感情移入しにくいことです。物語に登場しない神のような存在が、すべての状況を上空から見下ろしている視点です」
メイリン:「物語作りの感情移入の視点では、評価されていないのですが、指導者の視点は、神視点が必要です。監視社会で国民の監視の流れが、主流ですが、指導者の視点では、これを使うということは『愚者の証明』のようなものです。なぜなら、忍者は、容易にこの機能に入り込むことができるからです。つまり、指導者の動きがこれで分るからです」
龍郎:「指導者は、三人称多視点と神視点の方法を知り、AIの欠点を踏まえて使えばよいということですか。様々な角度から問題や課題を見ることができるのですね。物語法のОSは、どのようにして基本ОSで物語を作るのですか? 」
メイリン:「人間だけでなく概念を擬人化して語らせる物語法です。過去、現在、未来の人間を現代に登場させることができます。最強法かも。でも最強だけでは物語になりません」
彼女は、AIデータを用いて問題や課題の解決策を参謀に考えさせる手法について説明した。ОS化する基本は、名詞概念を意識情報生命と定義することだとした。その主体と客体で複数以上の生命体が引き起こす問題や課題の解決策を提示する物語を作る。超短期、短期、中期、長期、超長期の作戦を考える。意識情報生命体の誕生期、膨張期、縮小期、減少期、再生期の寿命の位置を確認する。個、会、社、場、界の主体と客体が、どのような時間帯で、どのように関係で、どのような場で絡む問題、課題かを考える。
情報、ヒト、モノ、カネ、兵站、インフラなどキャスティングが、あらゆる場所、空間で上手く会話できる仕掛けが本人の遊びの工夫の面白さだとした。無限の話を作れるAI活用基本ОSになるとした。
龍郎は、メイリンの助言を通して、 国家の未来を予測するとは、 問題の多層構造を洗い出し、その変化の速度と方向を読む行為だと知る。物語法は、「概念を擬人化し、複数の生命体として会話させることで、 問題の解決策を生成する ОS」である。この章は、 龍郎が「国家の物語を読む者」へと進化する入口となる。
(第四十二話 物事や現象の構造を図形でイメージする、へ続く)
暴力は短命であり、物語は長命である。暴力は自滅し、物語は進化する。国家は暴力で支配されるとき滅び、物語で支配されるとき存続する。メイリンは龍郎に、「国家の未来を読む者は、暴力の寿命を知り、物語の寿命を読む者でなければならない」と示す。
物語法は、国家・企業・個人のすべてを「意識情報生命体」として扱い、 その寿命・循環・領域・影響力を読む技術である。未来を読む者は、物語を読む。物語を読む者は、概念を読む。概念を読む者は、世界の構造を読む。そして、構造を読める者だけが、未来都市を建設できる。
第四十一話は、 龍郎が「投資家」から「物語を読む者」へと進化する章であり、次章「第四十二話 物事や現象の構造を図形でイメージする」へと続く。




